うーむ。
今日は良く晴れている。良く晴れているのだが、満月に近い月がすでに昇っているので、撮影はやめておきましょうか。月を撮るのもいいんですけどね。最近撮ってないな…月。
ただ、このところ、金星と木星が近く、明け方の南東の空で輝いているはずですから、明日の朝の撮影を目指して早く寝ます。といっても4時起きで十分間に合うかな。
23日が一番近くなるようですけどもね。
というわけで、サルベージです。
【目次】
長いので「人工流星」への意見については、「少し追記」以降を読めば主旨は伝わる気がします。お時間ある場合は、ぜひ全文お目通しいただけるとありがたいです。私がどういう写真を撮りたいのかから、話が繋がっています(多分)。
帯夜町―OBIYAMACHI
PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited 焦点距離15mm
ISO400 SS20秒 F5.6 アストロトレーサー使用
2018.10.21 高知県高知市にて
PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited 焦点距離15mm
ISO400 SS20秒 F5.6 アストロトレーサー、ソフトフィルター使用
2018.10.21 高知県高知市にて
PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited 焦点距離15mm
ISO400 SS40秒(約15分を比較明合成) F5.6
2018.10.21 高知県高知市にて
帯屋町の夜を組写真に仕上げてみました。
束の間に眠る街の上で、静かに星が目を覚ます。
帯屋町は高知市で(ということは高知県でも)最も中心部の繁華街なのですが、撮影は明け方の4時~6時にかけて。さすがに、この時間になると、街の明かりもかなり落ちて、明るい星ならいくつか見えてきます。
「暮らしの中の星」をテーマに星景写真をとっている私は、街中でも撮ってみたいと思い挑戦してみた作品になります。
「暮らしの中の星」
それはある意味でダブルミーニングでして、一方では、星景写真の中に人のくらしが見える、ということでもありますし、もう一方では、生活圏の中で星景写真を撮るということでもあります。
それは私の現状に規定された撮り方ではあります。
山に登る技術や体力もなければ、海外に行って写真を撮るだけの余裕もありません。なので、近くのことに目を向けてその中でテーマを拾い上げてくる、というスタイルしかとりようがない。とりようがないんですけれど、でも、それが実は大事でもある。というのは、写真を撮るというのは、何回か言っているように、まさに生き方の問題なんですよね。
どう生きるか。
フィルムの時代からデジタルに移り、実際問題、何枚でもどうとでも撮れるし、カメラがなくてもポケットにはカメラ付きスマートフォンが必ず入っているような時代に、何を撮ったかが、望むと望まざるとにかかわらず残っていき、それがどう生きたかをどうしても示してしまう。
だからこそ、暮らしに根差して撮るということが、大事になる。と私は思うわけです。
もちろん、そこから離れて、ある種の一瞬の絶景を追い求めるというのもひとつの生き方だろうと思うのですが、私はそういう選択をしていない(し、できない)。そういう意味で、この「暮らしの中」での撮り方というのは、やはり生き方なのです。
しかし、かつては、この暮らしの中に星がある状態というのは普通のことだったんだろうと思うんですが、今では、やはり、星を見るということはある意味で意識をしないとなかなか続けることができなくもなってきています。
それは、やはり街明かりが星を消すということでもありますし、電灯ができたことでそもそも夜もその光の中で生活をしている、ということでもあります。
だから、そこから(半歩)抜け出して、星を見るというのは、古くから伝えられてきた星を見上げるという文化を紡ぎ続けていくということになるんだろうと思うのです。
人工流星について
で、言及するか迷ったんですが、今、「人工流星」がにわかに話題になっています。民間ベンチャーが、人工衛星を打ち上げ、人工的に流星の元を宇宙から散布し狙ったとき、狙った場所に流星を流すという事業です。
私は、現時点で、この取り組みを支持できないというふうに考えています。
もちろん、一方では、流星のふるまいの研究という側面もあり、それは有意義ではあるだろうと思いますが、基本的には、スポンサーを募り、スポンサーの意向に従って、商業主義的に流星を流すというスキームになっていて、それが規制なくやられるならば、それは星空の汚染と呼べる状態になるだろうといわざるをえないからです。
