先日、オーテピアに入っている高知みらい科学館にて、理論物理学者の観山正見さん(元国立天文台台長)を招いて「宇宙に生命をさがす」と題したサイエンスカフェが開かれました。
このエントリーの表題の本は、観山さんが、2002年に書いたもので、その時点での宇宙生命探査の展望を示した一冊。2002年から2018年、16年の月日の中で、この分野にどういう可能性が生まれてきているのか。サイエンスカフェでは、その部分のお話も聞くことができました。
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本について
世界初の太陽系外惑星の発見は、スイスのチームにより1995年に発表された。「ペガスス座51番星」、公転周期は4.23日という恒星の近傍をグルグルとまわっている巨大ガス惑星(ホットジュピター)が、最初に見つかった太陽系外惑星である。その恒星ー惑星間の距離は地球と太陽の距離の20分の1という近さだった。
この星の驚きは、それまで太陽系をもとに理論構築されてきた惑星の形成理論モデルから随分と予想外の星だったということである。
太陽系では、ご存知のように、内側には地球型の岩石型惑星が4つ並び、中間地点に巨大なガス惑星(木星、土星)がある。このモデルから外れた「ペガスス座51番星」の系外惑星は最初にして、非常に規格外だったことがわかる。
しかし、中心の恒星にこれほど近く、かつ巨大ガス惑星となると生命の存在する可能性は低い。
生命探査には、地球型の、しかもハビタブルゾーン(水が液体として存在できる範囲)にある惑星を探す必要がある。
この本では、未来のこととして紹介されているアルマ望遠鏡についても、現在は、本格稼働しており先日も、巨大星誕生の現場で糖類分子を観測するなど、その威力をいかんなく発揮している。
記事にあるように惑星の誕生する場所に、糖類が見つかるということは、生命の起源の理解をすすめる成果といえる、かもしれない。
サイエンスカフェについて
この本を予習してからいったサイエンスカフェも、なかなか、刺激的な話でした。
現在は、系外惑星の発見が続き、3000近い系外惑星システムが見つかっているとのこと。その中には、地球型の惑星もいくつも見つかっていることも示されました。
観山さんの予想するところによれば、これから10年~25年ほどのスパンで系外惑星での生命探査で何らかの成果が見られるのではないかとのこと。
何を探すことで、生命の可能性を調べるのか。
系外惑星を直接観測することで、その大気の組成を調べるということがひとつ。
とくに、地球のようにオゾンが存在することがわかれば、オゾン(とそのもとになる酸素)を作る存在、つまり植物が存在している可能性がかなり高いといえること。
また、光合成をする植物が地面を覆っている場合、赤外線を反射するレッドエッジを観測するという手段もある。
大気組成にメタンがおおければ、それは、動物の存在も示唆する可能性がある。
あるいは、知的生命体が使用する人工的な電波が観測されるという可能性もある。
特に、南アフリカ共和国とオーストラリアを候補地として建設が予定されているSKA(スクエア・キロメートル・アレイ)が稼働し始めれば、4~5年で全天の探査が可能になり、2040年ごろには、その可能性がはっきりするかもしれないとのこと。
その他にも、太陽系内の生命探査や、お隣の恒星であるアルファ・ケンタウリに直接探査機をおくりこむスターショット計画などもあり、この分野の発展が語られました。
そういう意味で、もし地球外生命が発見されるならば、その時期は近い、という非常に面白い時代を迎えていることが示されました。
それとも、この宇宙で、われわれ地球の生命は孤独な存在なのか。
少なくともあと10年のスパンで何かしらの答えがみえてくるでしょう。
この分野のニュースを楽しみに待ちたいと思います。
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