シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

三脚再考・ブレの謎を追う

うむうむ。

さて、大変な長期天候不順に入ってしまいました。

夜空の明るさ調査期間が始まると、天気が崩れます。

一枚だけ、送っておきましたが、もう無理かもしれない。

環境省「星空を見よう」 夜空の明るさを測ってみよう

 

あ、そうそう、今年は、心機一転noteも始めました。

note.com

あちらでは、写真論を綴っていこうと思います。もしよろしければ、そっちでもよろしくお願いいたします。こちらとむこうと、うまく両立したいですね。むしろ、分けた方がすっきりするという判断。

 

と、それはそうと先日、撮影に行ってきたんですが…。ちょっと問題が起こりましてね。

まあ、まあ、まずは写真から。

 

"Bridges,stars and Moon"

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PENTAX K-50 レンズ DA10-17mm フィッシュアイーム 焦点距離10mm

ISO1600 SS20秒 F5.6  比較明合成

2020.01.19 高知県高知にて

 

うん。これ…、モニターで見る分には良い感じなんですよ。

月の昇る時間と、位置、街明かりが落ちる深夜と、色々とそれなりに計算して撮った一枚(というか100枚くらいの比較明)だったんですが…。

よく見ると星が微妙にガタついてしまって、ブレている。

……。なぜだ…と。

 

この原因を追ってみました。

 

まあ、しかし原因は三脚だろうな、と。三脚が何らかの揺れに負けてしまっている。

私が今持っている三脚は、マンフロットのMT190XPRO3(中型)、MT293A3(小型)と、NEEWERのアルミ162cm三脚の3つです。

 

それぞれスペックは、

MT190XPRO3 重量2㎏ 最大パイプ径26mm 最大荷重7㎏ 材質アルミニウム

MT293A3 重量1.5㎏ 最大パイプ径22.5mm 最大荷重4㎏ 材質アルミニウム

NEEWER162 重量おそらく1.3㎏(公称1.7㎏雲台含むか?) 最大パイプ径25mm 最大荷重12㎏ 材質アルミニウム

と、一応カタログスペック上は、なっております。

 

で、今回K-50を載せたのは、この最後のNEEWER162。

スペックだけ見ると、不十分には思えないのですが…、特に、三脚の能力は最大パイプ径で測られることが多いようですが、これがまずまず太い。これが太いほど安定性が増す、ということになっているはずなのだが…。

ちなみに、大型三脚と言われるのは36mm前後からのようです。極太。

 

というわけで、マンフロット小よりもパイプ径が太い、NEEWER162を持ちだしていたのですが、どうもそれがいけなかったらしい。

 

ブレの3つの仮説

1、K-50のミラーショック

星の撮影は基本的にライブビューで行います。このため、本来ならずっと、ミラーが上がった状態になって、このミラーショックは生じないのですが、K-50については、機構上シャッターを切るために必ずミラーを上げ下げするという仕様になっています。

モーターが一つしかないからだそうです。

詳しい話はこちら。このKPの記事で読んだのを思い出したのでした。

www.yaotomi.co.jp

なので、このミラーショックが悪さをしているのではないかという説が浮上しました。

 

2、地面振動説

上の写真は、ご覧の通り、街中でしかも橋の下です。当然、上は、自動車が通るわけです。そうすると橋の上ほどではないにせよ、多少なりとも地面が揺れているはず。特に大型車などが通ると。

その振動を三脚が吸収できなかったのではないかという説です。

ちょうど、同じように、KP(バッテリーグリップ付)も撮っていたのですが、あちらはK-50より重いですが、マンフロット中に載せていて一切のブレ無しでインターバル撮影ができていました。そうすると、地面が揺れていたのならば、K-50の方と環境は一緒。違うのは主には三脚の性能…ということになる。

 

3、手振れ補正説

手振れ補正を切り忘れていると誤作動してブレることがあります。

しかし、これは切っていたはず。確認した…だから多分違うなという弱い仮説です。

 

なので、いくつかのこれまでの写真を振り返ってみることにしました。

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これは両方とも同じ日に、K-50×NEEWER162で撮ったものです。時間順に並べています。上はブレがほぼないのですが、下は、ガタガタ。(クリックで拡大できるかな)

