シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

星景サルベージその69 銀砂を撒く

うむ。

色々と、選外で帰ってきてしまっていまして、昨日、謎に濃いのを更新したばかりですが、サルベージの後がつかえているので、頑張って更新しておきます。

 

1年間目標にしてきた県展も残念な結果となって、二日連続で、選外通知を受け取ったら人間多少はへこむということがわかりました。

 

というわけで、まず、県展じゃないやつからサルベージ。です。

 

銀砂を撒く

f:id:shironagassu:20190827203749j:plain

PENTAX KP レンズ   HD DA☆11-18mm アストロズーム 焦点距離12mm

ISO6400 SS30秒 F2.8  アストロトレーサー使用

2019.4.6 高知県香美市にて

 

枝垂桜の上に、天の川の中心部の反対側・腕の部分がかかります。

夜が細やかな銀の砂を撒き、花を咲かせるようです。

 

ウェブに出すにあたって、Nik collectionのsharpenerをかけています。等倍で見るとノイジーになるのですが、全体のシャープ感が増すという。

電子デバイスで最終アウトプットとする場合が多い現代の写真は、それに応じた最終処理が必要ということも言えるかもしれません。

しかも、デバイスの特性ごとに写真の質が少しずつ変わる。なかなか、難しい。

たぶんPCで見る人もモニターによって、またスマホの機種によっても全然違うでしょうね。

しかし、それは、写真というものの価値が、鑑賞者の手元でも作られるという意味で、写真は撮影者だけがつくるのではなく、鑑賞者との相互作用でつくられ意味を持つのだということを傍証する現象として、歓迎すべきことかもしれません。

いや、選外になったのはプリントなんですけどね。

 

選外でしたが、写真としては、結構気に入ってはいます。

 

高い壁

いや、しかし。壁が高い。

とても大きな壁に突き当たっていますね。県展の落選も含めて、非常に深い谷に落ち込んでいるイメージが払しょくできません。スランプ。

少なくともひどく停滞している。

 

レンズは11-18mmになって描写性能としては、言い訳がきかないと思います。機材を理由にはできない。

 

どうすれば、先へ進むことができるかどうか。

暗中模索ですが、あまり、深刻にはならず、撮り続けるというのは、大事にしたいと思います。

その上で、どう撮るべきか。

今までを全否定するのではなく、歩いてきた道を確認しながら、しかし、アプローチを変えていくことを考えてみないといけないと思っています。

 

結論からのべると、思いつかないものを、思いつくまで、撮る、ということに尽きるだろうと考えるに至っています。思いつかないものを思いつくというのは矛盾なのですが、その矛盾に向き合うところにしか、先への道はみえないだろうと。

言い換えれば、今は、被写体への執念というか、こだわりが足りないともいえます。撮った一枚とは、また別の可能性を常に探る姿勢をとらないといけません。

 

写真機を写真を生み出すプログラムなのだとすれば、そのプログラムの可能性は、世界中の写真家の撮影をもってしても汲みつくせない。事実上、無限に近いアプローチの仕方がある。無限をすべて試すことはできないわけですが、すべて試す必要はないですよね。意味のある方向へ決定的な一歩を踏み出す写真を撮る。

アプローチは無数にあるのですが、同時に、そのアプローチの内で、先へ進む一手となるものが存在している。すべてのアプローチに同じ価値があるかのように考える素朴な相対主義を超克した価値観が必要です。無数のアプロ―チの中に価値のあるものがある。(ここら辺は、マルクス・ガブリエルらの哲学潮流である新しい実在論の立場から影響を受けているように思えます)

価値のある一枚というのは、もちろん、すぐに、おいそれとは思いつかないわけですが、それを思いつくように、その矛盾を自覚しながら、被写体にもう一歩こだわる姿勢を持たないといけないかもしれません。

常に矛盾の傍らに立ち続ける。

 

実際の撮影では、私は、構図を変えたりもするんですが、設定を変えたり、例えば三脚の高さを変えたりとか、本当はもっと多様な選択肢があるのに、試してないんですよね。なので、帰ってきて写真を見ると、ああ…もっとこうすれば良かったなというのが確かに心によぎるんですよね。

それをなるべくなくすように、現場でもう一手試してみる。チェスや将棋の名人が、勝負を決める妙手のような一枚が、写真にもあるだろうということです。そこにプログラムの自動化によって抑圧される自由を取り戻しうる、写真家としての可能性がある、と。フルッサー流に言えば。

もう一歩矛盾の中に踏みとどまって、被写体に近づき、こだわって撮ること。それを、また来年の県展に向けたこの一年のテーマとしたいと思います。

 

まあ、県展の落選のはこれじゃないんですけどね。

また、それは次のサルベージでも。

 

ああ、晴れれば新作を撮りたいなぁ…。

 

ではまた。

 
ブログランキングに参加しています。

クリックいただくと、…特に何もありませんけど、管理人が喜びます。

にほんブログ村 写真ブログ 星景写真へ
にほんブログ村


星景写真ランキング

 

