シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

オリオンは猟犬を連れて

高知は、9月から天候不順が続いていまして、なかなか撮影にいけなかったのですが、とうとう昨日(6日夜)に、晴れ間が到来。

しかしながら、撮影に出れたのは日をまたいで夜中の7日未明。とりあえず、それでも久しぶりすぎるチャンスなので無理してでも行ってみようということで強行。

ただ、その時間から、あまり遠くへはいけないので、ホームグラウンドといってもよいほどよく行く仁淀川河口付近に撮影に行ってまいりました。

 

オリオンは猟犬を連れて

 

今回はタイムラプスから。

さそり座が西の空に沈み、オリオンが猟犬を連れて今年も戻ってきました。今シーズン(自分的に)初めてのオリオンが、南西の空をシリウスおおいぬ座)を引き連れて登っていきます。やはりオリオンは雄大

そして、シリウスが水面に光を投げかけていて、やはり恒星としては別格の輝きですね。

橋を少し長めに入れたくて苦心した結果、水平をとらずオリオンに合わせるような形で斜めに切り取ってみました。橋を入れるなら魚眼レンズにしようかとも迷ったんですが、とりあえず20-40mmで行ってみました。

雲がでましたが、タイムラプス的観点から、流れる方向としては、上々か。

右下では、地味に潮が引いていく様子も見られます(笑)

 

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PENTAX K-50 レンズHD 20-40mm Limited 焦点距離20mm

ISO1600 SS30秒 F2.8 ソフトフィルター使用

2016.10.07 土佐市仁淀川河口付近

 

今回から新機材を投入

 
 

 これと

 これの2点。

 

これから冬に向けて、レンズの結露対策が課題になるなと思っていたので、購入。

上のドリンクウォーマーは、レンズヒーターとしてそのまま転用しています。

ただ、比較的コンパクトなPENTAX HD20-40mmには、少し幅がありすぎる感じはあり、つけるのに工夫がいる感じ。(端を折るとか)

使ってみた結果としては、撮影終了後にレンズの鏡筒を触るとほのかにあたたかく、確かな実力を発揮してくれました。十分レンズをあたためて、結露を防いでくれると思います。

 

まあ、これまでの撮影で、レンズが曇ったことって実はないんですよね。温めてなくても…。まあ…ここは、半信半疑なところはあるんですが、ものの本をみるとまず間違いなく結露対策の事を書いているので、先人のいうことを聞くのも大事だろうということで、対策を打ちました。

なんとか合間を見て出てきている撮影途中で、レンズが曇ったとしたらそれはそれで非常に残念な事態ですしね。

ヒーターのバッテリーとして購入したモバイルバッテリーは無駄に大容量な気がしないでもない(笑)が、まあ問題なく動作してくれました。

 

しかし、機材がじわじわ増えてくる。あとは、もっとこれらの機材を持ち運びやすいようにこれを収納するリュック型のバッグが欲しいんですよね。今のバッグが斜め掛けなんですがとても重い…。と、物欲はノンストップ。

ただ、上の4000円くらいの買い物をするのに三か月悩んでいるので、バッグもそんなに簡単には買わないと思います…!

 


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【書評】冥王星を殺したのは私です

優れたサイエンスノンフィクションというのはどんなものか。

もちろん、いくつも条件はあると思うのだが、…、ひとつは、ある分野の科学の知見について、わかりやすく的確にかかれていること。二つめは、それを進める科学者の姿が見えること―できれば生き生きと伝わること。

冥王星を殺したのは私です」は間違いなくこの2つの条件を満たしていて、非常に優れたサイエンスノンフィクションになっている。

 

 

 

惑星探査の科学

系外(太陽系外)の惑星の探査は、かなり、メディアでも取り上げられることが多く、近くの(といっても近くても数光年と遠いのだが)恒星系で地球型の惑星が見つかったというようなことがニュースになったりする。生命はいるのかなど関心も高い分野だ。

この本で扱っている惑星探査は、それとは違い太陽系内の惑星を探すもので、著者のマイク・ブラウンもその専門家だ。

 

太陽系の端に広がるカイパーベルトに、惑星を探すということを主眼に、長年、研究に取り組んできた。本書は、まず、彼の研究遍歴を彼自身の目で振り返る。ほかの科学者や技術者との交流も織り込まれていて、惑星探査科学の営みの一端を目の前に描き出してくれる。

 

2つの事件

惑星探査をする中で、彼は2つの事件に遭遇する。ネタバレにならないようにひとつは、おいておくとして。

もうひとつは、明かしても問題ないだろう。なにせそれはすでにタイトルになっている。冥王星を殺す」事件だ。

国際天文学会は2006年に冥王星準惑星に分類することになるわけだが、その過程で、彼が発見した天体(今では、エリスと呼ばれている)が、冥王星に非常に近い大きさを持っていたことなどから、冥王星の惑星としての地位が揺らぎ始め、最終的には、天文学会で、準惑星というカテゴリーを与えられ、その過程で、冥王星の位置づけも変えていく論争になる。

 

いわば、彼は、長年の夢としてきた惑星の発見をしそこねたわけだが、彼自身、「冥王星は惑星とすべきでない」という立場で、この論争に加わっていく。自分の発見した天体も道づれに、冥王星と刺し違えた形だ。

ちなみにエリスは不和と争いの女神の名で、ことの顛末を知ると、なんともぴったりの名が残っていたものだと感心する。

 

家族との姿も描く

この本の大きな特徴は、最初に挙げた、科学とそれを営む科学者という要素にさらにひと手間くわえて、彼自身のプライベートな面、妻や子どもとの交流にも紙面が割かれているのが特徴だ。

科学者も一人の人間。いろいろな場面で迷うこともあるが、家族との絆の中で、決断を重ねていく姿は、人間味あふれ共感を呼ばざるをえない。まだ1歳にもならない娘との交流の場面などはぜひ読んでほしい名場面だ。

この点が、この本を数あるサイエンスノンフィクションから一歩抜きんでたものにしているのは間違いない。

 

冥王星はそれでも存在する

冥王星ファンというのは、たくさんいるようで、著者もなぜ冥王星準惑星にしたのかと詰め寄られることもあるようだ。あくまで、惑星という科学的概念をはっきりさせた決定だというのが、著者の弁であり、私もこの点に納得をする。

しかし、分類が変わっただけで、冥王星はしっかり存在するのもまた事実だ。昨年には、探査機ニューホライズンズが冥王星をフライバイし、地表の細かな特徴も含めて詳細な画像データを送ってきた。これをもとにした分析が続けられてもいる。準惑星になったとしても、太陽系の端に位置するこの冥王星という星に興味は尽きない。

いまや8つになった惑星。

はたして、9番目の惑星が太陽系に見つかる日はくるのか。来ないのか。

著者は、いつか9番目の惑星をみつけようと、研究を続けている。

 


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