とうとうこの記事を書く時が来た…というより、年内にはなんとかしないといけないという思いが強まりまして、唐突に書き始めてしまいました。
今年は、長雨にたたられるなど、十分なテスト期間が確保できたのか、…書ききれるのかは自信がない。しかし、やってしまわねば。
おさらいをすると、K-3 MarkⅢはPENTAXが満を持して放ったAPS-Cフラッグシップ機です。
購入にあたって、もちろん、PENTAXのフルサイズ機であるK-1Ⅱと比較検討を重ねました。
一時は、かなりK-1Ⅱの購入に傾いていたのですが、まさかのアストロトレーサー機能アップデート、アストロトレーサーType2の実装という隠し玉があり、K-3 MarkⅢという選択に至りました。
以前も書いたのですが、PENTAX APS-Cシステムには、HD DA★11-18mmという、対星景用純正超広角レンズがあるのも決め手になりました。
★(スターレンズ)というカテゴリは、PENTAXレンズ群の中では、「妥協なき高性能」を目指すとされています。そして11-18mmは新世代スターレンズの一翼を担っていて、これは今後のカメラの高性能化を見越し、新基準で設計されたものになります。
これをフルスペックで使いたい、ということで、あえてのAPS-Cということになりました。
前提として、私の撮影スタイルも書いておかないといけませんね。
何度か、言及していますが、私は、基本的に、「一枚撮りの星景写真」というジャンルで、撮影を続けています。合成を忌避しているわけではなく、必要と判断すれば、それに応じて合成も使います。
その上で、なぜ、一枚撮りにこだわりをもっているのかというのは、なかなか一言では言い切れないのですが…。
ただ、あえて説明を試みるとすれば、私は、実在論的な、世界の実在を認める写真の撮り方をしたいと思っています。
世界―撮影者―写真の関係において、一枚撮りというのは非常にシンプルな構造を示します。その時、実在した世界を、撮影者が、写真に撮ったというそれだけのことです。
この時、私が受けるシンプルな実在的感覚(世界が実在しているという感覚)が、私には写真のあり方として非常に腑に落ちる。それで表現したいものが表現できるのであれば、それで(それ「が」)良いだろうと思っています。
星の写真においては、画像処理もひとつの大きな比重を占めるテクニックだとは重々承知をしつつ、色々なソフトによる画像処理の恩恵も受けつつ、星景写真には合成を含む多様な表現が必要だという立場に立ちつつも、自分としては、あえての一枚撮りスタイルというニッチな道を進んでいます。
さあ。
というわけで、書いていきましょう。
星撮影用としてPENTAX K-3 MarkⅢをどう見るのか。一つの視点として。
星撮影用としてのPENTAX K-3 MarkⅢ
まずは、いつものように、長所から書いてみたいと思います。書いてみると星景撮影用として、結構色々と推せる点がありました。
長所
1、アストロトレーサーType2
K-3 MarkⅢで、星景のことを書くなら、このことから、書いておかないといけませんね。
PENTAX機独自のアストロトレーサー機能、ここに来ての、まさかのアップデート。
星追尾を半分の速度に抑えることで、地上ブレを抑える機能です。ハーフモード。
以前、記事にもまとめましたが、その効果は歴然です。
一枚撮りである以上は、星を追尾したらその分地上がブレます。これは避けられない宿命。今まで、ノーマルのアストロトレーサーを使ってきて、この点が一番悩ましいところでした。
その試行錯誤の中で、私は、「ほぼ固定撮影」(※)という手法をとるようになりました。
※「ほぼ固定撮影」とは
星追尾をせずに撮る撮影手法を「固定撮影」と呼ぶわけですが、日周運動による星の流れを(なるべく)回避し、星を止めて撮影するには、それ相応の短い露光時間を選ぶことになります。
これを500ルールと呼んで、
500÷(35mm判換算の)焦点距離=秒数
と求めます。
愛用する11-18mmの広角端は、35mm判換算だと約17mmということになります。
つまり500÷17ということで、29秒。
だいたい、この秒数を目安に撮影するのが、固定撮影ということになります。
このことを応用して、私は、固定撮影ができる程度の露光時間で、アストロトレーサーを使いながら撮ることを、「ほぼ固定撮影」と呼んできたわけですね。
