シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

星景サルベージその62 青が流れ出した夜

世は桜の季節ですが、まあ、それはともかくとして、季節外れの紅葉の写真をサルベージしておきましょう。

 

サルベージということは、(今年に入ってからサルベージの基準を明確化して)何かで選外になった(まれに入選したということもある(笑))ということなんですが、これは、ペンタックスリコーファミリークラブの会報誌の定期フォトコンにて選外となりました。

だから、前回の地元紙のに3ヶ月ごとの年4回、今回のファミリークラブのに3ヶ月ごとの年4回、合計・年8回は最低限出しているということですね。これ以外に条件が合う面白そうなフォトコンにも出すようにしています。星景写真縛りで。

 

というわけで、サルベージ。

 

青が流れ出した夜

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PENTAX KP レンズ   HD DA 15mm Limited 焦点距離15mm

ISO1600 SS30秒 F4 アストロトレーサー、ソフトフィルター使用

2018.11.20 高知県本山町にて

 

晩秋の渓谷を月が照らして、空と渓流を青く染めていきます。

散り残った紅葉の赤がアクセントを添えてくれています。

 

と。

本当は、もっと紅葉が盛りの時に行きたかったのですが、地上景を写すための月あかりと、天候と、紅葉の時期と、私の生活リズムとが微妙に食い違いまして、ベストのタイミングとはならなかったのが残念ではありましたが、逆にわびさびが出たといえなくもない。

 

今回、初めてこのファミリークラブのフォトコンで予選を通過しました。予選通過した上での選外。結局は選外かー。無常。あわー。

私もシステムをよく理解してないんですが、応募作の中から予選通過作を選んでおいて、入選作を選ぶんでしょうね。

あー。これはしかし。

千載一遇のチャンスを逃したかもしれませんね。いやでも、まあ、全然問題ない。また送ればいいだけだ…。

 

この作品は、星景写真としては使いづらいHD DA15mm Limitedで撮っています。

shironagassu.hatenablog.com

一応、星撮影用としてのレビューをしていますが、星撮影用としてお勧めできるかというと正直お勧めしません。

このレンズは、そもそも、11-18mmが発売延期になり、サムヤンの14mmも岩場でこけて砕いた中で、やっぱり手持ちに広角レンズがないのはあまりに寂しいぞとなって、買ったものになります。

最初はサムヤン14mmを直すつもりだったんですけどね。気づいたらこの15mmを買ってました(笑)ネットを探してもほとんど星を撮った作例なかったですけど。

今は、昼間にKPにつけて(カスタムグリップを色々交換しながら)、普通にスナップを撮る時用に使っています。適材適所です。昼間のスナップ用としては最高です。軽いし、コンパクトだし、F4~でも何の問題もない。そして、何より見た目が恐ろしくかっこいいです。ので、昼間に使うべきレンズです。レンズにカッコよさというパラメーターが必要なのかはなんともいえませんが、かっこいいものはしょうがない。

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このキャップ普段は使いづらいので使ってないのですが、ネジ込み式でひとつひとつPENTAXの文字が正面を向くように作られているらしい…。手が込んでいる。でも使いづらいので普段は防湿庫の奥に保管しています、だから傷一つなくキレイ(笑)

 

Limitedレンズの作成過程を公式YouTubeが公開してくれたので貼っておきます。思っていたより7倍くらい手作りでした。


PENTAX | Limited Lens - until it sees the light -

 

と。

この15mmで、11-18mmが出るまでの8カ月ほど星空を撮り続けました。

その期間、開放F4と星用としては暗く、コマ収差も大きく、周辺減光も強い、という中で、じゃあどうすればその制約を受け入れて、より印象的な(誰かが見た時に意味を感じてくれる)作品に繋がるだろうという視点で、色々と撮り方を工夫することを覚えまして、それが引き出しとして私の中に残りました。

 

いま、PENTAXのDA(APS-C用)として、星景撮影のレンズを1本買うとすると何かと問われれば、正解は11-18mmです。これは間違いない。

でも、手持ちのレンズで色々試行錯誤してみるというのも、非常に面白いものです。別に不正解でもいいと思うんですよね。良いにせよ悪いにせよ、それはそれとして、その経験が、撮影者の側に残っていく。ので、ぜひ、色々なレンズで星景を撮ってみてください。とか言いながら、私はもう、しばらくはほぼ11-18mmのみで撮り続けると思います(笑)目下、11-18を使いこなすのが最大の課題です。

 

撮影者と鑑賞者と

私は、フォトコンに出す時に改めてプリントされたものをじっくり見てから、タイトルを考えるようにしていまして、撮る時にはまだそういう意味では作品として完成していません。

もう一度、鑑賞者の視点に立って、作品を客観的に見て、相応しいタイトルを探してくる。(ただこの写真、ツイッターだと最後に「に」を付けた気がするけど、ないのが正式です。だから、いや、割とうろ覚えではある(笑))

今回の、青が流れ出した夜、というタイトルも、紅葉の写真なのにあえてタイトルは青なんですね。結果、選外だったので、それがベストではなかった可能性もありますが、少なくとも、私がこの写真のプリントと向き合ったときに、紅葉の赤というよりは、空と水辺の青さが印象的だなと評価をしたということです。

撮影者としては、紅葉の写真として撮っています。わざわざそのために行っているので。でも、あらためて鑑賞者の視点から見ると、いやこれは青さの写真だろうとまた違う解釈になるわけです。

それが、一人の個人の中でも起こるので、他の人が鑑賞者としてこの写真を見た時に感じることと、私という撮影者が意図したことはやっぱり乖離するだろうと思うのです。そこに、しかし、写真の意味が生まれうる。

コミュニケーションとしてのズレ。ズレの中に空間が生まれ、写真の多義的意味の居場所ができる。そして、むしろ鑑賞者がそうやって付与してくれた意味によって写真が生きてくるのだと、最近はそういうふうに考えています。

 

そしてもう少し考えてみると、鑑賞者にとって私の撮影意図とは異なったものとして写真が受容されるのは宿命だとも思いつつ、しかし、私としてはこう思うよというのも写真を通して示して、「あ、なるほどね」と思ってももらいたい。結果、そこで終わらずに、「なるほど、いや、しかしね」となっても構わないのが写真の面白さ(多義性)だと思うんですが、根っこの部分で議論をするベースとなる価値観を共有するということもあっていい。

いまでは、撮影者と鑑賞者の関係、のみならず鑑賞者と鑑賞者の関係というのもあり得るように思います。それをつなぐものとしてのコミュニケーション手段としての写真の役割。

共有すべきものを提示しつつ、多義性を受け入れるという写真への向き合い方。なかなか難しいですが両立させていきたい。それは普遍性と多様性の両立とも言い換えられ、他者とコミュニケートすることそのもののようにも思います。他者を自分と同権の者として尊重すること、しかしまた、あくまで自分とは違う者としても認めること…。

いやいや。うむ。またじっくり考えてみましょう。

 

よし。また頑張って、フォトコン、出そうと思います。

今回、千載一遇のチャンスを逃しましたが、前回の地元紙の奴も含めて、少しずつ少しずつ前に進んでいる気はする。まあ、何にせよ、少しずつです。

3ヶ月1サイクルで作品を作って提示していくというその繰り返しが楽しいし、ちょっとずつできることが増えていくので、サイクルをまわすことを大事にして、今後もやっていきたいと思います。

 

ではまた。

 

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