うむ。
流石に梅雨。
連日天気が悪い。始末の悪いことに雨は降らないのに、星は見えないという天気が続いています。
致し方ない。
なので、今回は、久しぶり(?)にPENTAXの話を書いておこうと思います。
PENTAX工房的ものづくりの可能性
サムネイル用の画像を一枚。
PENTAX(というかリコーイメージング)が、"工房的"ものづくりを掲げたステートメントを出したのが、昨年2022年の1月でした。
そこから1年半あまり。
実は、なかなか、面白いことをしているのでは、と思い始めています。
↑これが、その時のステートメント。その一部を引用すると…
また、デジタルな販売手法を活用することで、市場の需要をより詳細に汲み取り、従来の大量生産・大量販売のモデルとは異なる最適な生産を実現します。
ふむふむ。
大量生産・大量販売のモデルというのは、いわゆるリニアエコノミーと言われるものですね。リニアとはつまり直線的ということ。
資源を使い一方通行的に、生産から廃棄へと進んでいく旧来のモデルです。
これに対置されるのが、サーキュラーエコノミーといわれる経済モデルです。
サーキュラーすなわち資源を再利用し続ける循環型経済モデル。
JETRO(日本貿易振興機構)が、「EUのサーキュラー・エコノミーに関する調査報告書」(2016年12月、こちらからPDFが開きます)というレポートを出して、日本の企業がサーキュラーエコノミーへ移行していく必要性を示しています。
転載禁止ということなので、ザクっと要約すると、EU各国がサーキュラーエコノミーという資源循環型のビジネスモデルに取り組みつつあり、これに取り組むことが、日本の企業にとってもビジネスチャンスとなり得るということです。
これがすでに7年前。
オランダなどでは、かなり、このサーキュラーエコノミーが進んでいるようで、以下の本に詳しくレポートされています。
PENTAXの掲げる工房的ものづくりの理念は、このサーキュラーエコノミーと親和的だなと感じています。
ステートメント表明後、この1年半の動きを中心に具体的に見ていきましょう。
一つ目は、言わずと知れたファクトリーカスタム(公式カスタム機)のJ limited01が挙げられます。これ自体はステートメント表明前の2021年4月の発売です。
K-1Ⅱの機体をベースに、様々な企業と共創して、カスタム機をつくりあげています。
K-1Ⅱベースであるため、金型などは共通のものが使われているだろうと思われます。新製品ということではなく、カスタムによって価値を作り出す。
サーキュラーとまではいかないまでも、単純なリニアエコノミーともまた言えない面白い試みです。
二つ目には、フィルムプロジェクトが挙げられます。
カメラ製作技術の継承も試みながら、ちゃんとメンテナンスが可能な新製品としてのフィルムカメラをつくろうというプロジェクト。
メンテナンスというのは、サーキュラーエコノミーにとって、重要な点で、製品に不具合が出たら直しながら長く使うということが、資源の消費を少なくし、無駄を出さない具体的な取り組みになります。
フィルム機というのも、デジタル機とは違い、おそらくは、10年、20年と使っても、古びないというか、時代遅れにならないという強みがあります(フィルムの供給体制が続くならという前提条件付きですが)。
これも、製品の寿命を伸ばす要素になります。
このフィルムプロジェクトがどういう形で、製品を出してくるのか、とても興味深く見ています。
三つ目は、先月出た、K-3Ⅲモノクロームモデル。
こちらも、K-3Ⅲのカスタムモデルですね。これは、J limited01とは違い、中身で違いを出してきています。
その名の通り、モノクロームしか撮れない。
めちゃくちゃとんがってます。
これもK-3Ⅲと形は同じなので、共通の金型だろうと思います。
こういう形で、機能を削ぎ落すことで、逆に価値を生み出していくのは、面白い試みです。
K-3Ⅲというカメラを、一度発売したら、数年サイクルで新製品ということではなくて、使い倒していく。いや、これは、若干サーキュラーよりですよね。
そして、四つ目は、最近色々取り組まれているソフト的なアップデート。
プレミアム機能の提供や、レンズ縛りで使える限定カスタムイメージなどの試みが続けられています。
先日も、K-3ⅢにアップデートがきてGrad NDというプレミアム機能の提供(有償)が始まりました。
これが星景撮影で使えるのかどうか不明なため、まだ、導入には至らないのですが、合成することで、グラデーションNDフィルターの機能を再現するという代物で面白い。
ソフト的なアップデートで、製品の価値を生み出していくというのは、明らかに資源は使わないわけで、かなりサーキュラーに近い取り組みです。
五つ目は、今思い出したのですが、そういえば、以前K-1Ⅱ発売の時には、基板交換でK-1をK-1Ⅱにアップグレードするという前代未聞のこともしていました。
というわけで。
実は、もう一歩踏み込んで、明確にサーキュラーエコノミーなカメラの生産モデルに進んでもらえないかなというのは思っています。
例えば、サブスクリプション的な形で使用料を払い、最後は、カメラをメーカーに返す(買い取りオプションも有り)ことで、資源の廃棄を出さないようなものづくりの仕組みは、可能なのかどうか……。
ステートメントがいうように大量生産・大量消費のビジネスモデルは、もう続けられないのは間違いないので、面白い取り組みをしていってもらいたいなと思います。
というわけで、梅雨時のよもやま話でした。
(ネタがない)
ではまた。
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