うーむ…。

そして、まず、仮説3の手振れ補正説が消えます。

この日は手振れ補正は切っていたからこそ最初の写真で、ブレが起きていない。

そして、後の写真で、切っている手振れ補正を戻すことはあり得ません。

だから一番最初の写真も、手振れ補正とは関係ない現象の可能性が高い。いやそもそも、その日に確認してますしね。ONしてなかった。はず。

 

また両方とも、露光時間20秒を合成しているので、露光時間が原因の何か特殊な事象ということではなさそうです。(例えばミラーショックは、1/30前後のシャッター速度で特に顕著に影響がでるようです)

 

仮説1のミラーショック説ですが、ミラーショックなら、同じ三脚とK-50で撮った写真は両方同じ傾向の結果が出るはず。

つまり、この場合食い違っているので、ミラーショック説でもない。

K-50、ミラーは動くけどショックでブレるというほどではない、ということですね。一安心。

 

残るは仮説2地面振動説です。

下の写真は下が岩場なのですが、私が移動をしていったり来たりした記憶はありました。これが岩に響いたのではないか。

そして最初の橋の写真では、述べたように自動車の振動ではないか…。

ちなみにきれいにつながってる写真は、足場は、砂地です。私の移動があまり振動を与えない可能性が岩よりも高そうですね。

 

パイプ径が太いのに?

しかし、解せないのは、パイプ径がマンフロット小より太いはずのNEEWER162が、なぜ振動に弱いのか。

注目点は、軽さです。

最初はパイプが薄いのだろうかと思ったのですが(なので、打音検査を始める…そしてもちろんそんな素養はないので薄いか厚いかわからないという事態に陥った)、実は下の写真を見てわかる通り、脚の付け根部分であるいわゆるスパイダー部の太さが違うことが分かります。

左からマンフロット小、NEEWER162、マンフロット中です。

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NEEWER162が大変細いスパイダーで足をつないでいるのが分かります。

原因は、これでした。ここが薄いのでパイプ径が太いのに重量が軽い。

上から軽く荷重をかけつつ手で揺らしてみると他の2つは動かないのに対し、NEEWER162は、この脚の接続部分(スパイダー部)に遊びがあって揺れてしまう。

ああ、これだ…。これが、カメラに地面の揺れを伝えてしまったのだ…。

 

つまり、

地面が何らかの要因で振動する(逆にいうと地面は意外と振動している)。

三脚のスパイダー部の構造的問題で、揺れを吸収できない。

比較明合成した時に星の軌道がブレる。Q.E.D.

後悔先に立たず。

 

やられましたね。最初の写真、構想から撮影条件までうまくいったのに、まさかの星ブレ。あわー、三脚は、星景撮影において、そこそこ大事だということが、改めて骨身にしみました。何とか5年目に入って撮っていますが、まだまだ知らないことばかりです。

 

そして、カタログスペックで判断するのは危険だなと。

公称耐荷重はNEEWER162が一番なんですよね。でもそれはありえない。マンフロット中の方が間違いなく安定しています。(運ぶのに、やたら重いし(笑))

また、パイプ径もそれだけでは過信できないな、と。

22.5mmのマンフロット小の方が、25mmのNEEWER162より、むしろ安定している。

特に、マンフロット小のスパイダー部はねじった構造で、三又の卍模様のようになっています。これが、揺れに強い。小さいけど頼りになる。

ということが分かったので、マンフロット小を持ち運べる三脚ケースをさっそく買ってしまいました。

今度からはK-50は、こちらで撮るようにします。

 

三脚ケースはせっかくおすすめを教えていただいたのに、その時にはすでに発注してしまっていました。

とてもリーズナブルな奴にしてしまいました。

マンフロット小が、雲台をつけてちょうど入るというジャストフィット。なので、結果オーライです。

 

ああ、しかし、残念。

良いの撮れたと思ったのにな。

まあ、次を頑張ろう。しかし、しばらく雨ポイですよ。

しかし、こんな三脚も一度は触ってみたいものよ…。

少し三脚に興味がわいた。

今度関西にでも行ったらスパイダー部を凝視しながら、触ろうかな。(触るだけ)

 

ではまたまた。

 

追伸 Neewerのは分解して一脚にもなる仕様だったので、一脚として使うことになりました。めでたし(?)。

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