うむ。
いよいよ、PENTAX APS-Cフラッグシップ機K-3 MarkⅢが、本日発売となりました。
そうですね。大変めでたい。
今回は、かなりマーケティングも力を入れているのでしょう。WEB媒体での記事も多いですし、実機も、ここ高知にも配置されていました。いやー、正直、こちらで触れると思っていなかったので、短い時間でしたが色々とメニューもいじって、触ってみました。
まず、確かにファインダーは良い。大きく、クリアです。
しかし、実は、それ以上に印象的だったのが、背面液晶画面の画質。撮った後のプレビューが非常にきれいに見えますね。うーん。デジタルカメラというのは、良いか悪いか、撮って、モニターで見て、また撮るというのが、ルーチンになってしまいます。その際に、おっ、きれいに撮れているなという感覚を受けるというのは、撮影のテンションを保つのに、実は、大事かもしれません。そういう印象を受けました。
そして、発売発表があってからこっち、色々と出てきた情報を統合すると、星景撮影機としても、なかなか、色々と進化しているように思います。
いや、もっと、早く言ってくれていたら、もっと早くから貯金をしたのだが(笑)間に合わないじゃないか、と。
だいたい、公式は、この1年、ファインダーのことしかいってなかったですからね(個人の感想です)。
ある意味、ふいうち。
というわけで、買ってないのに、K-3 MarkⅢの星景撮影用の機能を、わかる範囲でまとめておきたいと思います。
1、アストロトレーサーType2
いやいや、これが最大のサプライズでした。
全然、そんなこと言ってなかったじゃないかという(笑)
アストロトレーサー機能がアップデートされてしまった。
一介のアストロトレーサー使いにして、アストロトレーサーを使いこなすことにアイデンティティすら見出しつつある私にとっては、取扱説明書でこれを見つけた時は衝撃でした。
取扱説明書を見てみましょう。
Type2は、「星景撮影に適した天体追尾撮影を行う」とあります。
これは、先日、リコーイメージングが開催するK-3 MarkⅢの新機能紹介オンライン講座があったんですが、そこで最後に触れられていました。
いわゆる、ハーフモード、とのこと。恒星の動きに100%追尾するのではなく、半分の速度で動かすことで、星の移動(流れ)を抑えながら、地上風景の流れも抑えるというモードのようです。
今、公式の商品ページ見てみたんですけど、いや、…アストロトレーサーの項で、Type2にふれていない。なぜ!?
なぜなんだ。
まあ、なぜかもうほんとわからないんですけど、とりあえず、おいといて、写真家の木村琢磨氏が、実際に使用されています。
PENTAX K-3 Mark Ⅲ+HD PENTAX-DA★11-18mm F2.8 ED DC AW
— 木村琢磨🐾/書籍『風景写真の7ピース』発売中 (@PhoTones_Re) April 7, 2021
ISO6400で撮影。アストロトレーサーはType2の星景モード⭐️
ポラリエについてた1/2モードがカメラでできる様になったのは嬉しいですね。
高感度に麻痺してきてるけど、ISO6400だとノイズはほとんど感じないかも。 pic.twitter.com/iStbJngzXm
このツイートを見てみると、11-18mmとの組み合わせで、さすがの写真をだしてきていますね。ここでも言及されていますが、ポータブル赤道儀などで実装されていた機能だったわけですね。
これができるようになった。これはでかい。
私は、今、KPのアストロトレーサーは、11-18mmとの組み合わせで、最大で40秒、通常は30秒までしか使用していません。これ以上は地上のブレが目立つためです。私は、これをほぼ固定撮影と呼んでいます。
これがハーフで動くということは、単純に倍まで行けると考えて、60秒の露光がかけられることになります。
ということは、レンズのF値でいうと1段分明るく撮れるということに等しい。感度でなら半分(つまりノイズも少なく)で撮れるということです。
これは、運用次第で色々な使いこなしが出来そうです。
闇夜で、地上を浮かび上がらせるために、高感度×Type2で、露出を稼ぐ。
あるいは、露出が十分なら、感度を下げて、ノイズを低減させる。
もしくは、Type2で、かつ ほぼ固定撮影で撮ることで、地上のブレをさらに低減させるなど、…。夢が広がる…。なんだ、ほんとにもう。
早く言って、ほんと…。
2、アストロトレーサー×インターバル
現在、これが実装されているのは、実はKPだけというレア機能だったんですが、取扱説明書をみると、これができないことになっていました。
赤で色を付けた部分ですね。×と書いてますね。
これ、間違いだそうです(笑)えー??
先に述べた、オンライン講座で、この点フォローされていまして、「できる」とのことです。
この機能便利でして、私は、これを雲の流れる夜に、雲の形の当たりを引くのによく使います。私の通常運用に深く組み込まれた機能、これがサポートされるのはひきつづきありがたい。
3、インターバル撮影の諸機能
こちらで、UI担当の中の人、ジョニー氏がインターバル撮影機能を詳しく解説してくれています。
詳しくは、記事をよんでいただくと、よくわかるんですが、まあ、インターバル撮影も進化している…。なぜ、もっと早くアピールしてこない!?
