シロナガス/星景写真と科学本のブログ

受信者としてのサイエンスブログ。「暮らしの中の星空」をテーマにした高知県内の星景写真、スタータイムラプスと、ポピュラーサイエンス/サイエンスノンフィクション(一般向け科学書)の書評。PENTAXで撮影しています。

星撮影用としてのHD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AW

さて。

HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AWを入手したからには、この星撮影用としての記事をかかないといけないと謎の使命感にかられつつ夜な夜な、星景を撮影していました。

いやしかし、ズームであることで焦点距離によっての描写の違いも考慮しないといけないな…と、なかなか、全貌を把握するのに手間取っています。

ただ、これは、パーフェクトに全貌把握するとなるともう年単位必要なので、ぼちぼち…とりあえず、わかるところからということで、手を付け始めたわけですが、どうか。

また、判明したところはのちのち書き足していこうとも思います。が、とりあえず、じわじわ書き続けていたら、ここらへんで目標字数に達したのでいったん公開しておきましょう。

しかし、とりあえず、と言いながら、過去最長クラスの長文を世に問う形になっていますので、私の本気度を感じ取ってもらえればありがたい。

 

目標だった10,000字を大きく超えて12,000に到達。

誰も望んでいなくても、勝手に本気を出していくスタイル。そろそろ、リリースしてしまわないと、書き続ければ書き続けるほど、私のMPをゴリゴリ削る祟り神みたいな記事がまた生まれてしまった。まったく読む人のことを考慮していない。字数・イズ・パワー。

 

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HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AW、まずは公式サイトを。

www.ricoh-imaging.co.jp

スペシャルサイトもあるので、じっくりと見てみると新たな発見があるかもしれません。

 

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実は、上のスペシャルサイトや製品ページを見てみると、このレンズをどう売りたいのか、というメーカーの意向も作例から、見えてくるかもしれません。

というのも、このレンズは、やはり、後述するように、私は、あくまで星景用と呼べる仕上がりになっていると思うのですが、メーカー作例に必ずしも星の写真が多いというわけでもない。

星景撮影をする人の割合が、風景撮影をする人の割合に比べてどうなんでしょうか。やはり、まだまだ少ないのかもしれませんね。

カメラのデジタル化・高機能化がすすんで、星景撮影が身近になったとはいえ、やはり夜間に撮影に行くというのはそれ相応のリスクもあり、また、やはり風景に光がまわらないので、撮影自体にも困難が伴うのも事実です。やはり明け方とかの方が人気ですよね。

まあ田舎で撮っていることを差し引いても私も撮影地で人に会うことがほぼないですし(笑)私がメジャーな撮影地をわりと避けるというのも大いに影響があるでしょうが。

県外のメジャーな撮影地だと天の川狙いで人が集ったりしているのはチラホラ拝見しますが、うちの方だとそういうことはない。まだね。できれば、これくらいの密度で、エンカウントしない方が私はありがたい。

夜、人と会うのはやはりドキリとするんですよね。なので、会えば逆に一声はかけるようにしています、向こうも怖いと思うので。今まで出会った人はほとんどの人が良い方々ばかりでしたのであまりビビらなくてもいいかもしれません。ビビる必要はないけれども、まあ1人の方が気兼ねなく撮れるというのもボッチ体質の性。

後は、夜に人が集まるとマナー的な面も心配ですしね。基本、人家が近い(1㎞以内にあるような)場合迷惑にならないように、ただただ静かにやってますしね…。

と、閑話休題

まあ、ということで、星景撮影がメジャーになりつつあるとはいえ、やはり、まだどちらかといえばマイナーな分野ではある気がしますね。これはこれから飛躍的に伸びる、ということでもないのかもしれません。大体これくらいでピークなんじゃないでしょうかね…。どうなんだろう…。デジタルカメラ市場自体が縮小してるみたいですしね。

 

なので、メーカーとしても、11-18mmについては、風景全般用として売り込みたいんじゃないかなという気配をひしひしと感じます。それはわかる。それは理解した上で、あえて、いいましょう、このレンズは星景撮影用であると…。

 

もう一つのこのレンズのある意味でのマイナス要因は、APS-Cだということ。

APS-C用でこの値段(初値16万円)だと、そうとう需要が限られると思うんですよね、実際。なぜあえてAPS-Cなのか、なぜあえてこのレンズなのか、それなりに考えないと買えない。踏み切れない。なので、門戸を広げて売りたいメーカーの苦悩もわかる…わかるのだが、いや、やはり星景用ですよね、これ(2回目(笑)。HAHAHA!!