わずかに追尾するので、ほぼ、なわけです。
しかし、上の検証記事でも書きましたが、旧来のアストロトレーサーでは、このほぼ固定撮影にしても、それなりに地上がブレているのです。(下図参照)
(クリックで拡大できます)
PENTAX K-3markⅢ レンズ HD DA★11-18mm アストロズーム 焦点距離 12mm
ISO1000 SS30秒 F2.8 ほぼ固定撮影
2021.07.19 高知県にて
今まで、比較したことがなかったので、あまり意識したことなかったのですが、Type2とType1を比べると歴然の差。
Type2は、言ってしまえば、星も、地上もブレるんですが、そのディテールの低下が、かなり軽微に抑えられるということです。地上も星も犠牲にしない。
つまり、まとめると、アストロトレーサーType2はまさに一枚撮り星景のためのアップデートと言えると思います。
ただ、現時点(2021年11月現在)で、アストロトレーサー機能に必要なGPSユニットO-GPS1が、ディスコン状態でして、PENTAXはO-GPS2の開発・発売を予告しています。おそらく、世界的な半導体不足の影響なんだろうと思うのですが、これでO-GPS1の入手難易度が一時的に上がってしまっています。困った…。
1-b、アストロトレーサーType3(!)
【2021.12.13追記】
なんと、GPSユニットを使わないアストロトレーサーType3(ベータ版)が12/7に追加されてしまいました。
完全に寝耳に水のサプライズ。
とりあえず、記事にまとめましたので、こちらで↓。詳しくはまた使い込んで書いてみます。
2、高感度
K-3 MarkⅢの最高感度は、驚異の160万です。
いや、まあ、しかし、この数字に、実質的な意味はあまりありません。
ただ、やはり、APS-C機としては高感度に強いと言われていたKPと比べても、確かに高感度耐性がさらに前進しているのは感じます。
センサーが、受光効率が良く高感度に強いと言われる裏面照射式になったことも重要な変更点です。また、高感度の処理を最適化するアクセラレーターユニットもⅡに刷新、画像処理エンジンも新規設計されています。
具体的には、私は、KPだとISO4000を基本に使用していたのですが、K-3 MarkⅢでは6400での運用が基本になりました。(夏の暑さも6400で越えられたので、多分、通年使用可能ですね)
だいたいKPの4000とK-3 MarkⅢの6400…同じくらいのノイズ感だと感じます。
大事なのは、露出オーバー気味に撮影しておいて、後から減感処理(露出を下げる)すると、ノイズ状況が改善するということです。ですので4000くらいで適正露出だというところも、6400で撮影しておいて減感処理するというのも太い選択肢になりました。(今までKPでも、冬場はしていましたが、夏の6400のノイズは結構きつかった)
ただ、白トビをすると、データは戻りませんので、白トビをしない範囲ということが大事です。実際上、6400より上、例えば8000や10000という感度は、30秒程度の露光をすると、相当暗い夜空でない限り(遠方の街明かりなどの光害下では)、白トビが起こります。
そういう意味では、常用で6400が使えるということは、実用上、十分な高感度耐性があると言えると思います。
6400以上は、全く選択肢にならないかというと、そうとも言えません。8000、あるいは10000あたりも、状況によれば、十分な画質が確保できそうです。
セルフライティングなどをして前景の照度をコントロールする場合などですね。
また、上限いっぱいで使う必要もなく、空の状況をみてISOを下げてもいいわけですし、露光時間を短くしても良い。
KPよりも高感度側に一定の余裕が生まれたことで、撮影の選択肢が増えたと言えると思います。
【2021.12.03追記】うーむ。少し保守的だったかもしれません。
ISO12800、Lrで露出補正関係だけ調整し、ノイズリダクションはかけていない写真を上げておきます。うーん。全然問題ない。12800でも、(少なくとも冬は)行ける。
ただ、ここまで上げるとさすがに星の色は少し抜ける感覚はありますね。
ちなみに、DxOの現像ソフトPhotoLab5を導入しました。対ノイズ対策には、色々なソフトが継続進化しているので、ISOの限界は、デジタル的手法で拡張される運命にはあるようには思います。
