シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

オリオンを見上げて

なんだかんだで、今年も、昨年来の若干のハイペースを保ちつつ撮影に行っている気がしますが、今年は絶対忙しくなるので、ソフトランディングさせていかないとまずいな、と思いつつ。しかし、逆に、行けるときに行っておかないといけないなとも思いつつ。

先のことはどうなるかわからないですが、…合間と題材を見つけて、なるべく撮りに行きたいとは思う一月半ば。

 

昨日は、珍しく人といっしょに撮影に。実のところ、非常に珍しい。

blog.livedoor.jp

「土佐んちゅのカメラ日記」の土佐んちゅさんにお誘いを受けまして、香美市に撮影に行ってまいりました。

 

そして、おそらく初の香美市上陸。いや、もちろん、普通に昼間行ったことはあります(笑)

高知県下全市町村で星景写真を撮りたいと思いつつ、東の方はかなり広範囲に未撮影地域が残っていたので良かった。今度、地図を見ながら埋めてみないといけませんが、西もまだいくべきところがいくつか残ってるとは思うなぁ…。

合併して広域自治体になっているので、そのうちのどこかで撮ると一市町村制覇したことになるので、頑張れば行けそうなんですが…。

 

というわけで。

香美市で撮影をしてきましたので、何枚か。

 

オリオンを見上げて

f:id:shironagassu:20190115180225j:plain

PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited  焦点距離15mm

ISO4000 SS30秒 F4 アストロトレーサー、ソフトフィルター使用 

2019.1.14 高知県香美市にて

 

f:id:shironagassu:20190115180844j:plain

PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited  焦点距離15mm

ISO2000 SS20秒 F4 アストロトレーサー、ソフトフィルター使用 

2019.1.14 高知県香美市にて

 

f:id:shironagassu:20190115181002j:plain

PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited  焦点距離15mm

ISO4000 SS30秒 F4 アストロトレーサー、ソフトフィルター使用 

2019.1.14 高知県香美市にて

 

オリオンを中心に3枚セレクトしてみました。

ブログでも何回か言及しているように、オリオンは冬の厳しさと切っても切れない存在。冬の寒さに耐えながら、オリオンと対峙して撮り続けるということが、冬の星景撮影の大変さでもあり、醍醐味でもあります。

とは、いうものの、今年暖冬ですよね。少なくとも高知は。少し暖かい(いや、まあ冬なので寒いのは寒いんですけど、言うほどではない)。

 

1枚目は、小屋の上にかかるオリオン。

2枚目は、木の幹に思いっきり寄りながらのオリオン。

最後3枚目は、土佐んちゅさんの後ろ姿とオリオン(撮影協力ありがとうございました)。半月過ぎの月が空にかかる中で、地上にも光がまわっていますが、フラッシュも使ってみました。

と、オリオン尽くしで。

 

いれたてのコーヒーと宇宙食をいただいてしまいました。

ありがとうございます。

私は撮影するときは、だいたい(眠くならないように)ガムを噛み続ける(そして、撮影が終わったころには顎が疲れている)という、味気ない撮影が常なので、おいしかったです。元来のインドア体質で、アウトドアの素養もないですしね。普段は味気ないものです(笑)

 

しかし、あれね。最後フィルターを片付けようと思ったら、どこを探しても普通の保護フィルターがない。なんでだろうと思ったら、ソフトフィルターと二重につけていました。参った…。なので全編少しケラれ気味だったので、若干のトリミングを余儀なくされました。無念。

 

とはいえ、よしよし。

今年も全体的に見れば順調に撮れてはいる。

ペース配分をしつつ、行きたいところですね。

 

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星景サルベージその56 「真珠星」

うーむ。

ひとつ、ふたつ、撮りたい案件があるのだが、天気がよろしくない。

こういう時は、サルベージするに限る。

ということで。

 

さっそく、今年初のサルベージ。

 

