さて。
前回の超長文記事を書いてからというもの、体調を崩していました。
いや、それも、一因ではあろうかとは思うんですが、どうもここ2~3週間ずっと調子が悪かったので、色々謎の負荷がかかっているんだと思います。いや謎というか単純に仕事関係が忙しいんですね。私は間接的に、ですけど。
基本MPがゼロまで削られると動けなくなるので、受け流す系で対応しているんですが、受け流しきれない時もあるということ。
11-18mmのレビューについては、あれで完成ということではなくて、また折を見て、ペンを入れたい。特に、歪曲収差の項目は実のところまだはっきり摑めていません…。記事では糸巻き型と書いたんですが、陣笠型かもしれないなぁと思ったりもしています。いやーどうなの?
何か格子模様撮ってみないとわからないですね。それか誰か検証してもらうか(人任せ(笑)。
ということで、今日は、「ほぼ固定撮影」についての覚書を書いておきます。
ほぼ固定撮影
PENTAX KP レンズ HD DA★ 11-18mm 焦点距離12mm
ISO6400 SS30秒 F2.8 アストロトレーサー、ソフトフィルター使用
2019.4.6 高知県香美市にて
PENTAX KP レンズ HD DA★ 11-18mm 焦点距離12mm
ISO6400 SS30秒 F2.8 アストロトレーサー使用
2019.4.6 高知県香美市にて
PENTAX KP レンズ DA 35mm 焦点距離35mm
ISO4000 SS10秒 F2.4 アストロトレーサー、ソフトフィルター使用
2019.1.6 高知県高知市にて
この上の作例が、ほぼ固定撮影のものになります。
ほぼ固定撮影…うむ。一体またこいつは何を始めたのか。
そもそもの話からいきましょう。
固定撮影というのは、いわゆる星追尾をしない(アストロトレーサーや赤道儀を使用しない)星景の撮影方法です。星追尾をせずに、星をほぼ点像で写すためには、比較的短い露光時間で撮影をすることになります。
だいたいの露光時間の目安は500ルールといわれていまして、35mm判の換算焦点距離で500を割った時の秒数が、だいたい星が流れない秒数だといわれています。
500÷焦点距離=露光時間(秒)
つまり、11-18mmの広角端(換算17mm)なら29.4なので、ほぼ30秒、12mmくらいもまだ30秒でいけますね。
テレ端の18mm(換算27mm)なら18.5なのでだいたい20秒は星が固定撮影でも流れないということになります。
ちなみにDA35mmの換算52.5mmなら、10秒弱ということになりますね。
これが星景撮影における固定撮影です。
では、「ほぼ固定撮影」とは何か、というと…。
アストロトレーサーを使い星追尾をするのですが、あえて、ほぼ固定撮影可能時間分だけ露光をかけるということです。
つまり11mm、12mm当たりなら30秒ということですね。
これで何が起こるかというと、星は追尾されるので完全に点像になります。そして、アストロトレーサーの弱点である星を追尾した分、地上が流れるという弱点が、ほぼキャンセルされます。ほんの少ししか星を追尾していないので、地上もほんの少ししかブレない。空の明るさにもよりますが、撮影時間が短いのでそこそこ高いISO感度で撮ることになります。4000とか6400とか。高ISOで撮るので、その高ISOによるディテールの低下がある程度は避けがたいのですが、アストロトレーサーによる地上ブレは、そのディテール低下の中に埋もれてしまうくらいの微ブレに留まります。
設定も難しいものではありません。
アストロトレーサーで、露光時間を短めにして撮るだけです。
参考例としていくつか挙げると…。
11(換算17)mm=29.41秒≒30秒
12(換算18)mm=27.77秒≒30秒
14(換算21)mm=23.8秒≒20秒
18(換算27)mm=18.5秒≒20秒
35(換算52.5)mm=9.52秒≒10秒
固定撮影に比べてほぼ固定のメリットは何か。はたして、そんなものがあるのだろうか…?と、私も若干不安になりながらこの記事をさぐりさぐり書いていますが。
いや、星景写真である以上、まずは星の写りというのが第一の主役になります。この星の写りがきっちり点像になるというのが大きい。