3、電池の持久力
K-3 MarkⅢはレフ機です。光学ファインダー搭載。
後述しますが、この光学ファインダーが、PENTAX肝いりのK-3 MarkⅢ最大の売り。なんですが、モニターメインで撮る星景にはあまり直接的なメリットはありません。
ただ、レフ機であることで、電池の持久力は比較的高くなっています。
CIPA規格で、フル充電から800枚撮影できるというのが公式のアナウンスです。
KPが同基準で、420枚でしたので、ほぼ倍。これは、バッテリーが大型のD-LI90Pになっていることが、おそらくは主要因ですね。(アクセラレーターユニットが電力をくうのは多分そのまま…。どうだろう。)
KPは、星景用としては、バッテリーグリップが必須でしたが、K-3 MarkⅢに関しては、バッテリーグリップがなくても、十分撮影が可能です。
ただ、この間の経験則的に、満充電から撮影を開始し、背面モニターで都度画像を確認しながら、断続的に約3時間、250枚も撮れば、電池はほぼ消耗する、という感じでしょうか。
なので、余裕をもった撮影をするなら予備電池はひとつは欲しいですね。
※星景はシャッターを一回切るのに20秒、30秒と露光をかけるのでやはり消費電力が多くなるようですね。
(インターバル撮影なら、背面モニターの電力消費がないので、スペックシートの性能に近づくと思います)
K-3 MarkⅢはモバイルバッテリーなどからのUSB充電に正式に対応しているほか、USB「給電」に関しても、ものによってはできるらしい…。(すいません、この点、未確認です。私の手持ちモバイルバッテリーでは給電はできませんでした)
給電に関しては以下も参照。
どちらにせよ、私は、撮影スタイル的に、夜ですが結構歩き回ったり、三脚を伸ばしたり縮めたりしながら、少しずつ構図を絞り込んでいくので、その際にカメラ以外のものが、ケーブルなどで接続されていると、それはそれでやりづらい。(流星群のインターバル撮影などで固定して撮影する時は、外部給電ができると便利ですけれども)
【2022.01.19追記】
こんな情報もありました。
PD対応の充電器、ケーブル両方が必要なんですよね。最初自分もつまづきました(^_^;) pic.twitter.com/Yq9DrMk0N6
— Andy'sPhotoJourney Mark III (@AndyPhotoJ) 2022年1月14日
なるほど、PD対応のバッテリーとPD対応のケーブルがあれば…行けそうですね。
(未確認なので、責任は持てませんが…)【追記ここまで】
なので、スタンドアローンでカメラとして完結して、電池の持ちが良いというのは大事なポイントです。
将来的にはバッテリーグリップも欲しいですね。地味に高いので二の足を踏んでいるし、まあ普通に予算がないわけですが。
4、USERモードの充実
K-3 MarkⅢ、USERモード…つまり、撮影設定を記憶しておくシステムが、非常に充実しました。
5つのダイヤルに割り当てられるのは今まで通りですが、全部で10の設定を記憶しておくことが可能になりました。
夜間の撮影は、とにかく、暗闇での操作になるので、撮影方法に合わせ、その都度、設定を変えるというのが大変なんですが、このUSERモードによって、非常に快適に撮影ができます。
常用をしているのは、①ほぼ固定撮影用、②インターバル合成用、③20分長秒露光用、そして、④構図&ピント確認用高感度設定です。これで4つ埋まり、残り1つは、星撮影ではなく、鳥などの動きものを撮る用の設定を入れています。
また、常用のものとは別に、年に2回必要になる「夜空の明るさ調査」用の設定もつくっておいてあります。
多様なセットアップを事前にしておけるのは、非常に便利です。
具体的な設定は、この記事にまとめています。(この後も少し調整していますが)
5、インターバル撮影の充実
インターバル撮影に関しても、色々と充実しました。
まずは、大事な点ですが、撮影間隔「最短」がちゃんと機能するようになりました。
いや、変な話なんですが(笑)
KPにも「最短」あったんですが、これが残念ながら、ISOを上げ、露光時間を伸ばす(30秒程度)にすると、間隔が4~5秒かかってしまうということで事実上使えませんでした。
K-3 MarkⅢの「最短」は、ちゃんと最短です。1秒かからないくらいで、ちゃんと回ります。
