シロナガス/星景と科学本のブログ

受信者としてのサイエンスブログ。星景写真、スタータイムラプスと、ポピュラーサイエンス/サイエンスノンフィクション(一般向け科学書)の書評。

星撮影用としてのHD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited

さて。

とりあえず、私の星撮影に使用しているレンズ(持っているほとんどのレンズを、何らかの形で星景撮影に使用してはいるのですが)について、星撮影用としてのレビューをしたためるコーナー。

第二回は、HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR(通称リミズーム)です。

www.ricoh-imaging.co.jp

 

前回の10-17mmについてはこちら。

shironagassu.hatenablog.com

 

星撮影用としてのリミズーム

というわけで。このリミズーム。

PENTAXでいうと、スターレンズ(☆)が、収差を可能な限り補正した高性能レンズでヒエラルキー的には最高峰ということになるんですが、それとは別のラインで、「味」にこだわりつつ独自のハイクオリティ路線を貫くユニークなレンズ群にLimitedという名称が与えられています。

ちなみに私はまだスターレンズを持っていません。値段的なものもさることながら、Limitedのコンパクト&ハイクオリティな方向性の方に謎のシンパシーを覚えてしまう体質なのは否めません…。(でもLimitedもいっぱい持っているわけではない。結局、安いわけじゃないので(笑))

そのLimitedレンズの中でも唯一のズームレンズであるこのリミズーム。当初購入するときに、星撮影と合わせて、日常ユースでも使える標準域のものが欲しいという動機から、対立候補を押しのけて、最終的にこれが選ばれたわけですが…。果たして良かったのか…?

さて、星景撮影用としてはどうなのか…。分かるところをピックアップしてみましょう。

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長所

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①サジタル方向にコマ収差が多少あるものの、悪くない写り

収差の補正ということでは、Limitedレンズは収差を完全に補正するという考え方でつくられていません。なので、「味」として収差が意図的に残っています。

周辺部のコマ収差(サジタル方向ぽい)も多少あるのですが、広角側を20mm(換算30mm)とほどほどに抑えているからか、それほど目立つものではないのが幸いです。

 

色収差の少なさ

逆に、色収差は良く補正されていて、開放から、フリンジが目立つようなことはありません。ここは明確にプラス。

 

③逆光耐性

星景写真では、前景に街灯などが入る場面があるのですが、このレンズは、コーティングのおかげか、逆光でのゴーストやフレアはほぼ出ず、実用上問題になることはありません。

 

④換算30㎜の70度の画角

この画角は、ある意味絶妙な画角ではあり、広すぎず、なにか一つの星座と前景を写すのに「ちょうどいい」ということは言えるかと思います。

その季節の星座にフォーカスして、星景写真を撮る場合には、構図の整理もできて良いかと思います。一方で、少し画角が足りないなと思う場面もあろうとは思います。

 

⑤フィルターワーク

フィルター径55㎜は大きすぎないため、フィルターをそろえるにしても比較的安価で済むというのは幸いです(径の大きなフィルターは値段が高い)。特にソフトフィルターは星景には必須のため助かります。

 

⑥広角側F2.8の明るさ

F2.8は星景撮影にとっては一つの基準になる明るさだと思うのですが、これをクリアしているので使いやすく、開放でも画質的に良好なので、開放を積極的に使っていけます。

 

⑦40mmテレ端で月に好適

月と景色を写すときに40mm(換算60mm)の中望遠の焦点距離がちょうど良い感じになります。ここはしかし、あえてこのレンズしかもっていかなかった場合の利点になります。例えば手持ちの中でも、DA35mmや、SMC50mm(オールドレンズ)、タムロン90mmなど単焦点でより月に向くレンズもあります。

逆にこの20mm(換算30mm)より広角になっていくと、月が小さくなりすぎて、月らしい写真を撮るのは難しいでしょう。20mmが対月用としては、ひとつの限界かなと思います。

 

⑧軽さ

283gの軽さは、とりあえずバッグに入れておくかという意味で、持ち運びやすい重さです。ズームであることも含めて、迷ったら持っていくという運用が出来るのは強みです。

 

短所

長所の裏返しになる部分は多いです。

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①画角が物足りない

星景を撮るには、少し画角が狭い。長所と矛盾しますが。ちょうどいいのか、狭いのか、何をどう撮るつもりなのかで評価が変わってくるといえるでしょう。

例えば、横たわる天の川をドーンと撮りたいとかそういう場面ではこの画角ではものたりません。どうしても窮屈になってしまいます。

 

②フィルター径

55mmは、実はタムキュー(タムロン90mm)と同じなのですが、それ以外に、適合するものがほとんどありません。なので、使い回ししづらいという点はマイナス。

 

③コマ収差

これが問題になる場面が、特に一つどうしてもあって、それは金星を撮る時。月と金星を同時に撮る時などもこれに含みます。

金星が非常に明るいからか、周辺部に置いた時、コマ収差が目立ってしまいます。

特に月と金星の時はあえてソフトフィルターを使わないことも多く(月がソフトにボケてしまうので…ここは好き好きですけども)、それによってコマ収差がよりダイレクトに出てきてしまいます。

 

④コストパフォーマンス

広角側開放はF2.8なのですが、通しではなく望遠側開放はF4と可変F値の割には、割高のコストです。最近だいぶ下がってはきましたが…。カタログスペックから行けば、コストパフォーマンスは良くないといえると思います。

 

総評とギャラリー

星景撮影用として、ベストのレンズかといわれると、そうではないだろうとも思いますが、これはこれで、意外に使えて面白い。使いこなし甲斐のあるレンズ。これしか持ってなかったということも含めてですが、フィッシュアイズームと同じくらい、このレンズを使って星を撮ってきました。

はまった時の描写は、なかなか、見せるものがあります。特に何かの星座ひとつと前景を合わせて構図を絞ると、余計なものが入らないすっきりした印象にしやすいと思います。

逆に、星座同士の関係性や、春夏冬の大三角春の大曲線など大きなアステリズム(星の並び)を撮るには狭い。冬のダイヤモンドなんていうのは全然入りきらないので、モザイク合成でもしないと無理です。対天の川も使いようですが、向いてはいないと思います。

 

アストロトレーサー使用時には、露光時間を、大体20~40秒で抑えれば、前景のブレがそれほど目立つことはないと思います。

値段がひとつのネックですが、コストを考えなければパフォーマンス自体は高いレンズです。

Limitedレンズ全般に言えることなのかもしれませんが、ある種の制約の中で、はまる条件を整えて撮ると非常に面白いレンズです。

日常ユースだと、かなり寄れるので、寄った時の描写が繊細で良いですね。

 

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