シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

アストロトレーサーType2についての覚書

うむ。

そうですね。

とりあえず、PENTAX K-3 mark Ⅲを手に入れたからには、これだけは早めにレポートしておかないといけないという謎の使命感がありました。

早めに責任を果たしておきます。

 

ただ、アストロトレーサーに必要なGPSユニットO-GPS1ですが、現在、「調達部品の生産終了」ということで、ディスコンとなっているという…。

リコーイメージングはすでにO-GPS2の開発を発表しているので、少なくともアストロトレーサー機能は今後も存続させていくのだとは思うのですが、将来はともかく現時点が、大変、厳しい状況。

うーん、世界的な半導体不足のあおりでしょうかね。

news.ricoh-imaging.co.jp

 

という、アストロトレーサー史上最大の逆境ではありますが、とりあえず、K-3markⅢから新装された、アストロトレーサーType2をレポートしておきたいと思います。 

いや、私、去年、1台目のO-GPS1が不調に陥って、2台目を購入していたんですよね。ギリギリのタイミングでしたね…。O-GPS2まで待たねばならないところでした…。

 

アストロトレーサーType2

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PENTAX K-3markⅢ レンズ HD DA★11-18mm アストロズーム 焦点距離 12mm

ISO1000 SS30秒  F2.8  ほぼ固定撮影

2020.07.19 高知県安田町にて

 

クリックをすると拡大表示できると思います。星の流れと地上のブレを見くらべてみてください。

 

なるほど、星の日周運動を半分の速度で追尾するというType2。確かに、Type1とアストロトレーサーなしの中間の効果が出ています。

 

Type1は見てもらうとわかるのですが、星がかっちり点像になっています。きれいに追尾できているわけですね。しかし、地上は、その分、ブレてしまっています。

逆に、アストロトレーサーなしでは、地上は、もちろんブレ無しですが、日周運動により星が流れてしまっています。

 

星を追尾しなくても星があまりブレずに写せる「固定撮影」。その固定撮影の大体の目安露光時間は500ルールで求めることが出来ます。

式としては

500÷焦点距離=X秒

となります。

 

この場合の焦点距離はフルフレーム換算なので、12mmを換算し(1.5倍し)18mmとなります。

つまり、

500÷18=27.7秒

という数字が出てきます。

なので、30秒の露光時間というのは、この固定撮影の時間にほぼ適合しているのですが、アストロトレーサーなしをみてもらうとわかるように、厳密には、その範囲でも星が日周運動で流れて写っています。

 

Type2と「ほぼ固定撮影」

なるほど。

ということで、Type2の効果は歴然としていますね。

完全な星追尾ほどは地上がブレず、しかし、星も完全な固定撮影ほどは流れない。

 

Type1と比べて、多少の星の流れは起こるのですが、「ほぼ固定撮影」の範囲にとどめる限り、許容範囲に収まる、と言えると思います。

つまり、私は、少し勘違いをしていたようです。

アストロトレーサーType2になると、露光時間が伸ばせるとおもっていたのですが、というよりも、より地上のブレを抑えられるという方がどうも正しい。

もちろん、露光時間を伸ばすのに使って、どこまで地上ブレが許容範囲に抑えられるかという使い方もなしではないと思います。

しかし、どちらかというと、これまでの「ほぼ固定撮影」を発展させて、ほぼ固定撮影時にさらに地上のブレを抑制できるという運用がベターなのではないか…と。

 

これまでのほぼ固定撮影は、まだ未完成だったということですね。

これまでは、つまり、Type1の状態でほぼ固定撮影を名乗っていたわけですが、これが、子細に比べてみるとそれなりにやはり地上がブレている。

対してアストロトレーサーType2は、地上のブレがかなり抑えられています。アストロトレーサーなしと比べるとわずかにブレているのですが、なるほど、しかし、かなりシャープです。

Type2、どうやら、私にとっては、ほぼ固定撮影を完成させるための最後のピースだったようです。

shironagassu.hatenablog.com

 

