シロナガス/星景写真と科学本のブログ

「暮らしの中の星空」=星景写真+サイエンスノンフィクション書評。PENTAX使い。

【書評】宇宙に命はあるのか 人類が旅した 一千億分の八

宇宙に生命を探すことは、人類のはてなき夢である。

この夢を現実にするために人類が歩んできた宇宙探査の歴史を、著者独自の視点で振り返り、未来を展望する。

この本は、NASAJPL(ジェット推進研究所)で、火星ローバーの開発に携わるという、宇宙探査の最前線にいる著者だからこそ書ける、意義ある一冊といえるだろう。

 

夢から現実へ

本書では、ジューヌ・ベルヌのSF小説月世界旅行から、物語を始める。直訳すれば「地球から月へ」と題されたその小説は1865年に出版をされた。

彼の空想が、現実になり、人類が宇宙へと飛び立つには、それから100年を待たねばならない。

 

世代を超えて、夢を現実にしていく力を著者は、イマジネーションに求める。宇宙というまだ見ぬ世界を、地球外生命というまだ見ぬ隣人を、想像する力。その力が、世代を超えて人類の夢を紡いでいくと、(そのイマジネーションにとらわれた一人の当事者として)著者は語る。その声には、熱がこもっている。

 

宇宙探査の最前線

ロケットによる最初の人工衛星の打ち上げから、人類による月への一歩を経て、太陽系の惑星へと探査機を送り込み、少しずつ人類は世界を広げてきた。

そして、いま、人類は、地球外に生命を探す時代に、突入をしている。地球外生命が見つかるのは、もしかすると、もう目の前にせまっているかもしれない、そんな時代を生きているのだと著者はいう。

現役の宇宙開発に携わる技術者として宇宙開拓史を見るその視点は、非常にユニークだ。「無名」の技術者や科学者にも光を当てながら(おそらく自らも重ねながら)、宇宙への扉が開かれていく様を生き生きと描き出していく。

著者が語る、宇宙探査の最前線のその先、もう少し未来の構想(例えば「銀河インターネット」など)も、著者ならではの提案で興味深い。

 

平和と人類

そして、この宇宙開発史において、読者が目をそらしてはいけない事実がある。それは、初期のロケット開発が、軍事ミサイル開発と分かちがたく結びついてしまっていたという負の歴史だ。

著者も、その初期のロケット開発史を「悪魔との契約」と表現しているが、ある意味で事実を淡々と描写するにとどめている。そこに、どんなメッセージを見るべきか、それは読者にゆだねられてもいる。

 

宇宙探査がもし知的生命体との接触まで進むとすれば、それは実のところ、人類の平和的な持続可能性の上にしか成り立たないだろう。

この宇宙の無数ともいえる星々に、知的生命がいることは確実だろうと著者はいう。であるとするならば、人類がそれらと出会うには、この地球の文明を長く存続させていくしかない。こちらから送ったメールの「返信」を、人類は十分な時間をもって「待てる」のか、それが問われている。それは、ヒトの80年の人生ではけして成し遂げることはできない、世代を超えて紡がなければならない夢だ。

 

核兵器に代表されるような、人類を滅亡させうる破滅の要因をいかにおさえこんでいくのか、地球温暖化などの環境問題をどう解決していくのかという視点は外すことができない。

人類が世代を超えてイマジネーションを受け継ぎながら、未来を紡いでいけるのか。人類の地球外生命を探す長い旅路は、確かに難問を抱えているのかもしれない。それを乗り越えることができるとすれば、それは、著者のような科学者や技術者だけでなく、われわれ読者を含めた人類全体が、その宇宙へのイマジネーションを共有していけるのか、ということにかかっているといえるのではないだろうか。その最先端に立つのは科学者や技術者かもしれないが、物事は最先端だけがあって進むわけではない。最先端が重要なように、広い裾野も欠かすことはできない。

 

私も、一人の読者として、著者の熱のこもった言葉を受け止めて、イマジネーションの小さな火を灯したいと思う。それは、小さな小さな光だろうが、無意味ではないだろう。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


書評・レビューランキング

高知市五台山のツツジと木星

昨晩、13日(金)は、曇るんじゃないかと心配しましたが、意外に晴れていて、撮ることができました。

高知市五台山では、ツツジが咲いていて、これと星を撮ろうということで行ってきました。ツツジの季節は、桜と比べれば長いでしょうかね。

桜はあっという間に咲いて、あっという間に散っていった。

 

それはそうと、D-FA★50mmの発売延期が正式にアナウンスされましたね。うーん。

夏ごろになるそうですね。

ということは、おそらく、これによって、11-18mmの発売も伸びそうな予感ですね。それぞれ、別のリソースをもってやっているとは思えない。いや、それとも、独立のチームみたいにしてやっているんだろうか…。いや…??

 

まあ、気長に待ちましょうか。どちらにせよ貯金せねばならないし。

しかし、50mm単焦点での性能の詰めより、超広角ズームの方が絶対調整難しいと思うんですが、大丈夫なんだろうか、ということは心配ですね。

頑張ってもらうしかない。

news.ricoh-imaging.co.jp

 

ツツジ咲く丘で

f:id:shironagassu:20180414185815j:plain

PENTAX KP レンズ DA 10-17mm 焦点距離10mm

ISO6400 SS30秒 F6.3  アストロトレーサー使用

2018.4.13 高知県高知市にて

 

パンフォーカス星景での作例。

今回は、F値は6.3にしてみました。

 

(↓パンフォーカス星景については、こちらも参照。)

shironagassu.hatenablog.com

 

 

中央に見える明るい星は木星で、光度は-2.4等級くらいのようです。やはり惑星はずいぶんと明るい。

これだけ明るいと、エッジ抽出モードでもピントが出ているのがわかります。黒い点になって見える。ので、どこに星を置くか、構図決めもやりやすい。

 

今年の夏には火星が最接近するので、それもパンフォーカスで撮ってみないといけないと思いつつ。

夏の花…か、何がいいだろうか…。

また考えておきましょう。

 

というわけでした。

まだしばらく、五台山のツツジは見えるのではないかと思いますので、ぜひ、昼間行ってみてください。

 

しかし、…11-18がどうなるかわからない状況では、まだまだ、こいつに頑張ってもらうしかない。解放はパープルフリンジが強く出ますが、F5.6なら画質も満足ができます。 そこは、高感度で推して参るストロングスタイルでなんとか。

 

にほんブログ村 写真ブログ 星景写真へ
にほんブログ村


星景写真ランキング