星景をガチるなら、やはり原則的にはおとなしくフルサイズに移行するというのが賢い。ただ何事も例外はあってかまわない。APS-Cであえて挑んでいくという選択肢を用意してくれたということについては、そこはさすがPENTAXだなとは思っています。少なくとも本気のレンズを放ってくれた。

茨の道。しかし、確かにこの道も先へとつながっているということです。 ここはあえて、「APS-Cだからこそ、できる表現がある」と、まず言葉を吐いて、パフォーマティブに現実化させていくしかない。道は最初からあるものではない、人がつくるものなのだと。実のところ、本音ではAPS-Cだから星景が撮れないとは思ってません。いけますね。それくらいにはデジタルカメラの画質が向上している。ここから下がることがないとすれば、この先は、APS-Cで(新機種がちゃんと続くなら)もう問題ない。

 

なぜあえてAPS-Cで行くのかについては、以前、このレンズのファーストライトも兼ねて、まとめておきましたので、ご覧ください。一言でいえば、APS-Cであることでバランスがとれるのだ、ということです。詳しくここで書き始めると、この記事が(すでにやばいけれども、もっと)やばい長さになります。まあ、あっちの記事も、かなりのやば長な奴なので気を付けてください。

shironagassu.hatenablog.com

 

【目次】

 

ということで、前振りが大変、長くなりましたが、じっくりとレビューしていきましょうか。このレンズは何ができて、何ができないのか。

それを把握した時に、このレンズの性能を100%近くまで引き出すことができると信じて。

 

星撮影用としての11-18mm

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11-18mm、通称は勝手にアストロズームと呼んでいます。完全に勝手にです。好き勝手です。すいません、もう。ここは素直に関係各位に謝っておこう。すまん!

ただ、その名に(勝手に)ふさわしく、星景撮影用として、きめ細やかなところまで行き届いた設計になっていて、星撮影で使い込む楽しさがあります。

焦点距離は35mm換算で17-27.5mm相当。画角は、104°~76°。

現在は、星景撮影に出る時には、このレンズをつけたバッテリーグリップKPと、DA35mm、DA10-17mmの両レンズ、計3本のレンズを持っていくことにしています。

現時点では、これが私の星景撮影としては、ほぼ完成されたスタイルになっています。一つの中間地点とはいえ、ようやくたどり着いた感じがあります。

今後、APS-C機の新機種が出てそれにどういう機能が載るか(特にアストロトレーサー関係で何かアップデートがないのか)でまた大きく変わってきますが…。当面、しばらくの間はこのKPをメインにした組み合わせで行くことになると思います。

 

星撮影用としてのKPについてはこちらでどうぞ。この記事も長文ですが、さらに継ぎ足しをしすぎて、何かもう迷宮のような記事になっています。書き直す気力はない。ただ、書き足した結果、星撮影用の機能については網羅してる…気はしています。

shironagassu.hatenablog.com

 

 

長所

よし。まずは、いつも通り、長所からいきましょう。星撮影用として見た時に、非常に長所として光るものも多く持っているレンズです。

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①フレキシビリティ(柔軟性)

うむ。いきなり抽象的な概念から入りましたが、このレンズが持っている多様な撮り方に対応できるフレキシビリティ=柔軟性がまず一番の魅力です。

まずは、ズームであること、そしてもう一つは、フィルターがつけられることがその柔軟性の大きな構成要素ですが、この後書いていく様々な長所も含め、それぞれが絶妙に組み合わさることで、このレンズの星景対応の柔軟性を組み上げています。

ズームであることで、画角を変えられるのはもちろんなのですが、あわせて、クランプ機構(ピントの固定機能)がついていることで、このズームからのピント合わせが非常に楽になりました。今までは、テープでとめないといけなかったので、ズームレンズでも実質的にズームするのかというとあまりしなかったんですよね。テープで止めとかない場合どうなるかと言うと、何かの際にピントリングがずれて星がボケる…帰って落ち込むというコンボが発動します。しかし、クランプがあることで、ズームレンズであることが最大限に生きています。ピントを合わせたらクランプON、ズームをしたらクランプOFFしてピント合わせ後、再度ON、と。