やはり500ルールで計算しても、意外に星の動きは早く、若干の星の流れというのは起きるんですよね。
ですので、まず、これをキャンセルできるというところに意味があります。
そして、前述したように、ほぼ固定で星がほぼ動いてないので、結果的に地上はほぼブレません。拡大して見てみても、ブレてないな、と感じると思います。いや動いてないのだから当然なのですが…(笑)カッチリとした星空のクオリティと地上の風景のバランスがとれるということです。
これは、ある意味でアストロトレーサーならではの撮影方法でもあります。
というのは、アストロトレーサーは、設置が非常に楽なんですね。なので、構図を変えたりすることも非常に容易です。容易というか、普通に向きを変えてしまうだけで良い。
これが、極軸合わせを構図毎にしないといけないとなると、このほぼ固定撮影のお手軽さが完全にオミットされてしまって、非常に面倒くさいことになる。それならば、やはり長時間追尾で露光をかけて、地上部は別撮りで合成という形がメリットが出てきます。
ほぼ固定撮影は、アストロトレーサーの手軽さゆえに、わずかばかりの意味を見出しつつ使っていけるわけです。コストにリターンが見合うというか、省コストでちょっとしたメリットという感じになる訳です。
ほんの少しの差。
しかし、そこには星を点像にするという意味で、星景写真にとっては、若干のアドバンテージが存在します。
生物学において、自然淘汰による進化は、自然が、動植物のわずかな変異に働きかけていくことで、種分化など大きな変化を起こしていきます。長い時間をかけて、少しずつの差が積み重なることで、この世界の多様な生物種が進化をしてきたわけです。
ひるがえって、ほぼ固定撮影は、星景写真に、ほんのわずかの差をつくる。
そのわずかの差を積み重ねることは、撮り続けた星景写真を振り返った時に、その写真群には総体として少なからぬ差が生み出されていくことになるのです。
つまり、ほぼ固定撮影とは、星景写真に進化論的作用を取り入れた撮影方法なわけですね。星景写真進化論ですよ…(謎理論。
などと、よくわからないことを口走って錯乱していますが、ほぼ固定撮影、ぜひアストロトレーサーが使える方はやってみてもらいたいなと思います。
本当は、アストロトレーサー機能がアップデートされて、今10秒刻みのタイマーが、もっと柔軟に時間設定できるようになると、このほぼ固定撮影も、もっと、進化をするんですが…。ぜひアストロトレーサー機能も今後ブラッシュアップされていってほしい。
例えば、14mmでやった時は、25秒でやりたいわけです。本当は。バルブで時間測りながらやれば今でもできないことはないんですが、うむ。それは、ちょっと、めんどい(笑)
実のところ、アストロトレーサーは星を撮る向きによっては、固定撮影+10秒くらいは地上のブレほぼなしでいけますし、10-17mmフィッシュアイズームだともっと長く、例えば1分くらい露光しても意外と地上がブレないんですが、ここら辺の微妙な駆け引きがアストロトレーサー一枚撮りの醍醐味です。と、勝手に思っています(笑)
いやいや、長い露光をかけて星と地上を合成するとかそういうのも、出来ますからね。それも良いと思うんですけどね。(…合成も良いですねと、この間、ずっと言っているけど、なかなかその作品を出してこないのは、私が、なんだかんだ言いながら一枚撮りに謎のこだわりを見出し始めている、めんどくさいタイプの人類だからですね。このブログをお読みになられている方は、なんとなくお気づきかと思います…「あれ?こいつ変なところにこだわるめんどくさいタイプの人類だぞ」…と。)
あと、私がやっている、パンフォーカス星景なら、前景をフラッシュで写し止めるので、長時間露光しても地上のブレはほとんどキャンセルされてしまいます。だから、色々な使い方ができるのもアストロトレーサーですので、柔軟に使いこなしてみてください。
そして、頭の片隅で、そういえば、ほぼ固定がどうこう言ってたやつがいたなと思い出したら、一回試してみてください。星景写真に、わずかなクオリティの差を生み出してくれます。おすすめです。
ではまた。
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