また、星景撮影では、インターバル合成(比較明)を、星の軌跡を描くのに使うわけですが、この点も進化。インターバル合成の最終画像を得られるのとは別に、途中経過の保存として、合成していない写真1枚1枚を残していけるようになりました。
これによって、途中で、自動車などの光が回り込んで失敗した比較明合成を救える可能性が高まるとともに、Photoshopなどを使って、後から、合成の仕方をコントロールして表現力を高めることも可能です。
(以下の記事でレポートしています)
また、KPで実装されていたインターバル撮影×アストロトレーサーのコンボも引き続きサポートされています。これは、雲が流れる空などで、印象的な雲の形を引き当てるなどの使い方ができ、有用です。
インターバルでひたすら流星を待つことになる流星群撮影にも便利です。
さらに、インターバル撮影中に、OKボタンかMENUボタンを押すと、撮影を中止できるようにもなりました。これが意外に便利。設定ミスしたときなどすぐに止めて、カメラの設定をリセットせずに、必要な部分のみ修正できます。(今までは電源OFFか、モードダイヤルを回すなどの動作が必要で、設定が元のUSERモードに登録した状態まで、リセットされていました)
なかなか、星景でも使いやすようにインターバルが進化しています。
6、低感度域の画質向上
K-3 MarkⅢは、高感度域だけでなく、低感度域でも画質を最適化したということなのですが、確かに、低感度域の画質が向上しています。非常に繊細に写ります。シャープネスのかけ方が絶妙になりました。
星景撮影において、低感度を使うことはあるのか、という疑問はもっともですが、いや実は使います。
私は、20分長秒露光(一枚撮りの星の軌道写真)という撮影も、ここぞという時に繰り出すのですが、この時は低感度ISOを使います。
KPはISO4000×30秒での撮影を基本にしていたので、これを1200秒(20分)に伸ばすとISOはちょうど100になっていました。K-3 MarkⅢは基本をISO6400に引き上げたので、ISO160で20分長秒露光を撮影しています。
長秒露光時の、ホットピクセル発生状況に関しても、KPと比べ改善されており、かなり、後処理が楽になりました。(これは、経年使用によって、少しずつ劣化していくものである可能性はあります)
他に画質面でいうと、星の色も良く出ます。特にベテルギウスなどのオレンジは非常にきれいで、20分長秒露光した時は美しいです。また、20分露光ではないですが、通常撮影時も微光星も良く写ります。
高感度の耐性アップに加え、低感度域の画質向上もまた顕著です。むしろこちらが本命かもしれない。
(20分長秒露光の作例を出したいのですが、とりあえず、何かの応募用にと、とってしまっているので、落選したら出したい…)
代りにISO1600、2分の写真を置いておきます(曇りで星が写ってない)。この感度で2分でも、ほとんどホットピクセル出ませんでした。
【2022.01.03追記】20分露光の作例を撮ってきました。
ISO500での、20分長秒露光、一発撮りです。
北斗七星が見える北東の空を向いています。
星の色の違いなどが見て取れるかと思います。
低感度(ISO500が完全に低感度かは別として、相対的低感度とはいえるかな)での撮影なので、いわゆる輝度ノイズはほとんど出ていません。
また、ホットピクセルも出ましたが、比較的少なく、やはり処理が容易でした。
7、バルブタイマーの進化
アストロトレーサー時のバルブタイマーの秒数が、細かく刻めるように変更されました。
バルブ時のタイマー機能、これまで(KP)は、10秒、20秒、30秒と10秒間隔でした。これがK-3 MarkⅢでは、1~10秒は1秒刻みに、そこから30秒までは5秒刻みになりました。(30秒からは、10秒刻み)
これが、何が便利なのかというと、例えば、波の表現を多様にしてくれました。
30秒の露光では、海岸部で波を撮影すると、均されて平滑になります。
これを、15秒程度に短くすると、波のディテール感が出てきます。月のある夜などは、さらに、10秒以下にして刻むことで、波のディテールを細かく調整できます。
バルブタイマーの進化が、表現を多様にしてくれました。
アイデア自体は、ちょっとしたことなんですが、かなり利便性が上がりました。
8、ダブルスロット