もちろんF2.8通しだというのもズームをしやすい。このレンズは私が思うに広角端で撮るだけじゃなくて、柔軟にズームすることで描写をコントロールし使いこなしていくレンズではないのかな、と。

もうひとつの、柔軟性の要、フィルターですが、星景撮影ではよくソフトフィルターを使います。星座を目立たせるためであったり、それはそれで、非常に使用頻度も効果も高いのですが、一方で必要ないと判断するときもある。もちろん、フィルターの必要なしと判断したら、外してしまえる。これによってフィルター有り無しの2つの描写が楽しめるわけです。

それが、実は、後述する短所でもある11mm~13mmのあたりの周辺星像との付き合い方にも大事な部分にもなってきます。ソフトフィルターを付けていると端の方の星像が伸びて強調されてしまい難しい。周辺に目立つ星がなければ、ソフトフィルターつけた11mmも当然ありですけどね。

とにかく、ズームであること、フィルターがつけられることで多様な選択肢が用意され、撮影者の創意工夫に応えるフレキシビリティ(柔軟性)を発揮する。それがこのレンズのまず一番の特徴だといえるでしょう。

 

②クランプ機構

上にも書きましたが、このクランプ機構が非常に便利です。

星の撮影は基本的にずっと無限遠なので、ピントを最初に一度合わせたらもう良いだろうと思われるかもしれませんが、実のところズームするとその都度合わせないといけないんですよね。ズームをするとピントが(わずかに)ずれる。

なので、このクランプがあることで、実質的にズームしやすいという運用面での明確なプラスがあります。

クランプとは、本来「締め付け」という意味ですが、このレンズの場合は、この機構をONにすると、ピントリングとフォーカスの連動が(仕組みは良くわかってませんが)物理的に切れます。なので、ONにしたらピントリングが回っても、ピントが完全に動きません。

*その後、聞いてみるに、どうもレンズ駆動のギアのかみ合わせを外し、いわゆるニュートラル状態にする仕組みのようです。

これが、ズームであることと、加えて、セッティングが楽な(最初に精密キャリブレーションをしたら基本触らなくて大丈夫な)星追尾機能アストロトレーサー対応であることが組み合わさって、自由自在に構図を決めつつ、星を撮ることができます。

特に、このズームが便利だなと思うのは、電線を避ける際ですね。絵になりそうだなと思っても電線があったりして、難しい時も多いんですが、そういうのをかいくぐって構図をつくって行ける。必要な画角でまさに切り撮る、という運用ができます。

 

アストロトレーサーについて、詳しくはこちらでどうぞ。

shironagassu.hatenablog.com

 

③ヒーター巻き付け溝

うむ、これも対星用としてはすこぶる便利です。

AstroArts: オンラインショップ :: Aquila レンズヒーターEL

レンズ外周前方に、細い溝があり、上のリンクのアストロアーツ社製のヒーターにジャストフィットします。これは、ぜひ、入手してください。

これの何が便利かというと、これを付けたまま、ピントリング、およびズームリングの操作ができるわけです。もう本当にフレキシブル。自由か。

星撮影時は気象条件によって、レンズの第一面が結露するというのが非常にやっかいなのですが、レンズヒーターがあることで、これを予防することができます。

先日、かなり濃霧の中で、かつ、フィルターをつけてやってみましたが、十分熱が伝わっているようで結露はありませんでした。春先、秋口あたりは本当に曇ります。真冬も曇ります。真夏は…あんまり曇らないかもしれませんが油断はできません。

このために、鏡筒部分が内部まで金属で作られているとのことで、熱が伝わりやすい。何というか、これを星景用と言わずして何というのかということです。

これ、あきらめてください、星景用レンズです(笑顔。

 

④フィルターが使える

82mm径のフィルターに対応しています。便利。

ソフトフィルターを付けることが多い星景撮影におあつらえ向きです。

いずれ、角型フィルターにもシステムを発展させたいと思っているのですが、お金がないので、いまのところ情報収集に努めています。 

フィルターがあると多様な表現の幅が広がりますね。

特にハーフソフトフィルターとハーフNDフィルターがあれば、都市星景なんかではかなり面白いものが撮れる気がします。

いずれ…手に入れたい…。次なる目標…。ただ、角型フィルターは総じて高いんですよね。まずは、この11-18mmの後年度負担を返しきらねば…。

これが財政の硬直化というもの…か…。

収支のバランス大事…。

 

