シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

星景サルベージその21 昼と夜の溶け合う場所

というわけで、年の瀬も深まりまして、残すところあと10日程となってまいりました。

 

上半期は、もはや、アレな感じで、ほぼ星撮影を休んだので、今年はコンスタントに撮るという一昨年かかげた目標は達成できませんでしたが、下半期は、その反動か、かなり精力的に撮影にでかけていきました。

と、何か年内のまとめ的なことを書き始めてますが、まだ、もう1回くらい更新するかもしれないし、しないかもしれません。

どうだろう。

いや、どうだろうというか、書評更新してないんですよね。忘れてはいない。なんとかしなければ…。

 

と、サルベージです。

 

昼と夜の溶け合う場所

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PENTAX KP レンズHD 20-40mm Limited 焦点距離40mm

ISO3200 SS1/2秒 F5 リアルレゾリューションシステム使用

2017.12.20 高知市にて

 

日没からすでに1時間弱経過して、西の空には、わずかに赤い陽の光が残るのみとなっています。そこに月齢2の細い月が傾いていく。

 

リアルレゾリューションシステムを、自分のフィールドで使えないか色々試しているのですが、この月齢期の細い月(明け方も含め)を撮るには、リアレゾかなり実用レベルだろうと手ごたえを得ています。

この細さの月は、夕暮れ時か明け方になるので、空に明るさがあって、12800などの超高感度にしなくてもある程度常識的な感度の範囲で、かつ、F値もちょっと絞り目(ということはレンズ性能も上がる)でも、日周運動の問題をクリアしてリアレゾが使えます。(遅いと月が流れる、以前2秒×4のリアレゾをしたときは月が流れてしまった)

 

リアレゾは、解像感を上げることが注目されがちですが、私はむしろ、階調表現が豊かになることの方に重きを置きたい。

 

この写真でも、西の空のグラデーションが、赤から、なめらかに青と混ざり合って溶け合うように移り変わっていく様子が描写されています。

 

うーむ…。正直、リアレゾをなめてた。すごい技術であるとはいえ、所詮は飛び道具的な扱いだろうと。

APS-CのセンサーサイズのISO3200で、これだけの階調を表現してくるとは。完全に実用レベルですね。本当にすごい。

解像感の方は、車が走ると微振動する橋の上ということもあり、あまりよくわからないけども…(笑)

 

もちろん、リアレゾ撮影には、三脚は必須ですし、星や月を撮るのに使うには、日周運動の問題も考慮しないといけないので、発動条件厳しめなんですが、いやあ、はまった時の描写はやられますね。

本気の奥の手=必殺技的位置づけで、今後も、なるべく積極的に、起用していきたいと思います。

 

ちなみに、リアレゾRAWをライトルームでそのまま読むと、リアレゾの動体補正が効きません。というか、むしろ妙なモザイク模様になってしまって使い物になりません。ので、付属のカメラユーティリティか、カメラ内現像で一度TIFFに書き出す必要があります。

こういうのも手間暇かかりますが、奥の手なんでね。必殺技は、ほいほい発動できるというものでは、ありがたみがありません(笑)

が、特にいじり倒す必要がなければ、カメラ内現像で事足りるので、そこも実用レベルとも言えますね。

 

ということで、サルベージでした。

 

今、一番手軽にリアレゾが使えるのはK-70か。リアレゾ体験おすすめします。

 

センサーサイズから言って、K-1のリアレゾってたぶんかなり効果高いんだろうなあと推測しますね。中判の645系は(あんまり詳しくないけど、たしか)ボディ内手振れ補正ではないので、リアレゾ実装は難しそうですね…。

 

さて、今年最後の流星群、こぐま座流星群を撮ってきますかね…。いやあ、あまり、期待はできない…でも、あきらめは悪い。

 

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さあ反省の時間だ/ふたご座流星群2017

というわけで、12月14日(木)の16時に極大を迎えたふたご座流星群

8月のペルセウス座流星群、1月のしぶんぎ座流星群に並んで、年間三大流星群といわれております。

 

2001年のしし座流星群の大出現などの例外はありますが、基本的に、この年間三大流星群は、他の流星群とは完全に格が違います

5倍~10倍(体感)は流れる。ピーク時は、空の暗さにもよりますが、1分間に何個も流れることも珍しくない。というわけで、まさに、星好きにとっては祭りのようなもので、晴れれば逃すわけにはいかない存在でもあります。

 

とはいいつつ。

私は、星景を撮り始めて3シーズン目なんですが、実は、このふたご座流星群とは、なかなか縁がなく、曇りだったり、はたまた満月の上に曇りだったりで、いままでは、十分に撮影できておりませんでした。一応足を運んだ記憶はあるのですが…。

今年2017年は、極大日前日が月あかりもなく好条件の晴れとなり、ようやく、3年越しの対面をすることができました。

うむ。

 

気温1度の寒さの中を、5時間くらい外で粘って流星が流れる様子を見ていました(足先が寒すぎて麻痺して難儀しました。要対策…)が、いやあ、流れる流れる。

途中は、流星群観測の正しいスタイルとして寝転がってみたりもしました。天頂付近(カメラは向いてない)を明るいのが流れたり…。最初流星が流れるたびに、ツイッターで実況してたのですが、途中から流れる数が多すぎて追いつかなくなったのと、寒さでiPhoneのバッテリーの電圧が急激にさがりまして、やむなく中止。(でもPENTAXのカメラは問題なく動作するので偉いです)

 