J limitedツアーにシレっとゴールデングリップを交ぜてきた話

うん。そうなんだ。

曇天だからね。

また、今回も星の話ではないんだ…。私も星景ブログの管理者として責任は痛感している。

しかしながら、無情なる曇り。そして、明日からは雨。

 

ただ、つい今しがた、応募していたやつが、無事に選外で帰ってきて、サルベージできるので、次の更新は、星の話になります。大丈夫。

だから、また、しばし付き合ってほしい、このJ limited話に。

お前は、どれだけJ limited好きなんだといわれそうですが、何なんでしょうね。この魔力は…。人を惹きつけずにはおかない。

 

ということで、日曜日に、高松で開かれたJ limitedツアーに参加してきた話をしようじゃないか。意外なことに、高知からも何人かいらっしゃってました。

 

シレっと交ぜてきた

f:id:shironagassu:20190825223827j:plain

とりあえず、この写真から。というよりも、完全に出オチですが。

この写真で、私のこのツアーでの仕事は終わったといっても過言ではない。

そもそも、私が、カスタムグリップを作ろうと思ったのは、このJ limitedにつながる、KPカスタムプロトタイプが公式ファイスブックに載ったからでした。

そして、時をこえて今、邂逅。

 

シレっと交ぜてきました。

ゴールデングリップカスタム。我ながら、割かし存在感はあるな、と改めてみると。謎の物体ではあるが。

 

もちろん、J limitedについてのお話も、色々と聞いてきました。

開始時間に着いて、後から来る人への繰り返しの説明も、重ねて聞いて、最後までいたので、J limitedの説明がだいぶできるようになった気がします(笑)

f:id:shironagassu:20190825223852j:plain

デザイナーのTKO氏。総勢4人のメンバーで各地のツアーを回っているようです。

このツアー。本来なら、店舗に実機を展示して手に取ってみてもらってというのが良いわけですが、現物が何せ受注生産の手作りのため、例えば100機を展示用に確保して全国各地の量販店に置くなどということが難しいのだそうです。(そりゃそうだ)

今回ツアーに持ってきているものも、厳密には試作最終バージョンで製品版ではないらしい。ちなみに、TKO氏の手元にも、まだ発注したJ limitedは届いていないようです(笑)

 

なので、日本全国をツアーしながら、実際に実機に触れてもらおうという趣旨なのだと。

この前日は鳥取県の米子でツアー。米子終わりで、前日に高松入りしたとのこと。裏話的なことでは、香川で開かれる四国最大のフェス・モンスターバッシュとかぶってホテルが満杯だったようです。余談。

 

さて、J limited。

ボディカラーとトップカバー、グリップ、マウント面、ハードとしてはこの4つに非常に大きな特徴があります。

そして、ソフト面では、写真家の吉村和敏氏監修の風景撮影モード「PH-mode Yoshimura」が登録されています。

f:id:shironagassu:20190825223902j:plain

まずは、ボディカラーは2色ですよね。(真ん中に、参加者さんのもってきたMXを挟んで。AOCoつながり。)

 

先日、大阪に行った時の記事でも書きましたが、ブラック&ゴールドは、全体的にデザインのまとまりが良い感じに思います。実際に、赤いグリップを中心に、それが引き立つように全体のデザインを調和させているようです。そのために、上部ダイヤルに刻まれている文字の色も、ノーマルのブラックKPは普通の白らしいのですが、B&Gについては薄いグレーなのだそうです。気づかない~。こだわりが細かい。ゴールドは、抑えめのゴールドですね。(どっかのゴールデングリップとは違って(笑))

 

そして、ダークナイトネイビーの方は、マジョーラカラーを採用して、光の当たり具合により、深い紺から明るい青まで見え方が変化する塗装が特徴。こちらが少し人気があるようですが、それほど大差というわけでもないそうです。

B&Gか、ネイビーか決めかねて2つとも買うという猛者が、割と何人も出ているらしい。魔性。

 

いや、確かにモノが良いんですよね。デザインも特徴的ですけど、塗装なども職人芸的な細やかさがあって、モノ作りとして良いものを作っているという印象。

 

トップカバーは着脱式なんですが、アクセサリーシューへの特製アルミニウムシューカバーで固定するようになっています。このアルミニウムの削りだしシューカバーが地味に原価高いらしい…。なるほど。

 

そしてグリップ。

f:id:shironagassu:20190825223933j:plain

グリップのお話は、やはりこのスミブラックがすごい。

これは、創業200年の墨の老舗・奈良の墨運堂の最高級墨をつかっている…。そして、この深みのある黒い輝きを出すには、この最高級の天然膠が使われた墨でないといけないらしい。なんだ、そのこだわりは…。(TKO氏の写っている写真の右側に実物の墨が置かれています)

