ダーウィニズムを受け継いだもっとも有名な生物学者による、進化論の証拠を提示。
欧米で影響のある創造説に対しての反論にもなっている。
日本だと、いわゆるキリスト教的な創造神話はあまり影響がないだろうけども。
本質的ウサギ(完全なウサギとしてのイデア)というものがいるという幻想。
なるほど。進化の過程では、ウサギは世代ごとに少しずつ移り変わって今の姿があるわけで、世代ごとの差は認識できないほど小さいはず。
そういう意味で本質的ウサギというものはあり得ない。
ウサギとヒョウをつなぐ中間種=ヘアピン動物。ウサギはヒョウに進化しないが、その共通祖先はいる。時間を逆にたどり共通祖先で折り返せば、世代間ではけして、急激な変化を感じることなく、いつの間にか、ウサギがヒョウにかわる。
◆遺伝子プール。遺伝子は混ざり合わず、カードをシャッフルするように組み合わせられる。
イヌ・ウシ・キャベツ。人工的な進化の例。人為淘汰。
自然淘汰。選抜者がいなくても、生き残るすぐれた装備を持つことで、個体が選ばれていく。その遺伝子プールは生き残るためのすぐれた遺伝子で満たされる。
◆大腸菌の4万5000世代の実験。レンスキー。
グルコースとクエン酸を与える。12の系統すべてで、グルコースをよく利用できるように進化。3万3万世代前後で、1系統だけ、クエン酸を利用できる系統の出現。複数の突然変異が重なった結果として。希少な突然変異の積み重ね。
2万世代あたりで、突然変異Aを獲得していた。進化的変化を生み出す。
◆ミッシング・リンク。存在の大いなる連鎖という有害な遺産。
神→大天使→天使→人間、動物、植物、無生物というヒエラルキーの元での考え方。段がかけた梯子のイメージ。
サルとミミズ、どちらが「高等」か?ランク付けに意味はない。同じ時間をかけて、進化してきた。
◆DNAは青写真(設計図)ではない。
ボトムアップ式、ローカル・ルール。
「大局的にではなく、局地的に、何度でも繰り返し従わなければならないルールの副産物として現れる」
個体発生の折り紙のアナロジー。折り方のルールに従ってつくられる。
一致するDNAの「文字」(塩基数)の割合。
2本鎖のDNAは85℃で分離する、DNAハイブリダイゼーション。どのDNAでも結合するが、一℃さがれば、1%一致が低下すると考えられる。DNA比較のもっとも初歩的な方法。
◆生物にしるされた進化の歴史。
鳥肌。寒いときに、毛を立たせることで、断熱効果を増す。毛がなくなっても残っている。
眼。眼の光電セルは後ろ向きについている。盲点もある。脳の洗練された画像ソフトで補っている。最初の大きなインストールミスを、進化がカバーしてきた証拠。
知的でない設計。反回神経。脳から心臓付近の動脈を回って、喉頭に至る神経。魚類では迷走神経は、6つの鰓のうち、うしろの三つにつながる分枝をもち、えら動脈の背後を通過する。その名残が哺乳類にも見える。キリンでは4.5mにも達する。
輸精管。腎臓から膀胱への尿管を迂回するルートを通る。精巣が元あった体の内部から降りてきた名残。
コアラの育児嚢は後ろ向き。ウォンバットに似た祖先から進化。土を掘るために後ろ向きについていた名残。
◆軍拡競争。
樹木。ライバルより高くなり光を浴びるために幹を伸ばす。
伸ばすコストとそれによるメリットのせめぎあいで高さが決まる。
捕食者と被食者の関係。足が速くなるように進化してきた。
「無用な競争」。自然淘汰は個体の遺伝子の生き残りと繁殖しか気にしない。全体利益は考えない。
以上、備忘録。