上でも述べたことと関連しますが、今、星を見上げる文化を守るというのは、努力を要するものになっていると思うのです。星空は、無条件に、ずっと与えられるものではない。他の自然と同じように、人間の活動の影響を抑えながら、保全をしていくという視点が重要になっていて、その重要性は日毎に少しずつ増しているというのが現状なのではないでしょうか。
ですから、人工流星の取り組みは、少なくとも、その自然の星空に人々の目を向けさせて、星空を見上げる文化の涵養につながるものであってほしいと思うのです。
例えば、人工流星を流す日に合わせて、大規模なライトダウンキャンペーンを呼び掛けることで、星空の保全について多くの人に考えてもらうようにする、など、取り組み方は色々とあるのではないでしょうか。
あるいは、流星の和名というのもいろいろあるんですよね、走星、抜け星、星零れ、舞星、夜這い星…、星の糞という意味でホシクソなんていうのもあります。そういう風に、伝えられてきた流星への文化を思い起こさせるような取り組みも良いでしょう。星零れなんて、めちゃくちゃ素敵な名前じゃないですか。その文化に思いをはせる。
やりようはあるのです。
星空の価値を守ろうと日本各地で保全活動をし情報発信などの活動をしながら、星空を楽しんでいる人々が現にいるわけですから、そういった人々とも意思疎通をして、星空はいかに(誰のために)あるべきかというコンセンサスを積み重ねてほしいと思います。
そして、星空は誰のためにあるのか、その答えは、みんなのため、ということになるでしょう。星空はスポンサーのためのものではないのです。お金では買えないのです。
イミテーションの美しさというものもあるでしょう、しかしそれは本物には代えられないし、代わりにはならないのです。文化的事業にとって、それが意義あるものになるかどうかの試金石はやはり本物を大切にするかどうかだろう、とそう思うのです。
この人工流星の取り組みが、真に星空を見上げる文化の涵養につながる…少なくともそのことへの議論が起こることを願ってやみません。
※少し追記。
・スキームとしての問題点
その後、ロシア企業による星空に人工衛星広告を飛ばそうという計画も報道されました。これとの関連で考えることも大事かと思います。こちらの方は、大体、反対の論調で一致しています。景観に対して与える影響があまりに大きいからでしょう。
しかし、宇宙の商業利用は大局的に見れば今後拡大をしていく(今回のビジネスモデルが成功するならばなおのこと)。その時に、人工衛星広告のように大多数に反対されるようなサービスの実施を事前に食い止め、健全な星空環境を保全することができるかどうか、という点が重要です。
私は、人工流星と衛星広告には共通する問題点があると考えます。それは…
・商業主義的スキームで(スポンサーによるコマーシャルとして)行われるが、そのやり方について合意が形成されていない点。
衛星広告が人工流星よりも星空への負荷が大きいという程度の問題は当然ありますが、現状として、根本的なスキームに共通の問題を抱えているわけです。また、コマーシャル目的の商業主義的スキームという点から見ることで、飛行機や実用的な人工衛星・ISSなどの人工飛行物とはまた違った意味合いが含まれるということも伝わるのではないかと思います。
このスキームから生じる懸念に対して、実施方法への合意づくりがやはり大事だろうと思います。
誤解してもらいたくないのは、星空の商業利用を全面禁止せよといっているわけではない、ということです。やるならば適切な方法を考えるべきではないか、そこからなら合意がつくれるのではないか、と思うのです。
・望ましい合意とは
では、その合意はどういったものが望ましいのでしょうか。
星空をビジネスの舞台にする以上は、星空によって利益を得るわけですので、星空の価値が毀損されるなら、そのビジネスモデルも継続できなくなるという観点が、企業の立場から考えても重要なのではないでしょうか。
例えば、アウトドア関連のサービスを提供する企業が、環境負荷の大きい施設を建てるなど自然環境を破壊するなら、ひいては、それはアウトドア産業自体の継続性を脅かすダメージとなっていく、というのは想像できると思います。それと類似のことが起こりうるということです。企業マネジメントとしても、積極的に環境を保全することは、事業を継続するうえで大事な視点だといえないでしょうか?