SDカードがダブルスロットになっています。K-3系、K-1系を踏襲。
大容量で、大量に撮れるということでもありますし、もっと、重要なのは、SDカードが2個刺さっていることで、物理的なカード故障などにバックアップとなっているという点ですね。一つ忘れても、一つは刺さっているし。
もちろん、写真を両方に保存することも可能なので、そういう意味でのバックアップも可能です(仕事でやっているのではないので、そこまでは必要ないのが正直なところですが)
スロット1の方は、高速通信のUHS‐Ⅱ規格にも対応していますが、星景撮影に関してはUHS-Ⅰで十分な性能です。
インターバル撮影なども問題なく回ります。
ダブルスロットは、バックアップに優れた機構ですね。
9、これまで通り便利な点
スマートファンクションという第3のダイヤルに機能を割り当てるシステムがあるのですが、これが引き続き便利です。さらに割り当てる機能を絞ることができるようになり、背面モニターの輝度調整である「アウトドアモニター」とISO感度の二種類のみに絞ることで、星景撮影時の利便性が向上しました。アウトドアモニター自体も便利ですし、また、モニターの赤色表示も可能です。
ライブビュー時の拡大設定が、これまで通り16倍までいけるのも、ピント合わせ時に助かります。後述するように、モニターが動かないのが大きな難点ではあるのですが、モニター自体は画質も向上し、現場で、かなり精密に画像が確認できるようになりました。
あとは、RAWの階調やシャドウ部分に記録されているデータの豊富さは、これまで通り信用できますし、やはりKPよりも一枚上手です。
それと、PENTAXのAPS-C用レンズ群も、考慮に値する点です。
レンズ群全体として、サードパーティー製の供給も乏しいPENTAXではあるのですが、それゆれになおのこと純正レンズのラインナップが重要になります。というのも、PENTAX機、フルサイズ用のレンズラインナップが、APS-C用よりも選択肢が…ちょっと…、いや…うむ。
何にせよ、特に、APS-C用であるHD DA★11-18mmは別格。写りもですが、ピントを固定するクランプ機構やヒーター用溝などの機構が、星景用として、唯一無二の存在感を放ちます。
この間、同じ新基準で作られた標準域のHD DA★16-50mmというのも発売されました、こちらはまだ使用したことないのですが、一度星景に使ってみたいことこの上ない。欲しい!(高い)
それと、魚眼。10-17mmというのも、星景用としては便利です。コーティングがリニューアルされたHD DA10-17mmが出ているのですが、私は旧smc版しか持っていません。ここも、いずれはアップデートしたいですね。
望遠域も55-300mmPLMなども、月を撮るのに重宝しています。これもAPS-C用です。
と、長所と思われる点を並べてみました。結構、ありましたね。
いや、光学ファインダーの新規設計やAF性能の向上など一眼レフとして大事な点を抑えつつ、星景用として見ても、色々と進化した点が多かったと思います。
K-3 MarkⅢ侮れぬ。
短所
次に短所ですね。うむ。
1、高価
あるレビューサイトで、「不可解なほど高価」と評された値段が、とりあえず、最大のネックです。確かに、高い。少なくとも、私は、安いとは言えない。
ただ、私の、限界小遣い写真生活でも何とかギリギリ到達できたので、いけるっちゃあいける(前向き。その後、貯金水準が全く回復せず、自販機でジュースを買うのも躊躇する生活を送っています)
一番悩ましいのは、現時点で、フルサイズのK-1ⅡよりもK-3 MarkⅢの方が高いということですよね。発売時期の違いなどもありますけれども。
K-3 MarkⅢ、ファインダーを大きくクリアに、ということで、このミラーレス全盛の時代に、レフ機の心臓部であるペンタプリズムを部材から見直して、高難易度の加工を経て、量産にこぎつけました。面構えが違い過ぎる。
なので、非常に開発に手間がかかっており、その規格をクリアできなかったペンタプリズムは、応募者全員プレゼントとして、購入特典に配られた(とまことしやかに言われる)始末です。
(購入特典キャンペーンとして配られたペンタプリズム。「一眼レフの未来を創る」)
いや、ファインダー自体はとても良いものに仕上がっていると思うんですよ。