ただですね、SNSとか、ブログに掲載するサイズだと、それほど違いは判りません(笑)

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上からType2、Type1、アストロトレーサーなしなのですが、まあ、拡大しないとあまり判別できないと思います。

 

ただ、しかし、そのわずかな違いが、プリントした時や、ブレが目立ちやすい被写体(例えば花や葉など)では、結構効いてくるのではないかと思います。

 

星景はType2で撮っておくというのは、私のように、基本的に1枚撮りで仕上げようという場合は、非常に良い選択肢になるのではないかな、と。

しかし、これからK-3markⅢを買って、Type2を利用しようとしても、O-GPS1が手に入らない…可能性が…高い…。困ったな。

 

普通に、高騰している(笑)いや、笑い事ではない。

く、O-GPS2を急いで……頼む…リコイメ……。間にあわなくなってもしらんぞーーーっ!!

 

ではまた。

 

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K-3markⅢの星景用ユーザーモードを夜な夜な詰めている件

はい。

いや、本日、四国地方、梅雨あけ発表されたようですね!めでたい。

 

いやー、K-3markⅢは一度曇りの日に撮影に出て以来、撮影に出るチャンスすらなかった…がいよいよ始動できるか。

そろそろ月が、半月を越えて、満月に向かっていっている…。く、急ぎ撮りにいかねばならないじゃないか。

 

というわけで、この間、雨が降りしきる中、ユーザーモード星景撮影仕様にするために、色々いじったので、とりあえず、載せておきます。

まだ、使用はこれからで、使い勝手がどうなのかは…全くの不明です(笑)

 

夜な夜なユーザーモードを詰める

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うむ…。サムネイル用にほぼ曇りの日、唯一撮影に行けた一枚を貼っておきます…。

 

以前KPのユーザーモードを記事にしているのですが、今回もこれがベースです。

shironagassu.hatenablog.com

 

ユーザーモード1=STARRYSCAPE

ISO6400、F2.8、30秒、

カスタムイメージ・風景、ホワイトバランス・蛍光灯W

2秒セルフタイマー

アストロトレーサーType2 ON

各種補正、ノイズリダクションはOFF

RAWファイル保存

 

基本の設定。「 ほぼ固定撮影」用。

ほぼ固定撮影というのは、アストロトレーサーを使いながら、星があまりぶれない秒数だけ露光する「固定撮影」をすることで、星と地上のブレのバランスを撮る撮り方のことです。ほんのちょっと星追尾するので「ほぼ固定撮影」なわけですね。実は、ずっと言ってますけど、特に広がりません(笑)(詳しくはこの項の末尾のリンク記事参照)

 

KPはISO4000を基本にして、ユーザーモードを組んでいましたが、とりあえず、K-3markⅢは6400で試行してみようかという…。

カスタムイメージがこれまで「フラット」でしたが、K-3markⅢはAdobe Lightroomのカメラマッチングの対象となっているため、疑似的にカスタムイメージが使えるということで、「風景」に設定して色味を見てみることに。

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Lightroomの画面。左上から、「鮮やか」、「ナチュラル」、「雅」、「人物」、「風景」の疑似カスタムイメージ(らしい)。

ちなみに上のサムネイル用写真は、カメラ風景で現像しています。Adobeの風景より、黒が締まるのとマゼンタが少し混ざるのが特徴です。

 

アストロトレーサーについては、まずは新装されたType2を使いこんでみようと。

一度使ってみた感触だと、Type2は、露光時間を引っ張るというよりも、地上のブレを抑えることが主眼なんだなと言う感触。なるほど、それはそうだな。勘違いしていた。

星の日周運動ブレを多少許容して、その分、地上のブレを抑えるモードなわけだから…。

これは、だから、(今まで地上ブレをいかに抑えるかと考えていた)考え方を逆にして、どの秒数までなら、星のブレが許容できる範囲に収まるか…ということになりますね。

なので、露光時間は、今まで(上のリンクのKPは40秒でしたが、その後30秒に修正しました)と同じ30秒から、まずは試行していってみます。

 

shironagassu.hatenablog.com

 