「真珠星」

f:id:shironagassu:20190111221738j:plain

PENTAX KP レンズ DA 35mm  焦点距離35mm

ISO3200 SS20秒 F2.4 アストロトレーサー、ソフトフィルター使用 

2019.1.6 高知県高知市にて

 

まだ冬も盛りですが、このごろになると深夜2時ごろ、北東の北斗七星から続く春の大曲線が、東の空へと伸びているのが良く見えています。

北斗七星のひしゃくの部分の曲線をそのまま東へと伸ばすと、うしかい座のオレンジ色に光るアークトゥルス、そして、このおとめ座のスピカへと夜空を横切る大曲線が描けます。これを春の大曲線といいます。終点は、スピカのその先にある小さな四角形のからす座。星は一か月経つと2時間早くなるということですので、もう少し季節が進み春になれば、もっと見やすい時間に見えてきます。1月で2時なら、3月だと22時頃なのでずいぶん違いますね。

 

私は、このスピカの和名を真珠星(シンジュボシ)と覚えていたんですが、最近、私の座右の書となっている「日本の星名事典」によると、実のところ、スピカを真珠星と呼ぶという伝承は伝わっていないということらしい。

いや、この日本の星名事典、本当に、良く調べられていて、一級の仕事だと思います。実はこの本、机に置いて、撮った星の写真を見ながら、和名は何と呼ぶんだろうという実践的な使い方をしていまして、実はまだすべてを読み下しているわけではない。開くたびに新たな発見があり、面白いです。

ちなみに、もうひとつの座右の書として、カール・ケレーニイ著「ギリシアの神話 神々の時代/英雄の時代」も置いていて、これも星にまつわるギリシア神話が、どういうものなのか、引きながら調べたりしています。でもこちらはもう少し星座に特化したものも欲しいかなぁという気がしますね。でも、この本はギリシア神話を多角的に諸説含めて収録しているので、なかなか重宝します。

と、閑話休題

 

というわけで、スピカの伝統的和名としてシンジュボシというのは、どうも、違うらしいと。真珠星のもとになったのは、福井県で1937年に記録されたシンジボシというものらしい。「シンジボシ(6月の8時頃上る。白色で小さい)」(宮本常一)という伝承をもとに、野尻抱影氏が「多少強引であるが」と断ったうえで、白い星というところからの連想でシンジボシを真珠星と解しスピカと結び付けたことで、この和名が広がったという経過があるようである。なるほどなあ。一ヶ月に2時間ごと早くなるとすれば、たしかに6月に8時ごろ上るというのはおかしいですね。スピカとは時間が合わない。

著者の北尾浩一氏の言を少し引いておきましょう。

本書では、「スピカを真珠星」と言ってはならない、と記しているわけではない。真珠星は、スピカにぴったりの名前であるからこそ、おそらく野尻抱影氏と内田武志氏が二人とも真珠星と考えたのではないだろうか。しかし、「古くから日本で伝承された」と言ってはいけない。現段階では、フィールド調査、あるいは文献調査で真珠星が暮らしのなかで形成され伝えられている事例に出会うことができていないからである。

そういうことなのか。

確かに写真を見てもらうとわかるように、スピカは数ある星の中でもとりわけ白く、真珠に見立てたくなるのはよくわかります。

しかし、この日本の星名事典を読んでいるとわかるんですが、星の和名というのは、もっと生活に密着しているものが多いんですよね。農機具だったり漁具だったりそういうものが星に見立てられて、本当に暮らしと星が身体感覚として結びついている。そういう部分からすると、真珠星というのはちょっと、ロマンチックすぎるかなという気も確かにするのです。

うーむ。真珠星、素敵な名前ですけどもね。

とりあえず、これから、私はスピカを真珠星と呼ぶときは心の中で「 」をつけて、「真珠星」としたいと思います。

 

ということで、サルベージでした。

ではまた。

 

 

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shironagassu.hatenablog.com

 

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