⑤高品位な画質

解像力は最高クラスだと思われます。少なくとも私の持っているレンズでこれ以上解像するレンズはない。さすがの新世代スターレンズ。星撮影時は、前景の細かな枝や岩肌なども高解像で写し出してくれます。

いや持ってるレンズでいうとタムキュー(Tamron 90mm MACRO)はひょっとしたら、同じくらい解像するかもしれませんが、あれは、星撮影用としては画角が狭すぎて、単焦点かつマクロレンズなのでまたちょっと別枠かもしれません。現に星撮影用としてのレビューがかけてない。あまり星用には使うチャンスがないんですよね。月には良いんですけどね…。

11-18mmはテレ側になるほど、周辺像が改善していきます。

逆にいうと最広角側だと、周辺の星像の流れが気になるように思います。それはまた、短所の方でも詳しくレポートしましょう。

 

⑥ピントリング、ズームリングの適度な操作感

ピントリングについては、回転角を大きくとっているようで、星の像のピントがゆっくりと変わっていきます。なのでジャスピン位置を見つけやすい。

どうもジャスピン位置は、ほのかに星の周りが赤く染まるところだというお話をお聞きしました。軸上色収差を考慮して、赤い光に対してごくごくわずかにピントをずらす(他の色にジャストでピントを合わす)ということ…なんだろうと理解しています。

KPのモニターの最大倍率が16倍なのですが、16倍で見ると確かに星の周りが赤くなるポイントがあります。ただ、大気がゆらぐのか、ちらちらしますけども。あそこが、真のジャスピン…なのか?

ズームリングも不意に当たってずれるということがない程度の重みがあり、使っていて非常に安定感を感じます。

マニュアルで操作するということを念頭に、実際のテストも重ねて作られたのではないかと想像します。実にいい仕上がり。

 

⑦ほぼ固定撮影に適合

この間私が密かに提唱している撮り方に、ほぼ固定撮影なる謎撮影法があります。

いや、なんのことはない、固定撮影でもいけるような秒数の撮影をあえてアストロトレーサーを使って撮るということなんですが、これで、星は日周運動での流れを完全にキャンセルしつつ、ほぼ固定なので、ほぼ景色はブレないということになります。

11mm、12mmぐらいなら、30秒でいけます。

それは、もう固定撮影で良くないか?と誰しも思うと思うのですが、私もそう思います。なので、なぜあえてほぼ固定なのかというのをどこかで記事を起こして、字数の圧力で何とかしようと画策しています。またその際は、ご笑覧ください。

ほぼ固定と固定はわずかに違う。そのわずかな違いが、アストロトレーサーの運用を進化させる。…アストロトレーサー進化論…。

ほぼ固定は、アストロトレーサーだからこそできる撮り方ですよね。ポータブル赤道儀をつかってするのはコストと労力が見合わない。

 

shironagassu.hatenablog.com

 

本当は、地上景と空と最低二枚撮って合成が一番いいのかもしれませんね。いや、それも良いんですけど、なんだかんだ言いながら一枚撮りがメインになってしまう。いやー、歩きながら、構図を変えながらテンポよく、色々と撮っていきたいんですよね。それで必要なクオリティが出るならそうしたい…。一晩に色々撮りたい…!

でもどこかで、夏の天の川をゴリッゴリに追尾で露光をかけて、地上景は別撮りで一枚作ってみます。そのうち…いずれ…。

 

⑧防塵防滴

このレンズはAW対応。防塵防滴です。やはりフィールドに出ていく星景撮影としては、この仕様は安心感がある。まあ、しかし、雨が降り出す星景撮影というのもほぼないので(そんな日はさすがに行かない)、なくてもいいかもしれないんですけど、あったら安心ということですね。

でも、ほぼないということは極稀にあるということでもありまして、以前、今日はギリギリ行けるかなという攻めの判断で出たら途中で通り雨にやられた時もあったので、防塵防滴…あって悪いことはない。

 