そして、それを、墨汁にして高知のミロクテクノウッドの塗装技術で9層の塗装を施している。これは、高級車〇〇〇〇(完全伏字)のハンドルにも実際に使われている、と。

なかなか写真で伝わらないので、実物を見てもらいたいですね、これは。

しかし、あえて、言葉で伝えるとすると、和の黒というか、ある参加者の方は黒真珠のようなと形容されていましたが、なるほど、有機的な深みのある黒さです。

うむ。伝わらない。少しでも伝われ。

 

そして、私が、今回、一番驚いたのは、シチズンダイヤモンドライクカーボン=DLCコーティングが施されたマウント面。

私は、これは、摩擦強度を増すという意味で、実用面からコーティングしたんだと思っていたんですが、実は、渋い鈍色の光沢を出すために、採用されたのだという。つまり、実用に足る塗装面の強さとともに、何より美しく均質な光沢の出るコーティングが欲しかったのだ、と。

ええ。そこ!?レンズ付けたら見えなくなる…まさに見えないオシャレすぎる。

正確にいうと、レンズ付けても確かに少しだけ隙間から見えるそうです。いや、まあ、それはそうだけど。

「こだわり」というものに形を与えたらこうなりました、というのがJ limitedですね。

 

f:id:shironagassu:20190825231304j:plain

そして、これが、すべての始まりとなった、TKO氏が2018年の正月休み(?)に自作したという、初号機プロトタイプFacebookにあがったグリップは赤いものでしたが、木製のものに換装されています。

おお、こいつか…。

思えば、本当に、ここからユーザーの後押しもあり、各企業の協力もあり、1年半余りの道のりを経て、形に。

お話を聞いていると、ミロクやシチズンなど各社も、このカスタムカメラづくりに、担当者や職人の皆さんが、面白さを感じながら賛同してくれているように感じました。面白さというのは人を動かしますね。

ユーザーの後押しで言えば、あのFacebook掲載後、私以外にも、幾人かが触発されてKPのグリップを作るプチ・カスタムブームが来たんですが、そういうのも社内でGOが出るのに後押しになったそうです。なんとまあありがたい。

 

吉村和敏氏監修の風景撮影モード「PH-mode Yoshimura」について、試作機でファームが載っていなくて、実際にみれていないのですが、露出ブラケットなども入れながら、いつもとは少しだけ違う絵作りを大事に、設定されているということでした。

 

ということで、J limited、ご興味のある方はぜひ。

※特にブロガー的な紹介依頼とか、マーケティング依頼とかは、残念ながら全く受けていません(笑)完全に、自発的な回し者です。むしろガチのあれ。どんだけ好きなんだっていうね。

ricohimagingstore.com

そうそう。

大事なのは、一応、ノーマルKPが販売継続している間は、受注を受けるという見通しでやっているそうです。

そして、やはりパーツだけの販売は、生産がハンドメイドのため、供給が追いつきそうになく、かなり困難だそうです。納得。

あああ。欲しいか欲しくないかで言えば、ここまで取り上げているので、めちゃくちゃ欲しいんですが。

いや、APS-Cの新型も鋭意開発中らしいので。

いやー、KP二台もなかなかいいと思うんですが…、まあ、落ち着こう。

リコイメのフォトコンのグランプリが…50万円か…。良し!行ける!(行けない)

 

買ってもないカメラをここまで推すブログも他にないと思う。何なんだこのよくわからないブログは。

 

f:id:shironagassu:20190825224002j:plain

f:id:shironagassu:20190825224012j:plain

トートバックやキャップも展示販売されていました。

 

ツアーも残すところあと2公演(?)。8/31(土)石川の金沢と9/7(土)長野の松本ですね。ご興味のある方は足を運んでみてください。最初から最後までいなくても全然大丈夫だと思います。ふらりと寄ってみてはどうかと。記念になる特製のJ limitedカードももらえますよ。

ただ、TKO氏とのハイタッチはする覚悟で行ってください(笑)

news.ricoh-imaging.co.jp

 

あとは。旅と言えば、食事。

時間のない中でも、香川にいったらうどんを食べねばということで、うどん。

一番近いお店に飛び込みましたが、さすがにおいしかったです。

f:id:shironagassu:20190825224027j:plain

 

こちらは、ツアー終わりに、ツイッターで相互フォローしている方とご一緒して、おごってもらったかき氷。ゴチになりました。おいしかったです。

まあ、男二人で、かわいらしいかき氷を食べるのも乙なものです(笑)

f:id:shironagassu:20190825224033j:plain

いやー。というわけで、行ってきたJ limitedツアー。

大変面白かったです。

J limitedの説明かなりできるようになったので、だいたい聞かれたら、答えらえると思います…!

 

次回は、星のサルベージです。多分。

本当は新作を撮らねばならないのだが…いやはや。秋雨か。例年9月が一番撮影回数少ないんですよね。実は。今年は8月の末からすでにやばい。想定外。

 

ではまた。