目で流星を捉える上では、空の暗さも重要になってくるのですが、そこは、高知。北は険しい山に阻まれ、南は何もない海、そして大都市圏からも遠く離れている…と。空の暗さという意味では、全国屈指なのは疑いようがありません。

なので、非常によく見えました。これは良かった点。まあ、写真に写るかはまた別なんですけどもね。

 

あと、ついでなので、言っておくと、しぶんぎ座流星群(例年1月4日前後が極大日)も、正月早々、いつも風邪を引いたりして、縁がありません(笑)

しかも、来年のは、残念ながら満月過ぎの月あかりがあり、条件がよろしくありません。それでも晴れたら行ってみないといけないのですが…。

 

おさらい 

と、閑話休題ふたご座流星群です。

そもそもの流星撮影のおさらい

流星を捉えようと思えば、明るいF値、広い画角、高いISO感度が、重要になってきます。

今回、このうち、ISO感度に関しては、PENTAX KPの導入によりアドバンテージを得ることが出来ました。

本当は、レンズとして、サムヤン14mm F2.8 が加わり、F値の明るさと広い画角を得るはずだったのですが、本番のふたご座流星群を待たずして破損したことは、以前述べた通りです。(直す見通しが立ちません。賞金の出るフォトコンも入賞しないし(笑))

 

なので、レンズは我が魂の相棒smc PENTAX DA10-17mmフィッシュアイズーム。最初に星を撮るために買ったレンズでもあります。

実に180度の画角を誇り、F値は3.5とやや物足りないですが、そこはISO感度8000にすることで、弱点を克服できました。

ISO感度もっと上げてやろうかとも思ったんですが、まあ、8000もあれば十分ではあるので、無理をしませんでした。空の暗さは十分でしたけどね。12800で1分くらいいってもまだ問題ないくらいじゃないでしょうか。

 

そして、今回から、K-50にも稼働してもらって、カメラ二台体制にしています。

広い画角で流星を捉えることは、大事ではあるのですが、一方で広い画角で捉えれば、流星は小さく写らざるをえない。この矛盾へのひとつの答えが二台体制でもありました。

K-50はISO1600、30秒で1時間、途中でKPの撮影風景を撮ったりもして遊びましたが、ISO3200まで上げて30秒をあと2時間くらい撮りました。レンズはPENTAX HD DA 20-40mm Limited F2.8-4。画角は長辺方向で約60度、APS-Cなので換算30mm程度で超広角とは言えませんが、逆にこれに大きめの流星が入れば、かなり目立つものが撮れるわけです。

 

と…。

高感度によってブーストされた画角180度のKPで4.5時間のインターバルと、要所要所ででかい一発を狙うK-50の二台体制というスキのない完璧な布陣をしいた…!

しいた…はずだったのだが…。

 

反省会

さあ、今回も反省しようか…。

まずは、今回最大の流星から。

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 12月14日1時33分

 

うーむ。うーーーーーむ!!!!

見切れた…。そっちかああぁあ…。

あああ…。

これを写しきれないのが、もたざる者としての宿命、であり業(カルマ)

…うん。まあ、頑張った、よく頑張ったよ。悔いはない。流星群はまた巡ってくる……。もたざる私にできるのは、思うように進まないとしても歩みを止めないことだけだ…。

 

以下、いくつか写ったので、記録しておきます。

残念ながらK-50の方はあまり流星の数が稼げませんでした。

うーむ。画角的に、当たればでかいのですが、当然当たる率は低い…ということになります。(ISO感度もKPよりは劣りますしね…)。でももうちょっと写ってもよかったと思うけどなぁ…。

私の日頃の行いが良くないのでしょう…。

 

比較的、大きいものを抜粋して掲載しておきます。

f:id:shironagassu:20171214205743j:plain

13日21時48分

左の山に向けて。

 

f:id:shironagassu:20171214205446j:plain

 13日22時31分

灯台の上に。

 

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14日0時2分

これはシリウスの右と下にダブルかな?

ここまでKP。KPは小さいのも含めて、12個の流星を捉えていました。

よく頑張った…!

 

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13日22時13分 

こちらはK-50。西の沈むペガススの四辺形の下に。

K-50 は全体で3つしか捉えられず。うーむ…。

 

つまり計15個。うーむ。撮れたといえば撮れたけれども、かなり流れていたのでもっと明るいのをゲットしたかった。

 

しかし、今回、2台体制でそれぞれ役割をもたせた戦略に間違いはなかったと思います。(というか、レンズがそういう構成にせざるをえないだけですが…(笑))

ただただ、ああ…、ただただ、もう運というものを持ち合わせていない。もたざる者の悲哀というほかありません。

偶然、奇跡的な写真が撮れるという瞬間は、私には、訪れることはないでしょう。できるのは、人事を尽くして天命をまつことのみ。次の流星群にも、入念な準備をしてロジカルに挑みたいと思います。

いつか、火球を捉える日が来ると信じて。

 

年内にはまだ、こぐま座流星群(12/22の夜23時頃極大予定)があるのです。まだ、あきらめるには早すぎる…。

 

いやあ、それにしても、流星群はいつもうまく撮れなくて反省しないといけませんが、撮りに行くの自体は非常に楽しいですね。

ただ、あくまで流星を撮るということに力を注ぐため、星景写真としては、作品レベルにはなりづらいというのもありますが、…本当は、そこもこだわるべきなんでしょうけども、まあ、良しとしましょう。

 

12/15追記 タイムラプス化しました。 タイムラプス化したらいくつか、見落としていた流星をみつけました。全部で17かな。まだあるかな…?枚数的には約17/500です。

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