シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

星景サルベージその53 深まりゆく秋の夜に

さて。

とうとう11月も終わろうとしています。

今年も最終コーナー入ってきましたね。

しかし、今年はまだ条件のよいふたご座流星群が待っている。撮らねば。

 

あー。そして、カノープスも撮らねば。

昨年のこの時期には、カノープス撮ってますね。

shironagassu.hatenablog.com

 

カノープスこの時期しか見れない風物詩ではある。

手元の「日本の星名事典」では、北限の星名伝承は、茨城県多賀郡平潟町に伝わる「メラボシ」とのこと。地図を見るに、海に突き出ている岬の町ですね。確かに南は海でさえぎるものがなく、カノープスがよく見えそうだ。

実は昨年の記事で、カノープスが見える=嵐が起こる伝承が多いので、なぜか考察してたんですが、この日本の星名事典では理由も書いてくれていますね。南の風が強いので雲が吹き飛ばされてカノープスが見えるとのこと。メラボシというのの、メラというのも、(風が強くて漁を)「休む」という意味を含んでいるようです。

「船は休みだ。これはだめだな、メラになっちゃうな」と由来を説明してくれたようですね。なるほど。

南風が強く吹いているから、雲がなくなるわけか。ふーむ。なるほどね。

今度カノープスが見える良く晴れた日の風向きを気にしてみよう。南から吹いてきてるのだろうか。

 

ただ、高知からは、時間さえ合わせば割と狙いやすい星なので、どこでどう撮るか。

…うーん。プランを練っておこう。

 

とりあえず、そのカノープスと、明け方に移った金星と、メタセコイアと星を撮るというのと3プラン抱えています。と、ふたご座流星群の場所選定とね。並行して準備せねば。

 

今回のサルベージは、11月追い続けた紅葉と星を。

しかし。納得のいくものが撮れたかというとなかなか難しかった…。また来年に持ち越しですね。どこで撮るのが良いかロケハンから1年かけて練り直しですが、それでも、まあ、今回撮れたものの中から比較的いきのいい奴を。

 

深まりゆく秋の夜に

f:id:shironagassu:20181129230917j:plain

PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited  焦点距離15mm

ISO2500 SS20秒 F4.0 アストロトレーサー使用

2018.11.20 高知県本山町にて

 

f:id:shironagassu:20181129231451j:plain

PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited  焦点距離15mm

ISO1600 SS30秒 F4.0 アストロトレーサー使用

2018.11.20 高知県本山町にて

 

この2枚は、月を背後に北向きに。月明りが強いので星がすくないですが、ポツンと見えるのは北極星ポラリス)ですね。必ずしも満天の星空である必要はない…かもしれない。

もう4~5日早ければ、紅葉がベストだったように思いますが、月が前景を照らす月齢まで太くなるにはタイミングがあわなかった。あと自分の用事の関係も。

でも、散り残ったモミジが待ってくれていたようで、悪くはない。

 

f:id:shironagassu:20181129231225j:plain

PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited  焦点距離15mm

ISO3200 SS40秒 F4.0 アストロトレーサー使用

2018.11.18 高知県仁淀川町にて

 

こちらはもう少し月が細め。わずかに月光が差して、山肌の色づく秋の彩(いろどり)を淡く浮かび上がらせます。

うーん。これくらいの暗いトーンも嫌いではないが、レンズもF4と暗いので、なかなか難しい。一番明るい50mmF1.4を持っていって、中望遠星景というのも面白かったかもしれない。来年の課題だ。

 

f:id:shironagassu:20181129231309j:plain

PENTAX KP レンズ HD DA 15mm Limited  焦点距離15mm

ISO4000 SS40秒 F4.0 アストロトレーサー使用

2018.11.14 高知県仁淀川町にて

 

上と同じ仁淀川町ではあるが、違う渓谷。こちらは月がない。一つ見える明るい星はデネブ(はくちょう座)ですね。

前景はライティングではなく、街灯が照らしていたのを採用。

ナトリウムランプ(オレンジ色)だったので、少し補正してます。

紅葉はちょうど時期だったような気もするし、少し早かったのかもしれない。ただ、真っ暗でほぼ見えませんでした。

 

今年は北と西にむかったので、来年は東を目指そうかな。ロケハンしておかねば。

私の星景ノートも東の情報が弱い…課題だ。

 

というわけでサルベージでした。ではまた!

