シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

【書評】宇宙の謎に挑むブレーンワールド

  超ひも理論調弦理論)の予測する宇宙モデル=ブレーンワールド仮説の手頃な入門書となっている本書。

もう6~7年前になるか、ひも理論について読みたいと思い一番最初に読んだのが、

たしか…

 

 だったように思う。

実のところ、超ひも理論自体がさっぱりわからない中でまず、批判的に入りたいと思い、ずばりそのものの解説本というよりも、懐疑的な方向から入ってみたという記憶がある。

 

 

その後、

 

 ここらへんを読んでみたりしたわけですが。

 

閑話休題

というわけで、今回、ちょっと久しぶりにひも理論関係の本を読んだ気がします。

今回の「宇宙の謎に挑むブレーンワールド」は、結果からいうと大変読みやすいお勧めの本でした。

 

何がいいって、数式が少し出てくる。というのがいい。

「数式を使わずに文系にもわかる」というようなうたい文句が結構ありがちだけど、今回は、本当に軽く、数式を出してきてるところに、逆にわかりやすさがある。

数式が何を表しているかを併記することで、これ以上行くとわからん!やばい、というラインのギリギリ手前で、待っていてくれるというか。

私自身、高校数学からしてすでにだめなのだが、ギリギリのラインですすむこの本の姿勢には非常に楽しませてもらいました。

そして、ちょっとわかった気にさせてもらえる。

 

世界とは何か、その最新モデルを知る、というのは、なんとも愉快な瞬間で、この意味でひも理論の本は、楽しい。

 

ひも理論をあつかった本は往々にして、難解なのだが、この本は、数式を使った部分(ほんのちょっとだけど)も、数式を使ってない部分(まあ、これが大半なのだが)も含めて、シンプルにわかるギリギリのラインをうまく進んでくれて秀逸

 

ひとつ例をあげると、「五次元の重力理論は、四次元の物質の量子場に等しい」というマルダセナ予想についての記述も面白い。

ブレーンワールド仮説の中で、閉じたひもは重力を、開いたひも(その端がいわゆるブレーン=膜にくっついている)は物質を表している。

膜に円筒状のものがくっついているときに、その円筒は閉じたひも(輪ゴムみたいな形の)が、放出されているととらえれば、重力の伝わり方を記述することになる。

同じ円筒を、あるいは、膜につながったひらいたひもが、円状にループを描いているとみるとこれは物質の理論を表すことになる。

膜にくっついた円筒は、どちらのとらえ方もできるので、マルダセナ予想が成り立つことが推察されるということのようだ。

 

ぜひ、本自体をよんでみてもらいたい。

この本が2009年のもののようなので、それから6年。この分野も、もう少し進展しているのかもしれませんね。