・撮影回数の上限が大幅に増えて、無限も設定できる。
・インターバル合成中の、画像保存が、これまでは、途中保存は、合成されたものだけだったんですが、最終の合成とは別に、一枚一枚、素の写真を残すこともできるようになったようです。
・撮影所要時間をカメラ内で計算、表示してくれる。インターバルを設定したら、何分かかるか表示される。地味に大事な点だ。今まで、スマホの電卓で計算していたので、大変便利になりますね、これは。
・撮影間隔の自動設定「最短」の動作が改善されている、らしい。ここは、KPだと、高感度、長時間露光をすると伸びていたので、改善されているといいなあ…。どうだろう。
4、高感度
最高ISO感度1600000。うん、ゼロが多すぎてわからん。
1,600,000、カンマをつけるとだいぶわかりますね、160万。
いや、結局、数字が大きすぎて、感覚がつかめない(笑)
高感度性能に関しては、実際に現場で使ってみないと確かなことは言えません。
これは、究極的には、自分で買って確かめるしかない。
しかし、下の、八百富写真機店さんの、K-1Ⅱとの比較がかなり参考になります。
うーん、…、K-1Ⅱはフルサイズ機なわけですが、APS-C機のK-3MarkⅢの方が、上回っている…。すごい…。
特に51,200、あたりから差がついてくる感じに見えます。
このあたりのノイズ感なら、ひょっとするとRAWから現像すれば、ノイズをだいぶ消せるかもしれません。
あるいは、その半分25,600が使えるのであれば、これも、相当に撮影の可能性を広げてくれます。
ISO25,600×アストロトレーサーType2が、作品撮りとして使用可能と仮定すると、これは、月も何もない暗闇から、前景を浮かび上がらせることが可能な感度です。
ここら辺の高感度は、使ってみたいなぁ。そして、作品の可能性を広げたいなあ。
最近、星景のひとつのトレンドとしては、F2.8よりも一段以上明るい広角レンズで、撮影するという流れが見られるように思います。
残念ながら、PENTAX純正には、そういった広角レンズはありません。
しかし、これだけの高感度が可能となると、この不利は、実際の運用上、問題にならない。F値が一段暗いなら、一段感度を上げてしまえばいい。力技。
そして、下手をしたら逆にF4あたりに絞って、周辺画質を向上させ、コマ収差、非点収差などを改善するということもできるかもしれません。まあ、ここまでくると、高感度の暴力というか…、いや、さすがにこれは無理かな。
できたらいいな、と(笑)
5、バルブタイマーの動作変更
細やかな点ですが、アストロトレーサー時のバルブタイマーの挙動が変わりました。
バルブタイマーというのは、バルブ撮影時に、タイマーで露光時間を制御できるわけですね。
これまでは、10秒、20秒、30秒でした。
これが、30秒以下が、かなり細かな区分になっています。
実機を触った時に動画をとってきました。
あと、実は昨日のセミナーでも時間がない中質問したのだが、バルブ時(というかアストロ時かも)のバルブタイマーが、30秒までが細かく刻めるようになってる。やはりな、そうだと思った。
— YamamotoFHironaga (@fourier2010) 2021年4月23日
これは標準域の星景の使い勝手が上がりますよ☺️ pic.twitter.com/Hr8cqsYxTF
書いているように、標準~中望遠レンズで星景を撮る時にアストロトレーサーすると、10秒では長い、あるいは20秒では長い(地上がブレる)けど、10秒では短いとかそういう事態がありました。
ここを、もっと、細かく設定ができる。正常進化。
そして、もうひとつ、流星群撮影の時に、流星を写すために、高感度を生かしてISOをあげるとします。例えば25,600が使えるとして、そこまであげる。そうすると、空の明るさ、月のありなしにもよりますが、10秒でも空が明るすぎるという場合があるわけです。これを、例えば5秒として、アストロトレーサー×インターバルで、連打するという運用ができます。
そして、その場合、ダブルスロットによるSDカードの高容量化が活きても来ます。いくらでも撮れてしまう。(そんなことしたら、まあPCのHDD容量は、やばいわけですが(笑))
と。
だいたい、こんなところでしょうか。
今回、K-3MarkⅢは、ファインダーに注力したこと、そして、動体追従性能を、当社比でかなり向上させたことなどが、押しポイントなのですが、実は、星景機としても、完全に進化している。高感度なんか、控えめにいっても、APS-C機として限界を超えている。もっといえば、APS-C機は高感度に不利などとは言わせないぞという気迫すら感じます。
いやー、それがね、いうほど、公式が、星関係については、推してきてないわけですよ。もう。なんでなのか~。
これだけ進化しているのに。アピールしない。
公式に、アストロトレーサーType2すら載せてない。よし、潔し。
ただ、正直、ここまで、星景用機能をアップデート連打されると、買わないとは言えない。
もう、心は、…いや「覚悟」は決まりました。
これはもう、買うしかない…。
しかし、うちの家訓は「一切のローンは、これを禁ずる」なのです。つまり現金が貯まるまで、入手できません。私の貯金速度で計算すると、購入可能になるのは、早くても年末、あるいは、来年年明けごろか…。長い道のりですが、歩んでいくしかない。
というわけで、買ってもいないのに、勝手にK-3MarkⅢの星景機能をレビューするという荒行でした。
また、ひとつ、この世にわけのわからない記事を生み出してしまった。
ご笑覧ください。
ではまた。
追伸 その後、7月初頭、買ってしまいました。ここで書いたことが妥当なのかどうか…検証を急がねば。しかし梅雨が晴れぬ。