最初に述べた実在論的感覚という意味でも、モニターではなく、直接光を見て撮影するというのは、感覚的には気持ちがいい。現代人、人生の大半をモニター見て過ごしてますからね、パソコンもスマホも、テレビも…。
スナップや、野鳥撮影をするときにはファインダー使いますしね。
ただ、あくまで、星景機として見た時はしかしファインダーは使いようがないということですね。
K-3 MarkⅢ、PENTAXが本気を出しまくったカメラであることは間違いない。
そして、この新開発ペンタプリズムを使って、K-1Ⅲ(まだ開発発表されてもいない)をつくった場合、結局、さらに一回り高いものになって、やっぱりAPS-CのK-3 MarkⅢの方が相対的に安かったということになる未来は、あり得る気はします。
ものは考えようです。
【2021.12.14追記】
星に光学ファインダー必要ない…そう思っていた時期が私にもありました。
いや、特に望遠で撮る時に顕著なんですが、光学ファインダーでだいたいの中心に明るい星を入れておいて、ライブビューに切り替えると、ピント合わせ用の星の導入がスムーズなことに気づきました…。
ライブビューだけで探すより、星が見つけやすい。明るい光学ファインダーなのも、星の導入がしやすいポイントなのかもしれません。
2、固定背面モニター
いやー。
背面モニターが可動しません。参りました。
星景撮影には、背面モニターを使うしかないので、こいつが可動しない以上は、人間が這いつくばるしかありません。やられた…。
膝パットなどは必須です。膝をついて姿勢を低くしてピントを合わせるというのが基本姿勢になります。場合によって、もっと姿勢を下げなくてはなりません。
大事なのはモニターにきちんと正対するということです。これを怠ると、モニターを斜めからのぞくことになり、結果、像がぼやけて、ピントが合いません()。
分かっていて、引き受けたことなので、あきらめるしかないのですが…モニターは一切動かん。もう、あきらめてほしい。
3、重量
ペンタプリズムが入ってるんですよね。ガラスの塊が…うん…。
いや、APS-Cなので、レンズ含め、見た目はコンパクトではあるんですが、ずしりと重い。
某社の某フルサイズミラーレス機を見てみると、本体650g+星景向けと思われる14mmのレンズが460gと計1110gとなっているようです。
K-3 MarkⅢの場合、本体820gに、11-18mmが739g、足して計1559g。
約1.4倍ですね。片やフルサイズ、片やAPS-Cなのに。…。
深くは考えないでおきます。
と、短所は、こういうあたりに集約されるかと思います。
項目数としては少ないようですが、果たして…、どうでしょう。
もっと安くフルサイズ機が買える(PENTAXで行くにしても)。
レフ機なのだが、星景では直接的メリットはない。加えてモニターは不動。
色々荷物を持っていく必要のある星景としては、重量もそれなりの判断指標ともなる…。
APS-Cで、レフ機でこの値段で、星景用として使う、…となると、どうしてもハードルはありますよね。
このハードルを越えてしまっていいものか、どうか…。
おすすめして良いのか、私も多少、躊躇するところもあるのですが、それでも、あえて、私に言えるとすれば、このルビコン川を渡ってみるのも一興、ということですね。
川のこっち側は、スペック競争とは無縁の世界です。
それが良いことと思えるならば…。
よしちょうど、計10000字を越えたところで、もう、良い頃合いですね(いつも通り、長過ぎる)。
言葉は尽くしました。これ以上、私が述べられることはありませんね。
後はもう、各位のご判断にお任せするほかない。
最後に、日食なつこ「四十路」の歌詞を引用し、結びとしたいと思います。
ちゃんと怖いかい?
ちゃんと不安かい?
火傷した皮膚は前よりも強くなるぜ
いつかこの砂漠が終わり
次の大地に向かう日も
俺たちに標識などない
俺たちに保障などない
俺たちに導きはない
〇も×もこの手で付けて
間違った日は 立て直すための歌を歌うだけ
間違わなかった日に 辿りつくまで歌うだけ
(日食なつこ「四十路」より)
あえて、レフ機で。
あえて、APS-Cで。
あえて、一枚撮り星景で。
自分自身で選んで、判断を積み重ねて、進んでいくしかない。
何にせよ、これを書き上げて、肩の荷が下りました。
ではまた。
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