⑨逆光耐性

フレアなどもかなり生じづらく、総じて逆光耐性は強い。HDコーティング。なので、光のある環境、例えば、都市星景みたいなものにも適正は高いと思います。濡れた路面と星とか良いなあ。雨上がりに狙いに行こうか。ロケハンしとこう。

しかし、一方で、強い光源を入れたり、特にレンズに画角外から斜めに強い光が入るとやはり多少のゴーストを生じてしまいます。ここは要注意。場合によってはハレキリも必要かもしれません。短所でも追記しましょう。

 

色収差の少なさ

色収差は開放からほぼ気になることはないと思います。高輝度差の場面(例えば昼間に薄曇りの明るい空を背景に枝を撮るとか)ではパープルフリンジが出るようですが、星ではあまり感じません。

ただ、やはり広角側の端の星に若干パープルフリンジはのります。なかなか超広角ズームの難しさを感じます。ごく軽微ではありますが、そこもやはり短所でも書いておきましょう。

 

短所

ではでは、短所もいきましょう。

この短所を把握するということが、レンズの特性を把握する上では非常に重要です。何が出来て何ができないのか。

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①コマ収差と歪曲補正による周辺星像の伸び

コマ収差は、出ます。

端の星が鳥が羽を広げたようなコマフレアをまといます。まるでゴットバード(とカッコよさげな名前にして誤魔化す)。

広角側になるほど気になるので、画角として必要ないなら、テレ側にしてしまうのも選択肢です。ただ、しかし、画角欲しいですよね。やはり広角側を使いがちだし、使わないといけないとも思います。

で、コマ収差と合わせて気になるのが、周辺星像の伸び。この項目を2つに分けても良いんですが、総じて両方とも広角側で端に出てくるので、原因は違うのかもしれませんが、対処法は同じ感じです。おそらく、こちらの周辺星像の伸びは、コマ収差および非点収差ということではなくて、広角側にある程度の糸巻き型の収差があるんですね。それが、画面端をグッと引っ張るので、周辺の像が伸びているのだろうと判断しました。

(※本当の仕組みはよくわからないのですが、色々試してみるに、広角側では光が斜めから入っているようで、それが周辺星像の伸びの原因ということなのかもしれません。)

 

ここは、広角側で、ソフトフィルターをつけて、明るい星を端っこにおいたりすると、かなり目立ちますので付き合い方を考えなければなりません。

逆に言えば、テレ側で、ソフトフィルターを外し、明るい星を中央に持ってくれば問題はなくなります。ここまで全部対策しなくても、ソフトフィルターを外すだけでも随分目立ち具合が変わります。あるいはテレ側にするだけでもまたしかり。

また、開放ならある程度の周辺光量落ちが見られるので、ある意味でその暗い部分にこの伸びた星像が吸収されてしまう感じで、目立たないという運用は可能です。

 

ただ、まあ、やはりここ、広角側の周辺星像は最大の弱点であることは間違いない。使いこなすべき課題は間違いなくここにありますね。

 

周辺像の乱れが出ている作例。 ぐわわっ、となってしまっている…。

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②糸巻き型の歪曲収差

広角側は、糸巻き型の歪曲収差を持っています。外側に膨らむ(樽型)ではなく、内側にシュッとなる歪曲です。

そして、純正だからカメラ内でレンズ補正かかるだろうと思ったら、かかるんですけど、端っこをさらに引っ張るんですよね(笑)えー。そうくる?

なので、カメラ内レンズ補正はまあ、星の時はしない方が良さげです。今のところまだ、Lrのレンズプロファイルは提供されていません。

いやいや、この広角側のじゃじゃ馬感

ただ、この糸巻き型の収差はうまく使えば超広角的な強烈なパースペクティブとして、昇華できなくもない。

いける。多分。がんばれ。乗りこなそう。

 

※2019.05.14追記 Lrのレンズプロファイルが提供され、かけて見て思うに。テレ端は間違いなく糸巻き型の歪曲がある。

ただ、広角側は思ってたほど、糸巻きの収差じゃないのかもしれない。どうなんだろう。やっぱり樽ですか?いかん、ここは、何か格子模様でも撮るまで保留です。

不明。

 