ユーザーモード2=INTERVAL_ASTRO

ISO6400、F2.8、30秒、

カスタムイメージ・風景、ホワイトバランス・蛍光灯W

2秒セルフタイマー、インターバル撮影(撮影間隔・最短)

アストロトレーサーType2 ON

各種補正、ノイズリダクションはOFF

RAWファイル保存

 

これは、アストロトレーサーインターバル用の設定。

撮影間隔を「最短」に設定。

これ現場ではまだ試していないんですが、夜な夜な設定を弄り回して試した結果、「最短」、ほぼ間違いなく使えるだろう…と。試行では、ほぼ間隔なしで連続して、インターバルが回ります。

KPにも、実は「最短」設定あったんですが、ISOを上げ露光時間を伸ばすと、最短が4~5秒くらいに伸びてしまうという弱点があったのです。

もしかしたら、連写機として、連写バッファがKPからはかなり増加しているようなのですが、その同じリソースを使っているのかもしれない(違うかもしれない)。

とにかく、K-3markⅢの「最短」はちゃんと使えそう。

ということで、設定。

これも、現場で少しずつ詰めていってみます。

 

ユーザーモード3=INTERVAL_COMPOSIT

ISO6400、F2.8、30秒、

カスタムイメージ・風景、ホワイトバランス・蛍光灯W

2秒セルフタイマー、インターバル合成(撮影間隔・最短)・途中画像保存(元画像)

アストロトレーサーOFF

ローパスフィルター強

各種補正、ノイズリダクションはOFF

RAWファイル保存

 

比較明合成用の設定。

おそらく、ローパスフィルターレスのため、星の軌跡にモアレが起こるだろうということで、ローパスセレクターを「強」で設定。

アストロトレーサーもしっかり切る。ここら辺を忘れないのがこのユーザーモードの役割ですね。

K-3markⅢから、設定できるようになった、途中画像保存=「元画像」を選択。

「合成後」保存が良いのか、「元画像」保存が良いのか。「元画像」にしておくということは、より柔軟に、PCでの編集が可能になるということ。

最終比較明合成画像が、それでそのまま使えるならそれでもいいし、Adobe PhotoShopで編集しても良いしという2段構え…。

これは…良いのでは(妄想)。

 

ユーザーモード4=LONG_EXPOSURE 

ISO160、F2.8、1200秒(20分)、

カスタムイメージ・風景、ホワイトバランス・蛍光灯W

2秒セルフタイマー

アストロトレーサーOFF

ローパスフィルター強

各種補正、ノイズリダクションはOFF

RAWファイル保存

 

私が良く使う20分長秒露光用の設定。

基本的に、KPの時のものを踏襲していますが、基本ISOを6400に上げたため、対応するようにISOを160に。ここら辺も、現場で調整してみないといけないですね。 

ローパスセレクターの入れ忘れがないことと、アストロトレーサーをしっかり切ることが、このユーザーモードを設定する一番大事なところですね。(まあアストロトレーサーがONだと、20分露光できませんが)

 

shironagassu.hatenablog.com

 

というわけで、設定だけ詰まってしまった。

今日は、月曜であるが、出なければならないか??

 

そうそう、K-3markⅢ、ダブルスロットでカード2枚挿せるので、最安な64GBのものを2枚買い増してみました。スロット1はUHS-Ⅱに対応していて、連写をするなら欲しいところですが、私はむしろ、シャッターユニットの耐久がもったいないので、連写しないと思います(笑)ので、UHS-Iのもので当面は行けそうです。

カード2枚挿しは、容量増加の意味もありますが、カード不具合が万が一生じた場合の物理的バックアップという意味合いの方が大きい気がしますね。KPもバッテリーグリップの中に一枚予備が仕込めるのですが、意味合いとしてはそれとほぼ同じです。

 

うむうむ。

ではまた。 

 

