アルベルト・アインシュタインが、重力の理論である一般相対性理論を発表したのが1915年。本書は、100年を節目に、宇宙論の発展や観測に大きな影響を与えてきたこの理論の歴史を振り返りながら、近未来を予測する。相対性理論の残した最大の宿題、重力波についても一章を起こして詳しく書かれており、大変興味深い。
今年は、一般相対性理論から101年目、本当は、昨年いろいろと相対性理論関係を読みたいと思いつつ、宿題となっていた。1年遅れで、相対性理論関係のものも読んでいきたいところである。
重力波を通して見る宇宙=重力波天文学
昨年、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんが、大型低温重力波望遠鏡KAGRAによる、重力波の直接検出に挑戦するということで話題にもなっている重力波。
KAGRAのサイト↓
http://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.up
重力波は、読んで字のごとくというべきか、重力の情報を光速で伝える波のことで相対性理論から、予測されている、のだが、今まで「直接」観測されたことがない。
間接的には、ハルスとテイラーが連星パルサー(強いパルス状の電磁波を放射する星)を観測した結果として、連星パルサーが重力波を放出することで、エネルギーを徐々に失い、その分軌道が短くなりつつあるという結論を導いており、重力波の存在は確かなようだ(1993年のノーベル賞を受賞)。
KAGRAに望遠鏡と名がつくように、重力波を直接観測できれば、重力によって宇宙を観るという、重力波天文学が始まることになる。
現在、アメリカやヨーロッパなどで、日本と同様に、この重力波観測装置が建造され稼働し始めており、その精度は1年間に10回程度の重力波を観測することができるものだということだ。
重力波が直接みつかる、ということそれ自体もすごいことではあるが、いくつか、その重力波の情報が集まってくれば、何か理論と違うことが発見されるかもしれない。そうすれば、重力理論のさらなる発展に進む可能性は高い。
重力波が観測されるかどうか、ということと同時に、そこに現時点の科学が予測するもの以上の結果があれば非常に面白い。
自然の基本的な4つの力(電磁気力、強い力、弱い力、重力)の関係において、重力だけが極端に弱いことは、現代物理学の大きな謎のひとつでもある。
新しい観測技術が、理論を切り開く時代に期待したい。