③値段

うん。写りとは関係ないけど、これは外せない。

高い。

いや、ちょっと落ち着いて欲しい。冷静に考えてみたら、FF用の超広角レンズであるDFA15-30mmとほぼ同価格帯の値段です。いやいや、まあまあ、ちょっと15-30の方が高い、良かった(笑)

いや、だまされてはいけない、良くない。高い。

今後、中古とか出てきて価格もこなれてきたらこのデメリットは少しずつ解消していくかもしれませんが、そんなに数も出てない気がするので値が崩れない気はしますね。2019年4月現在、フルサイズミラーレスも百花繚乱で選択肢も増えている中、このAPS-C用のしかもPENTAXのレンズを、新品で買うというのは、なかなか勇気がいる。剛毅。

なぜ、こいつを買ってしまったのか、買った人で集まって夜中にコンコンと語り合いたい。機会があったら星でも撮りながら落ち着いて話し合いましょう。我々はなぜこれを買ってしまったのか(哲学)

後悔?いや、ないですね(ニコリ。ただ、「なぜか?」は言語化すべきだと思います。じゃないと、こっちがやられる。やられる前に先手を打って言語化だ。

 

 

④重さ、太さ

いや、さすがに、軽量コンパクトとは言えない重さと太さになります。重さは約750gほど。バッテリーグリップをつけたKPとこのレンズは見た目には非常にマッチします。でも昼間持ち歩いて撮るのはちょっと億劫です。重いし、でかい。

強力な筋肉があればだいたい解決してくれると思うんですが、あいにくこちらは恐ろしいほどのインドア体質でしてね…。普段本しか読んでないのでね。

そういう日常スナップ用途は、HD DA15mmなどもっとふさわしいレンズがある。むしろそういうレンズには事欠かないのがPENTAXの(特にAPS-Cの)良さ。

リコーならハイエンドコンパクトのGRⅢも人気ですしね。

あくまで、星景を撮りたいということであえてのこのレンズと考えないとちょっとバランスがとれません。 

 

⑤ゴースト

強い光源が入ると、ゴーストを生じることがあります。星景写真で強い光源となると灯台や街灯なんかでしょうかね。私の場合はシラスウナギ漁を撮った時に感じました。あれもまあ極端に光源が強いですが。

ここは、なので注意してゴーストを生じないような位置関係を探って丁寧に撮っておかないといけない気がしています。

黒い厚紙を持っておいて、ハレキリするというのもアナログで古典的ですがクオリティを追求するなら大事です。広角側で画角外の斜めから照射してくる強い光源にはゴーストが出てしまう、ということを念頭に対策を練らねばなりません。

 

⑥広角側、端の星に出るパープルフリンジ

うむ。これは若干出ますね。10-17mmほど派手に出ることはありませんが、わずかに出る。

というか、大体の光学的弱点が、11mm~13mmあたりの広角側の画面端に偏ってる気がする。

なので、広角側を使う場合は、色々と気を使いながら使わないといけないということですね。と、さんざん脅していますが、付き合える範囲です。どうしようもないと投げ出してしまうほどでもない。期待が高い分、どうしても、辛口になろうともいうもの。

 

トータルでいうと、広角側を、どう使いこなすかに集約されていきますね。

広角側の周辺像…ここが最大の鬼門。ここを制する者がこのレンズを制するわけです。

 

ちなみに11mm~18mmの撮り比べ。

11mm

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12mm

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13mm

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14mm

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16mm

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18mm

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 周辺星像がテレ側になるにつれて少しずつ改善していきます。

 

総評とギャラリー

つまり、ここまで述べてきたように、このレンズは、あくまで星景用です。星に加え、地上景もしっかり解像して写す星景。F2.8の大口径により、夜の暗闇でも十分光を集めて淡い濃淡を描き出してくれます。KPのダイナミックレンジは、組み込まれたアクセラレーター(という謎機構)により、1600あたりからフルサイズを食う勢いで広がるんですよね。だから、RAWで撮ってると暗い中に淡いトーンを記録してくれています。なので、現像を丁寧にすると、暗所にデティールが浮かび上がり、とても星景向きで、KP×アストロズームは大変相性が良いです。

 

そして、あえて数値化できるようなものではなさそうなので、長所に含まなかったのですが、暗さだけでなくて、非常に光の描写も良い。光が水面などに反射している様子が、つぶれてしまわずに、光が粒のフォルムを保ちながら繊細に描かれるというか。