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星景サルベージその100 渓流のオリオン

うむうむ。

前回、謎の長文を書いて、お迎えしたK-3markⅢですが、全然晴れないので、星を撮りにいけていません。うーん。

厳密には一度、撮影には出たのですが、現場について30分で全面的に曇りましてね。ほぼ、何も撮れず…。

 

というわけで、今回はサルベージです。

節目の100サルベージを、選を乗り越えた奴で迎えられました。ありがたい。

 

渓流のオリオン

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PENTAX KP レンズ HD DA★11-18mm アストロズーム 焦点距離 11mm

ISO800 SS1200秒 F2.8 20分長秒露光

2020.11.14 高知県土佐町にて

 

渓流の上にかかるオリオン。20分長秒露光はオリオンと相性が良く、オリオンとちょうどわかるくらいに、星の軌跡の長さが収まります。もちろん、オリオンという夜空で一番目立つ星座なのも功を奏していると思います。

 

これは、ペンタックスリコー写真年鑑2021-2022に、掲載していただきました。

初。

写真年鑑は、ペンタックスとリコーのカメラで撮られた応募写真からセレクトしてつくられた写真集ですね。

公式ページから引用すると…。

約50年の歴史を持つ「写真年鑑」は、A4判の豪華製本による写真集で、毎年1回(6月末日)の発行です。
時代を反映した内容だけでなく、印刷・デザインとも最高レベルを誇る写真集として、各方面から高い評価を得ています。
創刊以来、掲載作品の大半は会員からの公募作品によって構成しております。
そのほか、リコーイメージングフォトコンテストの上位入選作品、合わせて170点を超える力作を掲載しており、見応えのある内容です。

とのこと。

 

実のところ、こんなにきれいに印刷された自作品を見たのは初めてというくらいには、印刷のクオリティが高かったです。

今年、初めて、この年鑑をいただいたんですが、このクオリティは、ちょっとグッときました。

 

うーん。ありがたい。

今年は、実は、故あって…県展の応募を断念したので、その代わりと言っては何ですが、気持ち的に落ち込んでいたのを救われた思いです。

まあ、故あってと、言葉を濁すのもなんなので、理由を書いておきますが、今年の高知県展の審査員が飯沢耕太郎氏なんですけれど、私は、氏の写真評論に関しては、同意できないものがあり、価値観が合わないなということなのです。

特にジェンダー観の部分ですね。

まあ、そういうこともある。

 

めげずに、下半期も撮影頑張りたいと思います。

うむうむ。

K-3markⅢを早く使いこみたい…。

 

ではまた。

 

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PENTAX K-3 MarkⅢ 、その「不合理」な選択

曰く。

機材は、長雨と共にやってくる。

うむ。私が言っているだけなんですけど。

機材を迎える時というのは、概して、梅雨や秋雨など天候不順の時期が多い…。雨の時というのは撮影に行けないので、ネットで機材を見続けることになるんですね。なので、致し方ない。

 

さあ。

いや、というわけで、来てしまいました。

しまいましたという表現がふさわしい。想定外に早く入手できてしまった。

PENTAXの放つAPS-Cフラッグシップモデル、K-3 MarkⅢ。

 

正直、もっとずっと先になると思っていたんですよ。

しかし、色々な要素が重なった結果、自分でも完全に想定外のタイミングでゲットしてしまった…。まず、気持ちが追い付いていない(笑)

 

なので、やはり、こういう時は、この気持ちを言語化しておかないといけない。

ということで、したためておきましょう。その選択の意味を。

 

K-3 MarkⅢという選択

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Go on a journey.

