シロナガス/星景と科学本のブログ

受信者としてのサイエンスブログ。星景写真、スタータイムラプスと、ポピュラーサイエンス/サイエンスノンフィクション(一般向け科学書)の書評。

野生動物写真の魅力

表紙のかわいらしいイイズナ(これは本文を読んで知ったのだが)の写真にひかれて読んでみた野生動物撮影ガイドブック

ガイドブックと銘打たれているが、中身は超実践的。

むしろ、著者の撮影紀行としての側面も面白い一冊。

 

 

◆星空撮影の参考にならないかなと

私自身が野生動物を撮影するかどうかというとあんまりしないし、できないと思うんですけども。この本を読んで非常に魅力は感じました。

動物園行ったときくらいですけどね。私が動物撮るの。

 

動物+星空なんて撮れたら面白いなという思いもあり、参考になることはないかなというのも読んでみた動機のひとつ。

 

結果的に、活かせるかどうかはわからないんですが、月とコウモリと花という写真もあったりして、そういう撮り方もあるのかと。

明け方写真を撮っているとたしかにコウモリ飛んでいますよね。

超高速で飛ぶので、スローシャッターが基本の星空写真では、なにか黒いスジのようなものが画面を横切ったような写真になるのですが…。

 

そして、星の写真と同じで、野生動物写真も、デジタルカメラの進歩が写真表現を変えてきているようです。

特に高感度域(高ISO)のノイズ低減は恩恵があるよう。

ここらへんは、星空の写真も同じなんですよね、もちろん、私が何かそれを体験しているわけじゃないんですけど(笑)伝え聞くところによると。

 

この本の主旨と沿うかわからないんですけど、イメージセンサーの小さなカメラ(ミラーレス一眼など)で望遠を使うと、焦点距離が長くなるというのを利用して、望遠で動物の写真を撮ってみるというのはいいかもしれない。

でも望遠側のレンズって、星の撮影に使わないので買ってないんですよね…。

 

まあ、機材のことはともかく、そして、撮影技術のレベルもともかくとして、イデアで面白い写真を撮ろうという基本姿勢については大いに参考にさせていただきたいと思います。

 

◆野生動物を撮るむずかしさと魅力

著者は、アジアやアフリカ、そして日本各地を含め野生動物を撮影しつくすプロのようで、その解説はかなり実践的。

実践的すぎて、私の参考になる範囲を軽々と超えていく。

 

ただ、その撮影記は何とも魅力的。

著者の、「動物目線の高さで撮る」というスタイルが何とも迫力ある写真を生み出している。

例えば、コモドオオトカゲの鼻先に広角レンズを差し出して撮影した写真。長い舌を出すコモドオオトカゲ(毒持ち)がのしのし近づいてくる…。

距離20mでとらえたネパールでのインドサイの写真。アイレベルが同じでサイの生活感が伝わる。サイもかじられると車のドアに穴が開くレベルで危険らしいが、移動用の象の鼻先に隠れつつサイが近づいて来たら象に追い払ってもらうという作戦で臨んだとのこと。うーむ命がけ。

 

この本の中に地獄の一丁目という表現が何か所か出てきて、野生動物を撮るというのはその環境下に行くということでもあり、その大変さはすさまじい。

恐れ入る。

大変だから、苦労したから写真が素晴らしいということではないのだろうけども、結果として出てきている写真は、大変素晴らしいものばかりで、野生動物写真集としても非常に魅力的でした。

 

もちろん、動物のかわいらしい写真も載っていて、身近な犬や猫の写真。また、日本にも多く住むリスやニホンザル、シカの写真などホッとする自然の写真もある。

私が一番かわいいとおもったのは、指の先に乗るサイズのカメレオン・ミニマの写真。いや、これ、やばいな。超かわいい。

ぜひ、本書で見てほしい。

 

そして、自然写真家として、枝などが邪魔になっても切ったりしない(クリップで止めるようですね)、動物に無用の負荷をかけないというナチュラリストとしての著者の思いをつづられていて、大変共感しました。

私も山に星を撮影しに行くときは気を付けよう(そんなに、山の奥まで撮りに行く予定はない)。

 

野生動物を撮る予定のない人も、読み物として面白いのではないかとおすすめです。