シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

カノープスを望む 2021シーズン

さて。

冬…今年もこの季節が来ました。

南の空低くに、カノープスが昇る季節。

 

12月初旬、0時前にならないと出てこないカノープスを追って、なぜか平日に撮りにいってきたので、アップしておきます。

 

カノープスと冬の星々

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PENTAX K-3 MarkⅢ レンズ smc DA10-17mm フィッシュアイーム 焦点距離 10mm

ISO12800 SS70秒 F5.6 アストロトレーサーType2、ポリエステルフィルター使用

2021.12.02 高知県にて

 

撮影記録には0時54分とあります。

1時間インターバルを回して、良い感じにカノープスが昇ってきたところで一枚。

水平線のすぐ上にある、オレンジ色の星がカノープスですね。

オリオン座の青白いリゲルから真南に向かいわずかに東。

リゲルを含む、冬のダイヤモンドと、カノープスを同時に撮影したくて、この日はフィッシュアイズームをセレクトしました。

 

星像を安定させるために、F5.6まで絞っています。

その分、グッとISOを12800まで上げて、露光時間も70秒まで引っ張りました。そこまで露光すると、かなり露光過多になるので、現像時に減感処理をしています。

そうすることで、ノイズ感も、相当なくなります。

うーむ…12800…十分な描写ではないでしょうか。

 

北尾浩一「日本の星名事典」を久しぶりに紐解いてみましょう。

奈良県において、カノープス3つのイメージで伝えられているとのことです。

ひとつはゲンゴローボシとして、源五郎のイメージ。

これは、水平線から高度が上がらないカノープスを、池や小川の水面でちょろちょろと動くゲンゴロウの様子に重ねたもののようです。

ふたつ目は、キツネ。ゲンクロボシとして、源九郎稲荷を表すということらしい。

カノープスのオレンジの輝きを、キツネの灯す火に結び付けたイメージのようです。確かに、カノープスの輝きにはどこか怪しげな雰囲気があるようにも思います。

そして、みっつ目は、ゲンスケという失敗した時などの方言に結び付けたもの。いわゆるゲンが悪いなどの「ゲン」を人格化してゲンスケと呼び、「ゲンスケや」と、失敗した、間が悪いなどの意味で使うとのこと。

カノープスが「普通」の星々のように、東から昇ることに「失敗」して短時間で沈んでいく様子を捉えているようです。

 

なるほど。

面白いですね。

また、奈良県明日香村のキトラ古墳の星座図には、「老人」としてこのカノープスが記されているとのこと。カノープスを見ると長寿になるという伝承は、このイメージでしょうね。

 

日本では、冬の限られた時間しか昇らないカノープスですが、多様なイメージが伝わっているのは、本当に興味深い。標高によっては山形県から撮影された例もあるといいます。

カノープス、高知は非常に見やすく、この日も水平線上には少し雲があったのですが、しばらく待てば出てきてくれました。

久しぶりに、双眼鏡も引っ張り出して、スバル、オリオン大星雲、オリオンの腕=冬の天の川銀河、そして、カノープスなど冬の星々を存分に堪能させてもらいました。

 

 

ふむふむ。

ああ、そして、明日はいよいよ、GPSユニットを必要としないスタンドアローン・アストロトレーサーのテストファームが公開される日。

ふーむ…。望遠で撮ると良いもの…ね。それこそオリオン大星雲なんかいいかもしれませんね。

さて、いつ撮れるかな。

撮れたらまたレポートいたします。

 

ではまた。

 

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