K-3 MarkⅢは、どんなカメラなのか。一言で言うと、PENTAXが昨年発表したステートメントを体現したカメラ、ということになります。

 

写真が好きだからカメラを造る。
写真を愛するからこそ、写真をよく知るからこそ、写真好きに選ばれるカメラを造る。

対話するように撮れるカメラを理想とする。
感性と創造力を駆使し、被写体と言葉を交わすように自分だけの画を創れるカメラをめざす。

撮影プロセスまで愉しめるカメラにこだわる。
ファインダーを覗く、ピントを合わせる、シャッターを切る、画を創る。すべての「撮る快感」を追求する。

数値では測れない領域まで挑む。
数値的な高性能だけを求めるのではなく、開発者自身の感性をも盛り込んで深い味わいを追求する。

ユーザーの「写真体験」を資産とする。
ハードウェアだけでなく、撮る、創る、鑑賞する、すべての心躍る「写真体験」をユーザーと共有したい。

この5つのステートメントに形を与えたのが、K-3 MarkⅢというカメラ。

 

と言っても、よくわからないかもしれない。(私も、よくわからん(笑)

光学ファインダー(OVF)に拘り、高難度の加工が求められる新素材ペンタプリズムを搭載し、APS-Cセンサーでありながら、フルサイズ並みの大きさのファインダーを載せた。と。

それは、どういう意味があるのか。

OVFの「撮る楽しさ」というのが、良く言われることですが、その楽しさの本質は、想像力を掻き立てる部分にあるんだろうと思います。目の前の光景と会話するように、露光時間を決め、絞りを決め、構図を決め、そして想像力を駆動させ、一枚の写真を写す。

それは、良い意味で、予想を裏切られるという感覚なのではないか。

これを、以前書いたように、フェラーリスの新実在論になぞらえて、「抵抗」という概念で考えてみても良いのかもしれません。

 

撮影者は、写真機を通じて、この世界を撮る。

その時、世界は、撮影者の期待や予測を裏切って、知覚に抵抗=修正不可能性を残す。

フェラーリスの新実在論の)その力点は、知覚経験の抵抗、その修正不可能性にある。われわれの知識や概念的スキームに抵抗し、我々の存在から独立した感覚で捉えられる世界それ自身の実在を強調する。「我々の期待に反する世界の抵抗と、世界が我々に保持する意外性(surprises)は、どんな認識論的な構築からも独立した存在論的な実在性があると証明する優れた議論であるように見える」『実在論の新展開 ポストモダニズムの終焉』(河野勝彦、文理閣、2020年)より、強調は引用者

そう、だから、この世界は確かに実在する。その実在を、OVFは、そして K-3 MarkⅢは、証明し続けていく。

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撮影者から独立した「実在する世界」との対話。

それが、写真を撮ることの、一つの、本質的な意味であり、そのままならなさ、意のままにはならない抵抗こそが、私たちに驚きを与え、楽しませてくれるのではないか、と。

逆にいえば、今、その意味は根底から脅かされているともいえます。世界に写真機を向けなくても、最終的な画像=アウトプットを、AIを用いて、写真ライクに作成することも技術的には可能となってきました。この時、「写真」にとって、実在的世界は必要とされない。

だからこそ、私は、写真に対してあくまで実在論的アプローチをとりたい。AIが作成した「どこでもない、いつでもない」画像に、果たして意味があるのか、少なくとも私には意味が見いだせない。

ですので、実在論的アプローチを目指す私は、大げさに言えば、いつかは、このK-3 MarkⅢを手に取らねばならなかっただろうと思います。これは必然の出会いだ、と。

 

「不合理」な選択

しかし、一方で、この選択が、とても「不合理」なものだとも考えています。

実のところ、私のメインの被写体は、星景写真であり、ノイズやダイナミックレンジなど画質面からいえばフルサイズ機の方が、やはり有利です。

そして、PENTAXがK-3 MarkⅢに本気を出しすぎたことにより、フルサイズ機K-1 MarkⅡよりも、K-3 MarkⅢの方が高い。

どうしてこうなった…。

 

合理的に考えるならば、星景写真がメインの被写体である以上、このタイミングでフルサイズに移行する「べき」だっただろうし、完全移行しないまでも、手元に、フルサイズ機とAPS-C機の2つのセンサーサイズがあることで表現の幅が広がる…。