ですので、人工流星も星空を見上げる文化の涵養に資するように実施すべきではないか、と思うのです。
・具体的に可能な配慮とは?
具体的に、星空が保全されないというのはどういう状況か。それはやはり自然の星空が十分に楽しめないということを指すことになるでしょう。
人工流星が、四六時中ずっと流れるわけではないですから、その点で、配慮は可能だと思います。逆に言えば、まったく配慮が必要ないとも思えません。やはり、人工物を星空の中に飛ばすということは、その影響の大小はあれど、星空の保全に関しては負荷となる。また、注目を集める事業であるからこそ、ぜひ、星空の保全へ前向きな対応を期待もしたいのです。
ですので、時間や場所など自主規制をかけることも必要ではないでしょうか。例えば主要な流星群の時期には実施しないとか、場所については、いくつかの自治体で制定されている星空条例に配慮するなどといったことも可能であるし、すべきではないかと思います。
そして、今回の人工流星をモデルケースに、合意形成をしておくというのは、今後、宇宙の商業利用について類似のサービスが出てきたときに、先例として星空を保全する上での大事な足場になるのではないでしょうか。
・結論として――自然の星空との共存を
まず星空を商業的に利用する以上は、星空の保全こそがそのサービスの足場になるという観点にも立って、適切な利用方法を考える。もし志があるならば、さらに踏み込んで、自然の星空をより多くの人が見れるように、光害防止などの活動にもコミットをしていく。
サービスを提供する企業側もともに星空を見上げる文化をつくるという立場に立って、社会的責任を自覚しながら、どうすれば適切に実施できるのかをいっしょに考えてもらいたいというのが補足意見です。
最後に一点、星空を保全する重要性という視点は、何も私が一人いっているわけではなく、環境省も取り組むような、多数の合意を得ている意見でもあります。人工流星という事業が、商業的にエンターテイメントとして楽しいという観点だけではなく(もちろん、科学として取り組むという側面もあるのでそれならばなおのこと)、多様な目線での意見をぜひ取り入れた計画策定をお願いしたいと思います。
そういう共通基盤の上に立てば、人工流星と自然の星空の共存、あるいは、相乗効果による保全の促進もできるのではないでしょうか。
まあ、ここまで言っといて、行動を起こさないのもむしろやばいので、上の環境省のリンクからいける夜空の明るさ調査に参加してみようと思います。
一眼デジカメがあればだれでも参加できます。多くの地点でデータが撮れることが重要だと思いますので、可能な方はぜひ。
詳しいやり方も上のリンクからたどれます。主要メーカーの機種ごとの設定方法もあってなかなか親切設計です。
主要メーカーにPENTAXが含まれててよかったぜ(笑)K-70でのマニュアルが出ています。
おあつらえ向きに2019年1月26日(土)~2月8日(金)が実施期間。
※撮影時間は、日没後1時間半経過後から3時間半までの2時間とのこと。
つまり、この時期の日没はおおむね17時30分なので、撮影時間は19時から21時ということのようです。なるほど。
いやどうせこの期間何回か撮るしね。ついでにやってみます。
と、サルベージと、星空を見上げる文化を紡ぎ続ける人々の端っこにいる一人としての意見表明でした。
そしてまた、こういった意見表明をすることも、生き方の問題であり、星の写真を撮らせてもらっている者の責任ではないかとの思いを込めて。まあ、勝手に撮ってるんですけどね(笑)
ではまた。
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