うむ。
PENTAX…衝撃のブレイクスルーを、起こしてきました。
アストロトレーサーType3(ベータ版)のテストファーム公開。
アストロトレーサー界隈、激震。
まったく、こんなことになるとは考えてもみずに、K-3markⅢを入手した、星撮影メインの身としては、ただただラッキーというほかない。
これまでのアストロトレーサーは、GPSを使って星追尾をしていたんですが、Type3はカメラ単独で、星の動きを画像解析し、ボディ内手振れ防止機構を使って星を追尾するようになりました。
つまり、カメラと三脚さえあれば星を追尾するということに…。
…なんてこったい。
まさか、こんな機能を、秘密裏に開発していたとは…。
リコーイメージング…なかなかの策士…。
とりあえず、今は、K-3markⅢに限っての搭載ということになっています。
このインタビューを読むと、K-3markⅢにGPSユニットが非搭載なのは、この機能の実装を見越していたこともあったようです。
つまり、だいぶ前の段階から、アストロトレーサーType3の開発が進んでいたということですね。
アストロトレーサーType3の衝撃
とりあえず、いくつか、撮影したものを見てもらいましょう。
PENTAX K-3 MarkⅢ レンズ DA55-300mm PLM 焦点距離 300mm
ISO2000 SS30秒×10枚 F6.3 アストロトレーサーType3使用
2021.12.07 高知県にて
ちゃんと星が流れずに止まっている…。
オリオンの小三ツ星にある、オリオン大星雲です。300mmのズームレンズで。
開放F値が暗いレンズですが、ご覧の通り、アストロトレーサーType3と組み合わせれば十分に星を撮影することが可能です。
これは、10枚の画像をスタックしてから、画像処理・トリミングしました。
(天体写真の現像は、経験がなく、正解がまったくわかりません)
PENTAX K-3 MarkⅢ レンズ DA55-300mm PLM 焦点距離 300mm
ISO800 SS30秒 F6.3 アストロトレーサーType3使用
2021.12.07 高知県にて
こちらは、1枚撮りで。ほぼノートリミングです。
300mm(35mm判換算で約460mm)だと、これくらいの大きさということですね。
PENTAX K-3 MarkⅢ レンズ DA55-300mm PLM 焦点距離 88mm
ISO800 SS60秒×15枚 F4.5 アストロトレーサーType3使用
2021.12.09 高知県にて
もう少し引きで。88mmで撮影。
こちらは15枚をスタックして処理。
PENTAX K-3 MarkⅢ レンズ DA55-300mm PLM 焦点距離 108mm
ISO12800 SS30秒 F6.3 アストロトレーサーType3使用
2021.12.11 高知県にて
今話題のレナード彗星を撮影してみました。
今は東の空ですが、そのうち西の空(つまり夕方)に回ることになります。
本当は300mmで撮りたかったんですが、私の腕では、300mmでフレームに導入することができませんでした。
見ての通り、薄明がはじまっており、時間もなかった。
でも、彗星の尾も見えるので、上出来だと思います。
必要なのは、カメラと三脚だけです。
PENTAX K-3 MarkⅢ レンズ DA55-300mm PLM 焦点距離 55mm
ISO6400 SS30秒×14枚 F4.5 アストロトレーサーType3使用
2021.12.11 高知県にて
オリオンの頭まで入れたバージョン。
アストロトレーサーType3の特徴
基本的に、まだ、中望遠・望遠側しか試していません。
メーカーとしても、望遠側での撮影を意図して開発した機能らしいです。
しかし、広角でも使える場合もあるとのこと。
いずれ試してみないといけないとは思いますが、広角側はメーカーでもこれまでのType1、2を推奨しているようです。
Type3は、画像解析で星の移動量を計算し、センサーを動かします。
なので、GPSユニット経由で星を追跡するよりも、少なくとも望遠側では、追尾精度が高い。
星がどの向きにどれだけ動いているか、分かっているので、後は追うだけです。
これは、これまでの、アストロトレーサーの弱点を補うものと言えます。
画像解析には、確かなことはわからないのですが、予備撮影=約20秒+解析に10秒ほど使っているような動作音がします。
つまり、一枚撮るのに、30秒ほど余分にかかるということになります。
ただ、インターバル撮影時は最初の画像解析だけで良いです。最初の解析をした後は、インターバル撮影中、その解析結果に基づいて、追尾します。
しかし、赤道儀を使うのと違い、構図が変わっていくので、ある程度追尾したら、もう一度構図合わせをしないといけないということになります。
いくつかの条件で試したみたところ。
地上の景色の割合が大きい場合や、雲が多い場合は、画像解析がうまくいかずType3が発動しませんでした。この辺りは弱点ですね。
つまり、まとめると。
長所は、①カメラ単独で星を追尾する=設置が恐ろしく楽、②望遠側の追尾精度が高い。
短所は、①画像解析時間が必要、②赤道儀と違いインターバル撮影で構図が変わる、③条件によって画像解析が成功しない。
ということでしょうか。
長所①のカメラ単独で星追尾をする、はとても大きな長所だと思います。
星撮影のハードルを大変下げてくれます。
例えば、私の場合だと、星景撮影時に、バッグに望遠レンズを入れておいて、最後の〆に、天体撮影もしてくるというのが面白いかもしれません。
つまり、いつも3つのレンズを持っていくようにしているのですが、11-18mmと10-17mmフィッシュアイズーム、そして、55-300mmPLMを持っていくという装備になりそうです。
オリオン大星雲以外にも、アンドロメダ銀河なども、良いType3のターゲットになりそうです。それぞれ大きな星団なんかも良いかもしれません。
そして、時々に現れる、彗星のような被写体も面白いですね。
ふーむ。歓迎すべきアップデートになりました。
まだ、ベータ版ですので、気づいた点を送っていたら、正式版では、改善されるかもしれませんね。
とりあえず、色々と使い込んでみたいと思います。
いや、しかし、衝撃の機能アップデートでした。
ではでは。
追伸 そういえば、書き忘れていました。私、星を撮るのに光学ファインダーは必要ないと思っていたんですが、特に望遠側で星を導入するときに、ファインダーで明るい星を探してから、ライブビューに切り替えた方が、星を導入しやすいことに気づきました。
光学ファインダー…星でも意味があった(笑)