コスト面でも、K-1Ⅱにアドバンテージがあった。

 

また、モニターも、K-1Ⅱがフレキシブルチルトという可動域の広い機構なのに対し、K-3 MarkⅢは、モニターが一切動かない、不動。ノンフレキシブルモニター。

星を撮る時はどうしても角度がつくので、モニター動いてほしいんですよね…本当は。

 

そして、合理的ということでいうならば、電子ファインダー(EVFの方が、仕上がりを確認しながら撮れるという意味で、合理的なシステムだろうと思います。

ペンタプリズムという重いガラス部品を使わなくて良いので、本体も軽くできる。

また、本当に何度もいいますが、PENTAX本気出しすぎた結果、このペンタプリズムが高屈折率の新素材となり、高難度の加工が要求され、大変開発に時間がかかり、値段も高くなり、と、ある意味で「不合理」極まりない。

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合理性。

近代的主体という概念は、その成立過程において、人間の合理性を前提として発展してきました。「自由で、自律的」な近代的主体。自らの意志で、自らの行動を決めていける者、そこに合理的人間像――つまり、道理にかない、説明ができ、無駄がなく、能率的で、独立した、ある種の理想的人間が措定されている。

しかし、問わねばらないのは、私たちは、本当に、合理的だろうか?ということなのです。

いつも道理にかない、自分の行動を明快に説明でき、何事も無駄なく、常に能率的な行動をとり、確固として独立している?はたしてそうでしょうか。

私は、私たちは、本当は、不合理な存在なのではないか、と思うのです。

 

例えば、風邪をひくこともあれば、メンタルがへこむときもある、時に誤った選択をし、道に迷い、誰かのために自分のことは後回しにする、そんなこともあるかもしれない。

私たちはヴァルネラブル(傷つきやすい)で不完全な存在として、互いに応答し合いながら、不合理に生きざるを得ないのではないか。

そこに、生活というものの本質があり、非理想的な等身大の個別具体的人間像が見えてくる。それは、とても人間らしいことなのではないか。

 

だから、私たちは、時に「不合理」な選択をする。

星景だからフルサイズが良い?

コストパフォーマンスで見ても、K-1Ⅱの方がお得?

モニターは可動する方が便利?

OVFよりも、EVFの方が撮影効率が良い?

ええ、確かに、そうなんだろうと思います。その合理性をいったん全部飲みこんだ上で、あえて、この「不合理」な選択肢を選ぶ。

その選択は、少なくとも、多分に人間らしい。選択の理由としては、それだけで、十分なのかもしれない。

 

わずかな優位性

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K-3 MarkⅢは、だから、「不合理」な選択なのかもしれませんが、優位性がないかというと、それもまた違う。

そこには、小さいかもしれないけれど、優位性もあると思っています。

 

まずは、何と言っても、このK-3 MarkⅢ…なんとアストロトレーサーが進化してしまった。

アストロトレーサーというのは、PENTAX機に搭載されているGPSを利用したセンサー駆動による星追尾システムですね。これによって、星を点像で写すことができるわけです。

これに、星景用のType2なる新モードが搭載されてしまったのです。

センサーが動くということは、星は点像になりますが、その背景(前景)となる地上はブレてしまうということですよね。しかし、星の追尾速度を半分にすることで、この地上ブレを抑え、限界を伸ばすType2。

 

いやいやいやいや、やってくれたなあ。と。

私、公開されたK-3 MarkⅢの説明書を眺めていて、これを発見した時、普通に声が出ましたもんね。こいつはやりやがったなっていう。

もう、これを見たら、買わないわけにはいかないじゃないですか…、と。

本当、いろんな意味でやってくれましたよ、PENTAXは…。何度も言いますが、本気出しすぎなんじゃないですかね?勘弁してほしい。

 

これ、公式ホームページのアストロトレーサー部分のスクリーンショットなんですけど。

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いやいやいや、Type2のこと、書いてないし…!なぜなんだ…。なぜ書いてないんだ。見るたびに突っ込んでしまう。これは、ある種の罠だったのかもしれない。