 

 

ブログランキングに参加しています。

クリックいただくと、…特に何もありませんけど、管理人が喜びます。

にほんブログ村 写真ブログ 星景写真へ
にほんブログ村


星景写真ランキング

【書評】太陽系外惑星に生命を探せ

先日、オーテピアに入っている高知みらい科学館にて、理論物理学者の観山正見さん(元国立天文台台長)を招いて「宇宙に生命をさがす」と題したサイエンスカフェが開かれました。

 

このエントリーの表題の本は、観山さんが、2002年に書いたもので、その時点での宇宙生命探査の展望を示した一冊。2002年から2018年、16年の月日の中で、この分野にどういう可能性が生まれてきているのか。サイエンスカフェでは、その部分のお話も聞くことができました。

 

 

本について

世界初の太陽系外惑星の発見は、スイスのチームにより1995年に発表された。ペガスス座51番星」、公転周期は4.23日という恒星の近傍をグルグルとまわっている巨大ガス惑星(ホットジュピター)が、最初に見つかった太陽系外惑星である。その恒星ー惑星間の距離は地球と太陽の距離の20分の1という近さだった。

この星の驚きは、それまで太陽系をもとに理論構築されてきた惑星の形成理論モデルから随分と予想外の星だったということである。

太陽系では、ご存知のように、内側には地球型の岩石型惑星が4つ並び、中間地点に巨大なガス惑星(木星土星)がある。このモデルから外れた「ペガスス座51番星」の系外惑星は最初にして、非常に規格外だったことがわかる。

 

しかし、中心の恒星にこれほど近く、かつ巨大ガス惑星となると生命の存在する可能性は低い。

生命探査には、地球型の、しかもハビタブルゾーン(水が液体として存在できる範囲)にある惑星を探す必要がある。

この本では、未来のこととして紹介されているアルマ望遠鏡についても、現在は、本格稼働しており先日も、巨大星誕生の現場で糖類分子を観測するなど、その威力をいかんなく発揮している。

alma-telescope.jp

記事にあるように惑星の誕生する場所に、糖類が見つかるということは、生命の起源の理解をすすめる成果といえる、かもしれない。

 

サイエンスカフェについて

この本を予習してからいったサイエンスカフェも、なかなか、刺激的な話でした。

現在は、系外惑星の発見が続き、3000近い系外惑星システムが見つかっているとのこと。その中には、地球型の惑星もいくつも見つかっていることも示されました。

観山さんの予想するところによれば、これから10年~25年ほどのスパンで系外惑星での生命探査で何らかの成果が見られるのではないかとのこと。

 

何を探すことで、生命の可能性を調べるのか。

系外惑星を直接観測することで、その大気の組成を調べるということがひとつ。

とくに、地球のようにオゾンが存在することがわかれば、オゾン(とそのもとになる酸素)を作る存在、つまり植物が存在している可能性がかなり高いといえること。

また、光合成をする植物が地面を覆っている場合、赤外線を反射するレッドエッジを観測するという手段もある。

大気組成にメタンがおおければ、それは、動物の存在も示唆する可能性がある。

 

あるいは、知的生命体が使用する人工的な電波が観測されるという可能性もある。

特に、南アフリカ共和国とオーストラリアを候補地として建設が予定されているSKA(スクエア・キロメートル・アレイ)が稼働し始めれば、4~5年で全天の探査が可能になり、2040年ごろには、その可能性がはっきりするかもしれないとのこと。

 

その他にも、太陽系内の生命探査や、お隣の恒星であるアルファ・ケンタウリに直接探査機をおくりこむスターショット計画などもあり、この分野の発展が語られました。

 

www.skatelescope.org

 

そういう意味で、もし地球外生命が発見されるならば、その時期は近い、という非常に面白い時代を迎えていることが示されました。

それとも、この宇宙で、われわれ地球の生命は孤独な存在なのか。

少なくともあと10年のスパンで何かしらの答えがみえてくるでしょう。

この分野のニュースを楽しみに待ちたいと思います。

 

ブログランキングに参加しています。

クリックいただくと、…特に何もありませんけど、管理人が喜びます。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


書評・レビューランキング