というわけで。
前回の記事でお伝えしたように。
新しいレンズがやってまいりました。HD DA15mm Limited。
これの使用感は、しばらく使ってみてからということに、したいと思います。
とりあえず、見た目は、最高ですね。
ただ、雨が降り続くのでデビューはだいぶ先になりそうな気配です。
で、ふと思いつきまして、私は、これまで星景撮影に使ってきたいくつかのレンズを星景撮影用としてレビューしてなかったな、と。これは書いておかないといけないな、と。梅雨の雨降りで写真が撮れないので、もう、機材のことを書くしかないのです。…ボスケテ(ボス 決して走らず 急いで歩いてきて そして早く僕らを 助けて)。
通常の使用感のレビューは、20-40mmとかタムキューとかも若干書いてはいるんですが、まあ、しかし通常使用時のレビューは大したことが書けませんが、よくよく考えると星撮影用(星景用)のレビューとすれば、私なりに、少し詳しいことも書けるかもしれません。ほぼ星しか撮ってませんから…。
まずは、何にせよ、うちの最古参・smc PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED[IF]、通称フィッシュアイズームについて書いてみたいと思います。
いずれ、順次、他のレンズについても書いてみたいと思いますが、この10-17mmが一番詳しい記事になりそうな気はします。
目次
星撮影用としてのフィッシュアイズーム
フィッシュアイズーム、購入以来、うちの星景撮影の主力を務めあげる我が魂の相棒的レンズです。
長所
①対角180度の画角
魚眼レンズ特有の超々広角、180度の画角が、何よりもこのレンズの一番の持ち味。一度に、非常に広範囲を写すことが可能です。天の川などを幅広く写すことができたり、流星群の撮影にしても、一度の撮影で広範囲をカバーして、流星を待ち受けることができます。
ここが一番のおすすめポイント。
2016年には、明け方の空で、水金土火木の5惑星+月が並ぶ様子も納めることができました。
②被写界深度の深さ
おそらく、現行のPENTAX純正Kマウントレンズで一番短い焦点距離なのがこのレンズ(シグマに8-16mmというのもありますが)。この10mmの焦点距離により、非常に深い被写界深度を誇ります。
ということは、かなり前景によって、星と写すことができるということ。
これは、なかなか面白い特徴です。
普通に、無限遠で星にピントを合わせても、かなりの深い被写界深度ですが、被写界深度を最大にする過焦点距離でピントを出した場合は、絞りにもよりますが、35~40cmほどから無限遠までピントが出ます。
↓過焦点距離については、こちらを参照ください。
まだ、未完の道ではありますが、パンフォーカスで星景を撮るという手法も試行し続けています。いつか完成するだろうか。
③アストロトレーサーとの好相性
焦点距離が短いことにより、星の円周運動による移動距離が短く、90秒ほどアストロトレーサーをかけても地上部のブレがそれほど目立ちません。
もちろん、原理上、センサーを動かして星を点像にした分は、地上はブレて写るのですが、焦点距離が短いほど長い露光をかけてもブレが小さくなります。
アストロトレーサーは、最大5分の追尾撮影ができるのですが、この最大時間で撮るのは周辺の星が流れて写ってしまうため、お勧めできません。
アストロトレーサーには、焦点距離により、スイートスポットといえる露光時間があり(持論)、10㎜なら60~90秒、20mmなら20~40秒ほどがベストのように思います。
アストロトレーサーについては、↑にまとめてますので、必要に応じてどうぞ。
④魚眼独特の歪曲によって画面端の星像が丸くなる
魚眼レンズなので、歪曲は補正されてないのですが、これによって、広角レンズが歪みを補正した時に起こす画面端のひっぱり現象(正式名わかりません(笑))が、起きません。
引っ張られると星像が細長くなってしまうのですが、魚眼なので、それが起こらない点はプラスポイントです。
⑤ズームであることの利便性
星景を撮る場合は、ほぼ必ず、三脚に据えてということになるんですが、その時にズームができるということが、構図の自由度を高めて便利です。
また、17mmのテレ端で写すと、歪曲が少し穏やかになって、癖の強い広角風味になって、それはそれで、またありです。
魚眼ながら珍しいズームであることで、ひとつのレンズでありながら、二つの描写が味わえるといえます。
これは17mmで撮影。歪みが軽減されているのがわかります。
⑥6条の光芒
少し絞った状態で星をとると、1等星級以上の星に光芒が出てきます。(2つ上の天の川の写真を参照。これは木星なのでマイナス等級で、かなり大きな光芒になっています)
地上の点光源にも光芒が出るので、少し絞って撮るのもおすすめです。そして、後述しますが、色収差をおさえるにも絞った方が良いでしょう。
短所
では、短所にいきましょう。
①パープルフリンジ
開放で撮影すると、星の周りに超強力なパープルフリンジが起こります。Lrなどを使うことで、現像するときに補正することは可能ではありますが、それはもうド派手です。
カメラをKPに変えたあたりから目立ち始めたので、レンズの経年劣化(なかなか酷使しています)による不具合の線も疑いつつ、センサーによるフリンジの増幅はありうるかな、とも思ってますが、何より、もとより、最大の原因はこのレンズの色収差の激しさにあるとは思います。
これは、F5.6まで絞ることでだいぶおさえることは可能です。上述の光芒との合わせ技で、絞った撮影で真価が出るかなと思っています。
これは、現像で補正していますが、元画像は、流星の横にもう一本流星が流れてるのかってくらいのド派手なパープルフリンジが出ていました!そういう意味では補正は可能なのですが、もうフリンジ出まくりますよ。
ただ、流星群を撮るときはなるべく明るいF値で行きたいので、開放のF3.5で撮りがち。後処理で丁寧につぶすしかありません。
②フィルターが使えない
出目金レンズであるため、普通のフィルターが使えません。使ったことがないので、おそらくですが、角型フィルターも180度の画角の前にはまずケラれると思います。
マウント側にリアホルダーがあったらよかったのだが…。
ソフトフィルターをDIYするということもしましたが、ちょうどいいボケ具合のをつくるのは至難の業です。
③F値が3.5~と明るくない
本当はF2.8ぐらいだといいんですが、ワイド端でF3.5スタートで、テレ端は4.5になります。
そして、さらに描写を良くしようとすると前述のように、F5.6になってしまい明るさとは無縁。アストロトレーサーと高感度が必須になります。
総評とギャラリー
いくつかの欠点があるものの、ほかに代えがたい画角を誇ることで、レンズが増えてもスタメン落ちすることなく、カバンの隅には必ず入れていくレンズになっています。
その際、320gという軽さとコンパクトさは非常に助かります。
これからも、必ず、お世話になるであろうレンズ。
しかしどこかで一回点検に出しては見たい。私の個体は、もう不具合がではじめているのではないのか…??というぐらい派手にパープルフリンジが出ます。不具合なのか仕様なのか…??
↓このレンズで撮った写真が、PENTAXの第2回「とっておきPhotoコンテスト」で採用になりました。あわせてご笑覧ください。
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