あえて、書かないことで私のような、アストロトレーサーマニアをおびき寄せる巧妙な。本当、もう、あらゆる角度から、PENTAX…やってくれております。

これを見た時、謎のわかなくていい使命感がわいたのは事実です。Type2…使ってレポートしないと…という。

 

そして、このGPS追尾のアストロトレーサーに、O-GPS1という外付けGPSユニットを使うんですが、これが、リニューアルされて、O-GPS2というのが出るらしい。これもプラス査定ポイント。

精度と安定性が増すらしい。来年発売する…とPENTAX公式が言っている。

ホント?マジで?

となると、K-3 MarkⅢはGPSを内蔵していないということが逆にプラスにもなってくる。外付けを替えられるので。

私が、PENTAX機で星景を撮る大きな部分はこのアストロトレーサーにあるので、これは、参ったな。と。

もう買わないわけにいかないじゃないですか…。

 

また、レンズの面でも、やはりHD DA★11-18mmの存在は大きい。

PENTAX純正の、あえてこう言っていいと思うんですが、対星景撮影用スターレンズ

これが、DAカテゴリ、つまり、APS-C用なのも、実はとても大きかった。

どこかでせざるを得ないカメラの更新を、K-1Ⅱと迷った時に、でも、レンズは、11-18mmが良いしなあ…と。いやフルサイズでも、このレンズをテレ端側(18mm)にすると、撮れるらしいんですが、いやいや、でも、どうせならフルスペックで使いたいじゃないですか。ズームできるというのが、このレンズの良いところなんですよね。

このレンズもようやく使いこなせ始めてきて、PENTAXが本気出しすぎたK-3 MarkⅢとの組み合わせで、さらなる画質面での向上があるのか、気になるじゃあないですか。

いてもたってもたまらん、と。

 

それと…そうそう。

忘れてはならないのが、ISO上限160万の衝撃。

16万ではない。160万です。KPの倍…。

何を言っているのかよくわらない。

この高感度耐性を、ただ純粋に体験してみたいというのも、楽しみな部分でした。 

 

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でも、いや、K-3 MarkⅢ。

本当に高かったです。本気出しすぎ。

本当は、バッテリーグリップも欲しかったし、電池の予備も必要だし、UHS-II規格のSDカードも…と、K-3 MarkⅢを十全に使うには、まだ色々と必要なものがあるんですが、そこまで一気にはいけませんでした。

そして、地味に5年保証かけると高い(価格の5%分とられる)ので、もう、3年目くらいに何か不具合が起こったらその時の私がなんとかすることにして、未来にリスクをぶん投げました。

 

確かに、想定よりずいぶん早く入手できたんですが、そういうもろもろの犠牲の上に成り立っております。完成度は本体が手に入ったことで、70%くらいまでは行ったと思うんですが、後の30%がまだまだ長い…。

 

ああ、もし4、5年後くらいに次のカメラに更新しなければならない時は、ここら辺の価格でなんとかもう本当に勘弁してほしい。そして、5年後も…PENTAXがあってほしい…(切実)。

 

というわけで、また、今回も長々と書いてしまいましたね…。

まあ、良いでしょう。

これは、「不合理」な選択かもしれない。

だけれども、撮影の中で、きっと意外性を感じさせ、楽しませてくれるカメラに違いないと、謎の信頼感もあります。少なくとも、アストロトレーサーType2がついているので、この使いこなしだけでも、相当あれこれ楽しめそうです。

 

いずれにせよ、旅は続く。

新しい相棒と、また、星降る一夜、一夜を越えていきましょうか。

 

ああ、そういえば、想定外に購入時期が早まったことで嬉しい誤算が一つ。

ペンタプリズムキャンペーンに間に合いそうです。朗報。

www.ricoh-imaging.co.jp

 

ではまた。

 

んん?……今日、撮れそうじゃないか…?月曜なのに…。

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