水辺の光の揺らめきと星などを撮ると面白いかもしれません。

 

そして、18mm側は、ほぼ理想に近い状態に仕上げてきているようにも思えます。完璧なレンズなどというものはこの世に存在しないでしょうけど、18mm側はひとまずExcellentではあると思います。

それに比べて11mm側の評価はGoodといったところでしょうか、18mmと比べると2段ほど落ちるか。14mmあたりは、Very goodというところです。主に周辺星像の劣化の部分ですね。そのほかの部分、解像力や周辺の星以外の写りに関しては、全域でVery good以上と言えると思います。

ただ、こういうズームレンズはもちろん最広角11mm側の評価が大きくなりますよね。そこには意識して付き合わないといけない弱点が存在すると…私は思います。広角側は大変じゃじゃ馬ですが、バネがあるじゃじゃ馬。はまればいい走りすると思うんですが、それには騎手と人馬一体にならねばなりません。私はまだ、騎手としてそこまで行けていない。

一方で、このレンズが、PENTAX APS-C星景用レンズとしてのひとつの到達点であることは間違いありません。全ズーム域において高いレベルでバランスをとってきているのもまた事実です。ただ、全ズーム域で注文の付けようがないExcellentかといわれるとそれは違うと。

これを使用者がどう把握して生かしていくのかが問われるな…というのが正直な感想です。

 

使いこなしの提案

使いこなしの一つの提案としては、12mmからスタートする、というのが一つ。

11mmは、奥の手に取っておく。11mmと12mmだと、周辺星像の劣化範囲がやはり減ります。しかしそれでも11mmに行くべきときは、行く。

いざという時に、最後リミッターを外すような…少年漫画でよくある展開ですね。闇の力に頼る的なあれです(厨二病を発症。普段12mmに抑えていて、いざ11mmを開放すると、「この風景を撮り切る…力が欲しいか?ならば、…くれてやる!」的な展開になります。しかし、普段はこの闇の力は取っておくというそういう選択。

あとは、とにかく周辺まで良く解像することを念頭に、前景に縦位置で超ローアングルで寄るという選択もなかなか良いです。岩や木など対象にグッと寄る。そして地上景を大きく撮って生かす。と、そうすれば、このレンズのいいところが生きてきます。風景は横というイメージが強いですが、縦も積極的に狙っていくところに活路が見えそうです。星景だと遠景には必ず、星があるので、手前の近景から奥の星空にかけて視線を誘導しつつ立体感のある作品が撮れます。これはありです。上の闇の力の話よりもう少しまじめにありです(笑)

と、使いこなし。ぜひ、色々、考えてみてください。そして、私にも教えてください。

 

PENTAXも次期APS-C機を開発していると発表もされていますので、それとの組み合わせも要注目です。私はそれは価格がこなれたら買いたいなと(笑)でもおそらく出るのが2020年後半とかじゃないですかね。まだ時間ありそうですよ、わからないけど。

いやー、正直に言うと、このレンズは、客層が非常にニッチだろうと思うんですが、星景用として、非常に良いレンズです。ただ、星景というノイズと真正面から殴り合うような分野で、センサーサイズの差は、根本的な問題ではあるので、その枷にどう挑んで次期APS-C機がさらなる高感度耐性を持ってくるのかは非常に注目しています。あえて、ひたすらノイズレスにしていくということだけではなくて、別のアプロ―チも必要かもしれませんね。それが、何なのか…。

私は、星はアストロトレーサー追尾、地上景はアストロなしで2枚をカメラ内合成して1枚RAWを吐き出してくる、ぐらいになっても良いというふうには思いますが。

まあKPも高感度は十分強くて、それだけでもだいぶAPS-Cの可能性を感じさせてはくれますけどね。

 

私としてはしばらくは、このレンズを使いこなして、良くなじませていくということが中心課題になろうかと思います。まだ、少し(だいぶ?)私の腕よりレンズの方が勝っている感じがします。このレンズをもっと自由自在に扱えるようになった時には、一回り成長した星景写真を撮れるのではないかと思います。

闇の力も使いこなしたい(笑)うむ。まあ、少しずつ行きましょうか。

 

作例ギャラリー

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ではまた。(最後まで読んでいただきありがとうございます。お疲れ様でした)

 

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